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泥船てすかとりぽか

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『ハート・ロッカー』 世界一腕の立つ殺し屋擁護

ハート・ロッカー

2008年のアメリカ映画。キャスリン・ビグロー監督作品。

タイトルはアメリカ軍の隠語で“苦痛の極限地帯”および“棺桶”の意味。

イラクを舞台としたアメリカ軍爆弾処理班を描いた戦争アクション作品。アクション作品とはいえ、扱うテーマが爆弾処理ということもあり、派手な銃撃戦やハリウッド的な演出は極力見せないハードでリアル志向な作風が特徴。とはいえ、反戦や好戦といったイデオロギー色が薄いのが何より好ましいと感じました。

で、いきなり話変わりますが、漫画家の新條まゆさんがスナイパーライフルを手に入れたそうです。

“漫画家の新條まゆさんスナイパーライフルを手に入れる→自身の漫画のシーンを再現”

問題の漫画のシーンは、「“世界一腕の立つ殺し屋”がアサルトライフルを肩に担いで狙撃する」っていうシーンなのですが。「アサルトライフルを肩に担ぐのはおかしいだろw」とか、「そもそも、アサルトライフルで狙撃とかおかしいだろw」と作者が銃器的知識の乏しさを馬鹿され、愛されているシーンなのですけど。

本作『ハート・ロッカー』では、みんなアサルトライフルを肩に担いで運用してますよ。

じゃあ、最初から新條先生が正しかったんじゃ?というにはまだ早急で。まず、新條先生の描いた作品に登場するアサルトライフルは「M16A2」で、銃床を肩に横から押しつける形で構えます。ですから、漫画のように方に担ぐという運用方法がありえないのは確かです。何より、なんか異様に小さく描かれてますし。

そして、『ハート・ロッカー』の米兵が使っているのは、より最新式のアサルトライフルM4A1カービン」。

M4A1カービン」は従来のアサルトライフルよりコンパクトなのが特徴で、銃床も短いことから肩の上に乗せる形、即ち肩に担ぐような形で構えることになります。新條先生の漫画で描かれたアサルトライフルは、サイズ的にはこの「M4A1カービン」に近いため、肩に担ぐ運用は合理的と言えるのではないでしょうか。

要するに、“世界一腕の立つ殺し屋”は、オリジナルの小型アサルトライフルを使ってただけってことですよね。

ちなみに「アサルトライフルで狙撃とかwww」って言ってるのはお角違いで、『ゴルゴ13』の中でゴルゴが「M16は狙撃銃、アサルトライフルとしての性能を高いレベルで両立できる銃」という解説を加えています。ワンマンアーミーであるゴルゴにとって、狙撃後の銃撃戦も視野に入れたチョイスというわけです。

当然、“世界一腕の立つ殺し屋”も、同じワンマンアーミーとしての選択をしたのにすぎませんね。

あと、本作『ハート・ロッカー』では「バレット・ファイアーアームズ社」製のアンチ・マテリアル・ライフル(対物狙撃銃)が大活躍します。『ロボコップ』や『第9地区』でも大活躍する大型銃器ですが、FPSなどでスナイパーをやられる方には必見の、珠玉の格好いい狙撃シーンが満載です。芋砂冥利に尽きますね。

ちなみに、新條先生が買ったのは「H&K PSG-1」という狙撃銃で、『山猫は眠らない』に出てきます。

閑話休題。なんか銃話だけで長くなってしまいましたが、本来はそういう愉しみ方をすべき作品ではなく、社会派的ななんてゆーかまじめな映画なんですね。そもそも、この映画は「わかりづらい」と有名で、その点をラジオ番組「ザ・シネマハスラー」で指摘した宇多丸さんが後に、町山智浩さんに説教されたりもしてます。

作品を観てもピンとこなかった場合は、是非下記の視聴をオススメです。

“町山智浩が宇多丸の『ハートロッカー』批評に物申す!!”

自分は最初にこの放送を聴いてしまったのですが、当時は「町山智浩はなんて上から目線で横暴で人の話を聞かない厭な奴だ!!」って思ったんですね正直。ただ。実際作品を観てしまうと、ほぼ100%町山さんの言った通りの解釈で当てはまるから驚きです。勿論、宇多さんの意見も好きなんですけどね。

てか、二人とも“『崖の上のポニョ』の時”とスタンス変わりすぎててフイタ。

ただ、上記の対談の面白さって言うのは、完全に“映画を観る姿勢”ならびに“批評する姿勢”の違いになってるのも面白いんですよね。自分は元から映画評論なんてめんどくさい。うちのは感想文だから。って逃げ道を作ってるんですが、これを聞いて尚更その逃げ道作りに熱心になりました。映画評論ってほんとめんどくせー。

是非、映画“批評”ブログをお持ちの方は、『ハート・ロッカー』の鑑賞に併せて上記を聞いてみてください。