『容疑者Xの献身』 京極堂VS湯川
『容疑者Xの献身』
2008年日本映画。西谷弘監督作品。東野圭吾原作の推理小説『探偵ガリレオ』シリーズの映画化。原作は未読ですが、テレビドラマは観てました。テレビドラマ知らずの自分が観てるぐらいだから、そんなの改めて言う必要がないくらい有名だと思います。
で映画の方の話。テレビドラマ番と違って、コメディ要素(特に渡辺いっけい)は控えめで、逆にシリアスどころか「観てて辛辣」なほどでした。久々に映画観て涙でました。日本のテレビドラマの映画化という意味では、個人的に最高傑作かも。
「推理もの」として観るなら、犯人が仕掛けた「アリバイトリック」をいかに暴くかってことになるんでしょうけど、今回は湯川先生(福山雅治)の「物理学的トリック検証」などお約束のアレは特に無かったり。それどころか、事件のトリック自体はすごくオマケな感じ。
オマケとはいいつつ、そのトリックの秀逸さもすごいんだけどね。
物語のキーワードは、やっぱり「愛」なのかなあ。ただ、映画のプロモーションでよく使われる「…そして愛。」の安っぽい愛では全くなく。また、本作のテレビCMが仄めかしてる「湯川先生と内海刑事のラブ?」みたいな感じの愛でもなく。
あえて「京極堂」風に言い換えると、湯川先生の唯一の「瑕(きず」こそが、「愛」という形而上の概念を解しないという点であり、故に犯人によって仕掛けられた論理の「理(ことわり)」を狂わせ、予定調和の「檻(おり)」を破ってしまう…。
簡単に言うと、湯川先生がKYなせいで鬱展開に。
(流石に簡単に言い過ぎて大きく語弊があります。ごめんなさい。)
そして、キャストの中は堤真一の演技が一際光ってました。役が役なので、ちょっと「京極堂」入ってましたけど。おかげさまで「京極堂VS湯川」っていう脳内対決を想像して観ることができました。そういう風に観ますよね?観ませんかそーですか。
とりあえず、原作小説も読んでみようと思います。
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あと、ちょっとコレ。予告編で初めて見て。
江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズの「怪人20面相」を新しい視点からブラッシュアップした映画みたいですが、なんか微妙にかっこいい20面相に噴いた。だって、原作読む限りでは、あの人ただの目立ちたがりやのかわいそうな大人だもの。
はじめこそは、「劇場型犯罪者」として世の人を震え上がらせていたものの、『宇宙怪人』とか『電人M』のあたりでは、もう単に変なものに変身して世間や少年探偵団をびっくりさせるだけの「愉快犯」になりさがってますから。
逮捕された時に「世間に注目されたかった」とか動機を話すやつみたいな…。
『夜光人間』の時なんか、「夜光塗料塗った全身タイツ」で登場、夜間暗闇に紛れてそれを脱ぐ(全裸になる)ことによって「突然姿が消えたように見えだろう!どうだ小林くん!」とか言ってたひとですよ?(全裸で)
まぁ、最後は「巨大カブトムシ」に変装して、塔から身を投げて死んだけどね…。
最後の最後で、「巨大カブトムシ」とか…。
絶対いいひとだ…。