泥船てすかとりぽか

FC2ガ沈ムマエニ逃ゲダシマシタ。

『ソーシャル・ネットワーク』 ウチは出会い系じゃない!

(わりとネタバレ含みます。)

要するに、「ウチは出会い系サイトじゃないんだ!」と全力疾走する話。

ソーシャル・ネットワーク

2010年のアメリカ映画。デヴィッド・フィンチャー監督。

SNSサイト『Facebook』の創設者であるマーク・ザッカーバーグを中心に、“世界最大のソーシャルネットワークサイトのはじめて”を描いた物語。脚本面でザッカーバーグ氏本人の確認なしで描かれているお話だそうなので、全てが事実なのかはさておき、とても“疾走感”のある作品で面白かったです。

何より、『Facebook』というサービスを宣伝するには、これ以上ない手法だと思いました。

SNSソーシャル・ネットワーク・サービス)といえば、日本では『mixi』や『GREE』、『モバゲータウン』などが有名ですが、それらが抱える一番の問題は「所詮、出会い系サイトじゃねーか」という悪印象。しかし、本作中でザッカーバーグは「『Facebook』はてめーらの出会い系サイトとちげーんだよ!」と何度も吠えます。

結果として、観客は「『Facebook』は他のSNSとは違う!」という好印象を持って帰ることになります。

表向きザッカーバーグ氏本人や『Facebook』自体は、本作の製作に関わっていないということではありますが、“悪印象の払拭”と“世界的な宣伝効果”という2点で、莫大な恩恵を受ける結果になっています。映画作品としてだけでなく、扱われるサービスのマーケティング手法としてもピカイチと評価できますね。

そして何より、ザッカーバーグの理想とするネットワークサービス成功の方程式に共感しました。

1.スピード&ノンストップ。
2.クールであること。
3.スキャンダルを起こさない。

自身、オンラインゲームなどのネットワークサービスの仕事に携わるようになって10年以上になります。それでもなお、それを成功に導くセオリーや最適解は導き出せていません。ただ、本作のザッカーバーグを見て、自身の信じてる道とそれほどかけ離れてはいないんだなと、強く共感することができました。以下、その詳細です。

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1.スピード&ノンストップ

兎に角、スピードが第一。先にやったもん勝ちの世界です。劇中のボート双子の例でわかりやすーく語られていますが、全てが数日、または数時間の違いで勝敗が決する世界。後からパクリだとかなんだとか言ってもどーにもならない世界。ハーバード大の学長からして「あたりまえ」と語る、スピードが何より重要な世界。

そして、止まらない世界。休まない世界。

止まらずに邁進したものだけが、勝利の権利(勝利の確証ではない)を得られる世界。勝っても勝ちで終わらない世界。勝ち続けないといけない世界。一般的な幸福や成功という意味の言葉とは相容れない、ある種変態的な素養を多分に求め続けられる世界。取引先のエライさんが来ても、手を休めないことが正解とされる世界。

劇中、ザッカーバーグは、何故か知らないけど、それを最初から識っていました。

会社の口座を停止し、サービスの稼動を止めそうになったエドゥアルドに対し、それまでになかったような強い口激をし、考えを改めさせたザッカーバーグ。彼がスピードと同時に最も重視したこと、それは“サービスを止めないこと”でした。それはまさに、自身が考えるネットワークサービスの最重要事項と附合します。

ネットワークサービスは、止まった瞬間に誰も使えなくなります。ただそれだけが理由なんですけど。

そのあたりまえのことがわからず、わりと簡単にサービスを止めてしまう。わりと高い頻度で長時間のメンテナンスを繰り返すような粗悪なサービスがたーっくさんあります。その間失われた、本来ユーザーが利用できたであろうサービスや、対価に関してお詫びも補償もなく。むしろ、そうすることが当たり前のような態度で。

サービス停止によって人が離れてしまう。それは極めてあたりまえのことなんだけど。

ザッカーバーグのようなある種の変人部類にあたる人が。それこそ訴訟状を1週間も無視してしまうような人間が。サービスの停止に関しては、えらく具体的に、常識的な説明をしていた場面だったので、非常に印象に残りました。ザッカーバーグも、何かのネトゲでログイン障害があってムカついた経験でもあったんでしょうか。

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2.クールであること。

Facebook』の収益源として、広告掲載を提案したエドゥアルドに対し、ザッカーバーグとショーンは「クールではない!」という極めて抽象的な理由を持って否定します。「広告掲載はクールではない。」「『Facebook』は今最高にクールなんだ!」と。「少なくとも、評価額10億ドルを超えるまでは、今のまま続けるべきだ。」と。

全くもってそのとおりすぎます!!広告はクールじゃない!!

