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泥船てすかとりぽか

FC2ガ沈ムマエニ逃ゲダシマシタ。

『劇場版 機動戦士ガンダム00』 わりとネタバレなし

※※※下半分あたりが微妙にネタバレなので未観の場合はご注意を※※※

劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-

2010年の日本のアニメ映画。水島精二監督。

はや30周年を迎えた、日本を代表するロボットアニメである『機動戦士ガンダム』の最新シリーズ。当初TVアニメ作品として作成された本作は、主人公の少年がモビルスーツと呼ばれる巨大なロボットに乗り込み、“武力による戦争根絶”という矛盾した目的の元に活動するという物語。一般の方にもわかりやすそうに説明してみました。

要するに、オタクの中でも更に一部の“ガンオタ”に向けて作られたピンポイント狙撃な作品なのですけど。

このため、原作をご存じない方は全く見る必要がない映画ではございますが、一応個人的にはTVシリーズは全話ちゃんと拝見し、“『機動戦士ガンダム00』感想”で書いたように、「ダメなガンダム作品」という評価もしておりました。広げた大風呂敷を仕舞えないグダグダ脚本の典型的な例だと思いました。

しかしながら、本劇場版ではその風呂敷を更に大きく広げ、素晴らしい結果に導いているのです。

“外宇宙の生命体との対話”、“宇宙人との戦争”って方向。過去のガンダム作品において、宇宙人の存在とその接近遭遇の可能性を仄めかす逸話はなかったわけではありませんが(『逆襲のシャア』における「残る敵は本物の宇宙人ぐらい」という台詞、『ガンダムSEED』における宇宙クジラ等々)、実際にやったのは初。

そして、その試みを許容できるか否か。それが、本作の評価の分かれ目でもあります。

世間の評判からは、本作を“ガンダム”として観ている方々には、すこぶる不評のように感じられます。対して、本作を“SF”として観ていた方々には、逆に物凄く好評のようです。自分はどちらかといえば後者なのですが、本作のSFとしての設定の細かさ、“正しくSFであろうとする姿勢”は本当に素晴らしい。

まず、木星探査船の思わぬ地球圏への飛来という、“ガンダムらしからぬSFしい事件”に端を発し。

破壊された探査船の破片が飛来した地域で巻き起こる怪事件など、“コズミック・ホラー”の様相を呈していて、途中「これ、ほんとにガンダムなのか?」と心配になるほど。そして、いやおうなく始まる謎の金属生命体との“ファースト・コンタクト”、さらに彼らとの戦いは壮大な“スペース・オペラ”として描かれます。

なんていうか、“ガンダムの皮をかぶった、SFファン垂涎テンプレてんこもりダイジェスト”なんですね。

“宇宙人との第一種接近遭遇”を描いた話なんて、今時古臭くて流行らない。とてもじゃないが、映画化する金なんて集められない。「じゃあ、ガンダムの名前を使えばいいじゃない?」とか、変にSFファン的方面からの邪推ができそうな作品なんですよね。絶対にそんなことはないと思うんですけど。

でも、“ガンダム映画を作ることが目的”だったとしたら、絶対にこうはならなかったと思いますよ。

過去のガンダム作品(ていうか富野監督)に対するコンプレックスの集積体みたいだったTVシリーズを想定してみたら、確実に『逆襲のシャア』をパク…踏襲した形で、人間に絶望したティエリアが「しゅくせいしよーとゆーのだよー!」とか、「めされるであろー!」とか言って、地球に隕石落としてくるはずですよ。

もしくは、『ガンダムW』の劇場版みたく、男同士が羽根生やしてチュッチュクチュッチュクするだけとか。

ただ、どんな物語テンプレにも当て嵌められる“00”のキャラ設定はほんと優秀だと思いますよ。まるで『おそ松くん』みたい。そういう意味では、広げた風呂敷を仕舞ってしまわず、別方向へ広げてみたっていう判断は適切だったと思えてきます。もう、こいつら使ってSFでもホームコメディでも、何でもやり放題ですよ。

あと、楽しめた理由は、「個人的に思い入れのあるキャラがいなかった」というのもあると思います。

思い入れのあるキャラがいた場合、どうしてもそのキャラクターの扱いが不当だったとか、そういう不満点が出てきてしまう。劇場版という短い上映時間であれば、それは当然のことなのに。ただ、本作はそういう“キャラ露出のバランス”も非常にとれていると感じました。どっかのアイドルグループとはエライ違いだと思います。

そういう意味も込めて、こっからはややキャラに関しての所感というかヲタトーク入ります。
(同時にネタバレも入るので、これから観る予定の人は観ないほうがいいかもです。)

(ハイ。3行あけました。)

【刹っちゃん & ダブルオー・クアンタ】
わりと空気。でも、“なんか凄い人になった”ってのはわかる。ずっと押し黙ってるから感情移入はできず、でも何かしら全体を把握しているという、主人公というより範馬勇次郎的、というか京極堂的な、俯瞰的な立ち位置。クアンタほとんど戦闘に参加しない。というか、クアンタ戦闘用の機体じゃねえ。結果として、わりと空気。

