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『ダーククリスタル』 荒みストリート

ダーククリスタル

1982年に公開されたアメリカ映画。

ジム・ヘンソンフランク・オズ監督って言ったら『セサミストリート』ですが。本作も彼らの作るマペットとジオラマ世界における人形アニメーション劇。但し、昨今のフル3DCG映画も裸足で逃げ出すほど、とてつもなく緻密で、かつ幻想的に創りこまれたダークファンタジー。亜人種や異形の怪物たちが跳梁跋扈する世界の物語。

いい意味で、「荒(すさ)みストリート」とも呼ぶべきでしょうか。

「…ここは時代も場所も分からない不思議な別世界。1000年前国は緑に包まれていた。しかし水晶が砕け、小さなかけらとなって水晶の"精"は消えた。闘いが始まり2つの種族"残酷なスケクシー"と"従順なミスティック"が出現した。醜くねじれた体と心を持つスケクシーたち。1000年にわたる支配者も残るは僅か10名。死直前の皇帝も一族も滅び行く国と同じ運命にあった。彼らの命の源泉であり宝であり運命"ダーク・クリスタル"…。」

嗚呼。OPナレーションからして、なんという小賢しい世界設定。

冒頭からカタカナ固有名詞のオンパレード。「…」を連呼して、意味深さを強調する文体。1000年にも渡る世界史をわずか数秒に要約。まるで、1ページ目から年表が載ってる角川の漫画みたいな小賢しさ。でも、ハイファンタジー作品にとって、こういう小賢しさって重要ですよね。もう、いきなり「第4章」から始まるみたいな。

「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が…」とか、SF作品でも言えますけど。

逆に「なんか古代中国に似た世界の物語」とか、この世界説明をはしょってしまうと、軽く見られがち。そういう、設定が薄っぺらいファンタジーをハイファンタジーと対比して「ローファンタジー」と呼ぶ人もいます。本来のローファンタジーの意味は違うはずなんですけど、世間的にそういう認識が一般化してしまってるような気がします。

…いや、べつに『ハリー・○ッター』のことを言ってるわけじゃないですよ。

元来ローファンタジーとは、我々の棲むこの現実世界と接点のある異世界において、微妙に現実世界の影響を受けながら繰り広げられるファンタジーのことで。よくある「いじめられっ子の主人公が、自分に都合好くできた異世界で大活躍する」みたいな話なんかも、ローファンタジーの括りになるわけなのですが。

…やっぱり、『○リー・ポッター』のことじゃないですか。

でも、なんや全くどっかの知らない世界のお話なんかより、自分に身近でかつ自分に都合が好いかつ自分が異性にモテモテになれるかしれない世界を描いた作品の方が感情移入しやすいし。現実世界に打ちのめされて夢も希望も持てない人からも金をとりやすいという意味で、ローファンタジーの方がビジネス向けです。

…だから、『ハリー・ポッター』は売れるわけです。

本作は、そういう商業主義的なファンタジーとは対極にある作品なのかもしれません。だからこそ、自分も映画好きの友人に薦められるまでは全く知りませんでしたし。でも、1982年の段階(『風の谷のナウシカ』や『ドラゴンクエスト』よりも前)で、ここまで完成度の高いファンタジー映像作品が存在していたことには驚きです。

これ今、最新技術で創った映画って嘘ついて劇場公開してたとしても、騙される人多いですよ。

そして、今作中「どこかで見たようなシーン」が非常に多いと感じました。これが何を意味するのかというのは明白で、「この作品をモチーフにして創られた映画・アニメ・ゲームが非常に多い」ということです。「このシーンは、どうみてもあの某有名RPGのタイトル画面だよな…。」とか、記憶を穿り返される感覚がなんとも気持ちいい。

いやもう、「ファンタジー好きは絶対観ておくべき」という推薦文を、そのまま復唱させていただきます。