自分がこの日記にアフィリエイト広告をつけないのも、単に「クールじゃないから」ですが、それ以前に営利目的ではないのでコレを例に挙げるのは不適切です。企業の目的は利益の追求以外にありませんから、お金は稼がないといけませんよね。そういう意味で、広告収入モデルをとることは極めて正攻法だとは思います。

あたりまえのことではありますが、“お金儲けをすることは悪いことじゃありません。”

でも、そのお金儲けをする上で“お金儲けの臭いが嫌いな人は一定の割合で存在する”ということは、予め識っておかなければならないことだと思います。広告だらけのサイトが嫌い、“テレビで紹介されました!”と謡うラーメン屋が嫌い、Twitterでフォローしてくる自称企業家が嫌い、そういう人もたくさんいます。

そういうお金儲け臭を嫌う理由は、単に金持ちへの嫉妬や怨念とか、くだらないことなのかもしれません。

ただ、そういう一握りの人間を代弁してうまいこと理由を述べるのであれば、「クールではない!」という言葉はしっくりきます。そんなことを知ってか知らないでか、広告ベッタベッタ貼って逆に客を減らすお店や、「金儲けして何が悪い!」と公言して、顰蹙を買うような人や企業があったりします。

ザッカーバーグの本意は、「どうせ出世払いするから、今は好きにやろうぜ!」だったかもしれないけど。

エドゥアルドの言うとおり広告を貼っていたとしたら、それこそ「クールじゃないね…」って思われて、会員数もそれほど増えず、世界的な成功は到底成しえなかったことでしょう。てゆか、結局は“クールさの追求に伴う会員数増加”と“クールさを棄てての収益増加”のバランスから、最適値を導き出すのがベストですけどね。

そうした“ヘイトはなるべく稼がない方がいい”という部分は、次の話にも続きます。

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3.スキャンダルを起こさない。

本作は、“『Facebook』に関するスキャンダル”を描いた作品でもあります。ザッカーバーグ本人に対する訴訟、さらに周辺の人物に対する醜聞、いわゆる“大衆好みする大企業の醜聞”、それらの真相に迫ったドキュメンタリー・サスペンス映画としての観方もすることができます。

ザッカーバーグ自身は、この“スキャンダル”を非常に恐れているように描かれています。
(それらスキャンダルは、全てザッカーバーグが仕組んだものであるという読み方もできますけど。)

てゆか、この部分はべつにザッカーバーグでなくとも、普通どの企業でも恐れる部分だとは思いますけど。顧客から不必要にヘイトを稼ぐことは、そのまま利益減に直結するなんてことは小学生でもわかることです。だから、普通の企業は、顧客から好かれようとするし、無駄なヘイトは稼がないようにするものなのですけど。

なんでか、最近日本では、顧客のヘイトを稼ぎまくってなお好調な会社があるんですよね。

ただでさえ、“出会い系サイト”とか揶揄されているにも関わらず、社長自ら「○天堂はもう終わった!」とか他社批判を行ったり、無料なのに高額請求が来るというトラブルが相次いだり、不正アクセスという犯罪行為を野放しにしたり、独禁法に違反するようなことしたり、驚くほどどんどんヘイトを稼ぐ会社があるんですよね。

「それでも、儲かってるからいいじゃん。」って話なので、別に個人的にも上記問題はどーでもいいです。

ただ、その会社に関係してる業界のお話を聞く限りでは、その会社だけでなく業界全体に世間のヘイトが乗ってしまい、本当に辛いそうです。サービスやゲーム自体が悪いわけでもないのに“もしもし”とか揶揄されたりするし。兎に角、気持ちよく仕事をすることができない、気持ちよくお金を稼げないということです。

「お金を稼ぐなら、気持ちよく稼ぎたい。」と思う気持ちは、誰にでもあると思います。

むしろ、「気持ちよくお金を払ってもらったほうが、長期的な利益を期待する上で合理的である。」と考えるのが、企業的に正しい考え方でしょうか。近所のパチンコ屋ですら、地域貢献と称して宮村優子を呼んでイベントやったりしてましたし。例の会社とパチ屋が同列に並べて揶揄されるたび、パチ屋を不憫に感じます。

とりあえず、『GREE』も『モバゲータウン』も、「出会い系じゃない!」って主張する映画作ったほうがいい。

この2社が世間の偏見を無くし、無駄なヘイトを無くす手段は、決してテレビCMバンバン打って、バンバン芸能人を出すことじゃなく、本作が示すように“よくできた映画で魅せる”ことこそ最適解だと思います。まぁ、そもそも醜聞なんか全く気にせず、長期的な利益も考えず、焼き畑で稼げるだけ稼げりゃいいって話かもですが。

んでも、ザッカーバーグがスキャンダルを恐れる理由はもっと単純な気もしますけどね。

その理由こそ、やはりラストシーンから読み取ることができると思います。ああ、やっぱり最初の自分の醜聞と、それが原因で彼女を傷つけたことを気にしてたんだ…と。でもまぁ、本作ではザッカーバーグの内面を言葉で語るようなことはないので、本当のところはどーか知りませんけどね。

でも、絶対リアルの本人あんなんじゃないんと思うんですよ!?
リアルはもうほんとリア充丸出しのIT長者まるだしのヤリチン大魔王なんですよきっと!!

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あとこの映画を観て、何より個人的に『Facebook』やってみようかと思いました。

ただ、ウチの会社守秘義務とか滅茶苦茶厳しいし、『Facebook』なんて間違いなくチェックされてるだろうから、ほんと何処で何してるのかすら書けないですよ。あと、ここやTwitterで結構ひどいこと言ってるんで、他のネットコンテンツとリンクさせて自己紹介することも不可能です。要するに、やる意味がほとんどないです。

何より、ネットに顔出したくねえーーー!!顔出さなくていいなら少しは考えるよーーーー!!

(2011年2月5日追記)
感想2回目“続・『ソーシャル・ネットワーク』 商品知識とTENGA”書きました。