【ロックオンていうかライル & ガンダム・サバーニャ】
ご本人はわりと空気。てか、キャラ薄っ。「狙い打つぜ!」と「乱れ撃つぜ!」を各1回づつ言うだけ。でも、他の奴のキャラ立ちが異常な中、一番まともそうで感情移入はできる。関口君的立ち位置。後半はサバーニャ無双。とりあえず、「派手なロボットアニメが観たい」って人はサバーニャだけで大満足確定。

アレルヤとハレルヤ & ガンダム・ハルート】
超能力者で運動神経抜群で頭痛もちで二重人格で博愛主義者かつ戦争ジャンキーで女連れ。キャラ立ちすぎ。でも、TVシリーズ後半の扱いの酷さ(乾電池扱い)を考えると、このぐらいはっちゃけてていいバランス。ハルートも、後半大活躍。ただ、ギミック的にサバーニャほど新しいものはないが、本作最強機体か?

ティエリア & ラファエル・ガンダム
ギャグ要員。いや、ほんとギャグ要員。前半のラファエル無双が終わった後は、ノパソの中に入ったままだし。「こら!ウィンドウ最小化するな!」とか言いそう。終盤、『ダンバイン』のチャムみたいになっちゃった瞬間ポップコーン吹いたぞどうしてくれる。もう、同人誌でズボンとか脱がされる運命しかない。

デカルトさん & ガデラーザ】
新キャラ。なんか知らんが凄い人。口は悪いし、自分でも悪人ぶってるけど、真に悪い人じゃない、個人的に大好きなタイプ。なんかいい感じの噛ませとしても機能。ガデラーザは見た目の地味さに反比例して狂性能。主人公チームと戦闘してないんだけど、わりとガンダムすら圧倒するんじゃ?って感じの厨性能。惜しまれます。

ソレスタルビーイング各位】
空気。劇場版で時間ないんでそれはそれ。フェルトは一生懸命フラグ立ててがんばってるのに“1ミリも回収されない”って意味で、“ガンダム不幸女ランキング”に名を連ねるかも。ミレイナは前述のギャグ要員に対し“同人誌向けフラグ”立てるのみ。ソーマは“釣りえさ”としてハルートに同乗。とても同情。

【ハム & ブレイヴ指揮官用試験機】
かっこいい。かっこいいよハム。ブレイヴは戦果こそガンダムに及ばないものの、作画部分では突出して気合入って描かれてると思う。見た目フラッグなのも良いね。ていうか、新しいハム隊は雰囲気が完全に『スターシップ・トゥルーパーズ』の激マッチョ思想なんですよね。ブシドーといい、映画に影響されやすいのかな?

ビリー・カタギリ
ギャグ要員。ていうか、隣の女のスカートみて頬染めてるとか、なにこのねちっこい童貞描写。スメラギさん、あんだけ家に入り浸ってて、酒ばっか飲んでて、やらせてあげなかったの?ひっどいなー。でも、最後には無事卒業できてよかったね。ていうか、劇場版だから時間ないのにも関わらず、なんなんだこの異様なキャラ立ち笑。

【ミーナ】
ビリーの筆卸し役。新キャラ?そんな目的のためだけに新キャラ投入?ってか、声くぎゅだけど、ネーナどう考えてもTV版で死んでたよな?まぁ、いいや。やさしくしてあげてください。

【大佐 & コーラサワー
大佐は准将になり、地球連邦軍の指揮官にまで出世。コーラサワーは相変わらずだけど、夜中大佐が仕事してるとこにビール片手に寝巻きであらわれ、キスをせがむコーラサワーすげえ。そして、それに満更でもなく受け入れちゃう大佐の一瞬の表情がすげえ。だめんずウォーカーここに極まれり。でも、一番幸せな二人。

【小熊】
「たかが石ころ一つ!ジンクスは伊達じゃない!」という、わりとガンダム的に重要な役目でした。

【さじ】
カツくせえんだよ!でも、最後死んだ分カツの方が上等じゃねえか!!呑気に映画観てんじゃねーよ!!

【貧乏姫】
途中、コロニー公社の社員を説得するやり口が、完全にプロのクレーマーの手口。「そういうことを聞きたいんじゃないの。あなた個人としての意見を聞かせてほしいの。あなた、会社のことどう思ってるの?」。そして、貧乏姫は死ぬまで貧乏でしたとさ。ていうか、あれをもって貧乏姫の真・ヒロイン昇格とみていいものか?

トップをねらえ!』的に見れば、刹那と一緒に行ったティエリアが真のヒロインではないのか?
貧乏姫は地上に「オカエリナサλ」って描いてる地球人の側だし。
とりあえずトップ観なおしたくなりました。