泥船てすかとりぽか

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『かいじゅうたちのいるところ』 カネの亡者のいるところ

※※※この感想文は極めて主観的で、個人的なルサンチマンにまみれています。※※※
※※※この映画が好きな人は読まないでください。回れ右してお帰りください。※※※

と、前もって書いておけば大丈夫でしょう。

何気にこの映画を好きな人多いみたいですからね。中には有名なブロガー様や批評家の方もいますので、うかつなことを言うとフルボッコにされかねません。「お前がッ!泣くまでッ!殴るのをッ!やめないッ!!」的な感じはさすがにごめんです。だから、これから書くことはただの感想文です。何の他意も悪意もございません。

かいじゅうたちのいるところ

2009年のアメリカ映画。スパイク・ジョーンズ監督。

モーリス・センダックによる世界的ベストセラーとなった同名絵本をスパイク・ジョーンズ監督によって実写映画化した作品。自身も原作絵本は(ついこないだ)読んで、非常に気に入っております。自分の子供にも是非読ませたい一冊ですね。なので、本作も大変期待しており、劇場にも観に行こうと思ってたんですけど。

「マスコミが大絶賛!」と子供店長が言うテレビCМのおかげで感情が反転。憎悪の対象に。

なんだよ「マスコミが」って。なんだよ「全米ナンバー1」って。子供が言うセリフか!?否、子供に"言わせる"べきセリフでしょうか。この一言が本当にイラッときました。こんなの自分だけかもしれないですが、心底苛つかせられたのです。ある意味、この映画の製作意図、本質がこの一言に凝縮されているとも感じました。

金儲けのために童話の知名度を利用しただけの糞映画なんだな…と。

さらに、デキが悪い部分は「子供向けなんで…」と逃げ。子供にソッポを向かれたら「大人向けだからネ!」と逃げる。さらに責められたら伝家の宝刀「これは芸術作品なんだ!凡人には理解できないんだ!!」と逆ギレする。そういう小狡い痩せた考えすら、トレイラームービーを観ただけで感じられるようにすらなりました。

いや、スパイク・ジョーンズ監督は嫌いじゃないんですよ。むしろ過去の作品は大好きな部類です。

映画を作ってる人間と、広告宣伝に携わる人間は別です。広告宣伝のやり方が最悪だったとして、作品自体の評価も下がるといった話は論理的ではありません。ただ、“そんなことはどーでもよくなる”ぐらいに、今回のテレビCMは酷すぎました。自分はソレと無関係に本作を評価できるほど、大人ではありません。

そういうわけで前置きが長くなりましたが、以下が前述の感情に基づき本作を視聴した感想です。

何より、本作の魅力はその世界の描き方にあります。既存のファンタジー作品にはない「子供の想像力の範疇にあって、尚且つその想像力を掻き立てる世界」を着ぐるみとCGを融合させた、非常に新鮮な絵柄で描いています。そして、“てつがくてき”すぎて難解にも見え、実際に賛否両論ある脚本。

個人的には、脚本どーこーは子供見てねーから別にいーと思いますよ。

自分が子供の頃を思い出してみてください。『ガンダム』や『スターウォーズ』をワクワクドキドキしながら観てましたけど、脚本なんて眼中になかったです。あれが地球連邦軍による圧政が原因で起きた辺境国家による独立戦争だなんて、毎回ナレーションで説明してるのに子供の自分は全然聞いちゃいなかったですよ。

「今日はグフがでてきた!グフが!」ぐらいしか考えてなかったです。要するに絵しか見てません。

だから、本作について脚本が大人向けだとか難解すぎるとか、そんなことはどーでもいいと思います。絵柄的に悪趣味すぎるんじゃないんだろーかとか、そういうことを言う分にはまだいいんですけど。とりあえず、個人的にこの映画の問題点はもっと別のところ、根本的な部分にあると思うんですよね。

“これで100分は長すぎる”んです。

元の絵本だって、10分程度で読み終えるようなすごく短いお話です。それを何だって、伸ばして伸ばして100分の長大なストーリーにする必要があったんでしょうか。少年が島についてからの“かいじゅうたち”との奇妙な、ある種不条理な会話のやりとりだって、絵本ではほんの数ページだから好かったようなものを。

それだけで数十分もやられたら、もう不条理映画以外の何でもないですよ。寝ますよ。寝ました。

起きた時にはもうエンドロールでした。「いい映画とはよく眠れる映画」みたいな言葉がありますが、そのとおりなら本当に名作です。なんだろこの感覚、既視感がありますよ。そうだ、『死霊の盆踊り』を観たときですね。あれもいい映画でした。いろんな半裸の女がコスプレして出てきて踊るだけの素晴らしい映画でした。

話を戻して。その100分という長時間に引き伸ばした理由は、興行を考えてのこと、つまりはカネです。

あの絵本を本当にいい映画にしたかったのであれば、20分や30分の映画でもよかったはずです。実際、ムーミンの人形劇の映画も20分しかないです。でも、ちゃんと劇場で1,800円払って観て満足しました。ただ、世間一般の映画ファンはそうではない。中には「映画を観る時間」を買いに来ている人も大勢いるわけですから。

上映する側としても、100分というベーシックな時間割は都合いいわけですね。
(3時間超の映画は逆に回転が悪くなるため、よほどの人気作品でもないと辛いとか。)

ちなみに『ドラえもん』や『アンパンマン』映画が70分位なのは、子供の集中力の限界は大体それぐらいっていう、ちゃんと視聴者を考えた事情故のなんですけれど。本作はそういう買い手側の都合ではなく、“売る側の都合とカネのためだけに作品性を犠牲にした作品”と、自身は認識しました。例のCMの件も含めてね。

まさに、“かいじゅうたち(カネの亡者)のいるところ”です。