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『トロン:レガシー』 片桐はいりに似てる

なるべくネタバレしないように気をつけています。

トロン:レガシー

2010年のアメリカ映画。ジョセフ・コシンスキー監督作品。

1982年の映画『トロン』といえば、当時最先端のCG技術で創られた、文字通り最先端の映像作品でした。そして、その続編である本作の謳い文句は「3D映画の未来がはじまる…」。厭が応にも、時代の最先端を往く映像技術の結晶が見られるものと期待してしまいますね。ゲームで言うなら『Call of Duty』のような。

でも、その『Call of Duty』をいざ起動してみたら、中身が『ゼビウス』だったらどうでしょう。

何かの間違いかと思ったら、そういうことでもないらしい。また、ただの『ゼビウス』ではなく、最新のCG技術でモデリングし直されたキャラクターたちは、ちゃんと3Dで飛び出して見えたりします。でも、根本的なゲームシステムやキャラクターデザインはあくまでも『ゼビウス』を踏襲したものであるのです。

そして、説明書には「最高にスタイリッシュでしょう?」という開発者のドヤ顔が描かれています。

確かに、『ゼビウス』はスタイリッシュなゲームです。4096色中8色という少ない色数で映える絵を作成するためにグレイスケールを用い、全体の色のブライトを下げてパレットを作成し反射光沢を生かしたあの綺麗で印象的なキャラクターたちを、スタイリッシュであると呼ばずして何と呼ぶべきでしょうか。

でも、それは『Call of Duty』を期待してる人にとっては、どう見えるでしょうか?

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というのが、本作のあらましです。

“ディズニーが社運をかけて送り出す、今冬の超大作SFファンタジー映画”という仰々しい肩書きに違い、イマイチ好評であるとは聞かなかった本作を観に行って、痛いほどその理由がわかりました。いやまぁ、個人的には好きなんですよこういう世界観も音楽も。でもね、どう考えても一般受けしないと思うんですね。

はっきり言います。近年稀に見るオナニー超大作です。

何が受けないかって、枚挙に暇がないとは思うんですけれども。まず、脚本がどうしようもないぐらいに酷い。いやまぁ、こういう“アトラクション系”の作品に脚本云々言うのもアレなんですけど、単純に話ぶっとばし過ぎ。逆に、それがまた“B級映画的な”いい味を出しててまた自分好みなんですけれど。一般受けはしないです。

あと、これは異論反論あるかもしれませんが、映像がダサい。スタイリッシュさが売りなのにダサいとは?と思われるかもしれませんが、要するに全員が中学のイモジャージを涼しい顔して着てるような世界なんですよ。で、そのイモジャージの横のラインの部分なんて蛍光塗料塗ってあってピカピカ光るんですぜ。

んで、背中にはCDがついてます。『電脳戦機バーチャロン』ですね。懐かしいです。で、その背中のCDをとって、フリスビーみたいに投げて戦うんですぜ。あと、棒。ライトセイバーっていうよりかは、ギャバンの持ってるレーザーブレード的な、ただの光る棒で戦います。ギャバンダイナミック的な感じで。

で、それら世界を描いてるCGを観て「ああ、真似したい」と思っちゃったわけです。3DCGを少し触った経験しかない筈の自分レベルの人間が、「ああ、真似できるな」と思っちゃうレベルのCG技術。勿論、実際は物凄い最新技術の結晶だってのは後でわかりましたけど、一瞬でも素人に侮られてしまう、そんな映像。

そんな微妙な映像に、なんかビヨビヨした古臭い音楽を終始かぶせてる。

しかしながら、コレ個人的に2010年度のトップ10に喰いこんでくるほど好きですコレ。B級映画も真っ青な突拍子もない脚本も、蛍光イモジャージも、電脳フリスビーも、作り安そうなCGも、ビヨビヨした音楽も、全て自分のどストライクゾーンです。映画として面白いかというより、単に観てて楽しいレベルですけれど。

観終わった瞬間思ったのは、まさに「こないだ夜中やってた『酔拳』を映画館で観た感じ」でしたもの。

フツーに観て楽しいもの『酔拳』。ストーリーやカメラワークなんてないも同然だし、カンフーもそれほど洗練されていないし。でも、そのベタベタな古臭い香港映画のテンプレートは個人的に大好きだから、主観では楽しめる。でも、それを「劇場で、しかも最新作として観たらどうか?」と客観視してみたらどうでしょうねと。

作り手も、おそらくそこまでわかった上で作ってる。確信犯的なオナニー作品なんだと思います。

もっと単純に、『2001年宇宙の旅』や『ブレードランナー』といった、古典的SF映画作品に対するオマージュ溢れた、王道復古的な狙いがあったんじゃないかとも想像はできますけど。でも、だとしたらこの脚本や全体の作りの荒さは理解できません。そんなんでいいと思ってんだったら、それは自覚症状のない夢精症状です。

そもそも、映画なんてオナニーで全然いいと思うんですよ。

その結果興行成績が悪くて困るのは創った本人たちや配給会社だけなんだし。困るのがいやなら、少しは妥協して流行や幅広い意見をとりいれればいいだけなんだし。そこで妥協することによって一般受けを狙うか、あえて志を貫いて自己満足とマニアの支持を得るか、そのへんのさじ加減の自由度が高いのも映画特有なんだし。

逆に、変にひよって今風のVFX作品にしちゃってたら、そもそも自分観に行ってすらないもん。

「ゲームの世界に入ってしまう!」なんて表現も、今時のオンラインゲームな感じですらないもん。『アヴァロン』を例に挙げる人が多いけど、あんな洗練されてないもん。むしろ、『ファミコン風雲児』の「ドットチェンジ!」思い出したもん。でも、それがいいんですよ。まさに、『ゼビウス』だからいいんですよ。

あと、ヒロインが片桐はいりに似てるのもいいですね。

片桐はいりって、アメリカの方ではもしかしたら“クールアジアンビューティ”にあたるんじゃないかと思うんですよ。普通に。ていうか、本作のヒロインとの共通点はテクノカットとテクノ眉毛ぐらいんなんですけれども。ていうか、ヒロイン以外のキャラももうちょっとテクノ風吹かしてほしかった。特に主人公にテクノ味が足りない。

最後に、ちょっとだけネタバレ含みますけど、どうにもこうにも可笑しかったので。

電脳世界のNPCたちが軍隊を作って、現実世界に攻め込もうというシーンがあるんですけど。こいつら、やっぱり“フリスビー”と“棒”しか武器持ってないんですわ。そんな武器で大丈夫か?って話以前に、こんないかにも無菌な世界で生きてた連中なわけだし、現実世界に入った瞬間に全員風邪ひいて死にそうですよ。

兎に角、何度も言うけど、個人的には今年のベスト10に入る作品ですヨ。