てすかとりぽか

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『トランスフォーマー/リベンジ』 最低映画考

トランスフォーマー/リベンジ

2009年のアメリカ映画。マイケル・ベイ監督。

前作は映画館に2回も足を運ぶほどだったのに、なんだか今作は気乗りせずに見るのが遅れまして。さらに、昨年のラジー賞で最低映画賞、最低監督賞、最低脚本賞を受賞したことでさらに遠のき、レンタルDVDが準新作になった今になってようやく重い腰を上げるという結果になってしまいました。

でも、世間一般の評判は上々なのに、何で最低映画なの?と気になってはいたんですね。

そのへん、色々調べてみて、やっぱり「糞映画だ!」っていう批評は数多くみかけはするものの、具体的に何がどのように糞だって理由を書いてある批評はほとんどなかったんです。その数少ない否定理由も「ハリウッドの悪いところが全部詰まっている。」とか非常に抽象的なことしか書いてなかったりと。

ハリウッドの悪いところって、なんとなくはわかるけど、それって単なるメジャー嫌いの中二病じゃない?

そういうわけで、自分なりにそのダメな部分を考えながら観ることになってしましました。本当はそんなネガティブな思考で作品を楽しむのとかは好きじゃないのですが、「ラジー賞受賞作品」っていう事実が厳かな呪いとなって、そういう風な観方を強制してしまうのだと思います。まぁ、それも含めて映画の売り方なんでしょうけど。

でも、実際観てみたら、本当に酷かったので安心しました。本当に酷い。

頭ごなしに貶すのもどうかと思うので、まずは良いところを褒めておきましょうか。とりあえず、CGバリバリのアクションシーンや変型シーンは前作に引き続き凄いですね。あとは、原潜に空母F-22SR-71プレデターミサイルにレールガン(アレまじで実戦配備してんの?)とミリオタ大歓喜の軍兵器オンパレードでしょうか。

スミソニアンエノラゲイとか、変型して正義のロボットとして戦いはじめたらどうしようかと思いましたよ。

とりあえず、そういう限定された部分だけに期待するんだったら、とても満足できる作品だと思います。でも、普通に2時間以上ある長大な映像作品なので、アクションシーン以外にも期待してしまうのはごく当たり前。しかし、そんな非戦闘パートにこそ、本作の闇がひしめいているのです。要約すると以下3点。

リア充すぎ。

前作は主人公がナードで、それでもがんばって女の子を口説いて徐々にリア充に近づくという普通にいい話だったんですけど。本作ではその彼も最初から立派なリア充で、しかも大学生活をエンジョイするお話に。しかも、そのマイケル・ベイ節全開で描く学生生活が、もう『ハイスクールミュージカル』顔負けのアホさ…。

アメリカの学生は、男女共同の学生寮に住んでで毎日見境なくハメまくってるのが当然かのような…。

おそらく、本シリーズのファン層にそんなリア充は1%もいないと思いますよ。少なくとも日本国内においては。その残りの99%は、そんな輩に対しては静かに殺意を覚えるか、「なんだ、三次元の話か。」と実在を否定するか、いずれにしても多くを語らないとは思います。ただ、「糞映画」という3文字を残すのみで…。

■下品すぎ。

で、そのリア充どもが下ネタばっかりで笑いをとろうとするんだわ。もうね、リア充が珍子万個いう下ネタほど笑えないものはないんだわ。前作では、スピルバーグが関わってたせいもあってか、ウィットに富んだ全年齢向けのギャグがほとんどだったんですけど。マイケル・ベイだけになったら金玉ギャグですか…。

おそらくはローティーンを狙ってんだろうけど、いまどき中学生だって笑わねえよこんなの…。

あと、グロ描写。厳密にはロボットグロ描写。ロボットの破壊描写が妙にネチっこい。人間でいうなら、内臓引っ張り出して端からハサミでチョキチョキ切り出すような悪趣味さ。個人的にグロ耐性はある方だと思うけど、この悪趣味さは異常。しかも、ちゃんとロボットが痛み感じてる演出をした上でですからね…。

そんな所詮やつら機械だし。って思う人は、『ウォーリー』とか『鉄腕アトム』とか観ないでほしいわ…。

■まとまり悪すぎ。

別に、終始アホで下品でグロい馬鹿映画だってんなら良かったんですよ。んでも、根底には世界の危機という重いテーマがあって、そのために人もロボットも大勢死ぬし、またそれをシリアスで悲惨なことだという視点からも描こうとしています。なのに、それを金玉ギャグで笑い飛ばそうとしてる意図もまた見受けられて…。

例えるなら、ブルース・ウィリスが常に金玉の例え話しかしない『アルマゲドン』みたいな…。

ん。なんか自分で言ってて観たくなってきたそんな『アルマゲドン』。とはいえ、本当に方向性のまとまりのない作品です。結局、「ハリウッド超大作の要素」を全部入れて混ぜ込んでみたらそんな感じにならざるを得ないとは思うんですけど、それをやろうと思ってできるのは、逆にマイケル・ベイ監督の凄いところだとは思います…。

…とまぁ、こんな感じですが。ラジー賞の呪いさえなければ、今頃自分みたいな中二脳は「CGすげー!超すげー!」と大絶賛のエールを贈っていたことでしょう。そういう、賞とり映画の呪縛って本当に怖いですね。アカデミー賞受賞作のアレなんかも、たぶん観たら「超すげー!」って言っちゃいそうな気がします。内容に関わらず…。