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泥船てすかとりぽか

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『二次創作と著作権について』 限りなく真っ黒に近いグレー

げーむ

何やら本日Twitter上で二次創作と著作権に関するツィートを多く見かけたので。
いい機会なので自分の認識をまとめておきたいと思います。

【1】二次創作の必要性について
【2】二次創作の違法性について
【3】二次創作のあり方について

とりあえず、上記3点について順に。

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【1】二次創作の必要性について

“ある漫画賞受賞作品との間で生じた問題についてのコメント 冲方丁先生のブログより”

・広告効果
・ファン同士の交流
・セミプロの育成の場

二次創作の必要性に関しては、わりと自分も冲方先生のご意見と同じでした。自身が過去に二次創作に携わっていたということもあり、現在もそこで培った経験の多くを仕事に生かせているという事実が、最もな論拠です。あとは、自分の周囲でも二次創作を通じてプロの漫画家になった人がたくさんいるというのもあります。

ただ、一つ疑問があるとすれば、“広告効果”という部分について。

二次創作が権利者のビジネスのプロモーションとなるかどうかという点については、その効果を実感したこともなければ、効果を証明するデータが取れたということもありません。あくまで感覚的な範囲で“効果ないってことはないんじゃないの?”という程度で、実質「効果なんかない」と言い切るプロモーターも少なくありません。

しかし、二次創作をする側の意見として必ず聞かれる「宣伝してあげてるんだから」という声。

権利者側と二次創作をする側の間で、おそらく一番認識に溝がある部分は、まさにこの点。“権利者の利益になるかならないか?”の部分です。そして、今後の二次創作のあり方を考える上で、両者の認識を合わせる必要性が最も高いと感じる部分でもあります。てか、その話の前に、二次創作の違法性についてお話いたします。

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【2】二次創作の違法性について

「限りなく真っ黒に近いグレーですね。」

ゲーム業界団体の顧問弁護士で、知的財産権関連の研修会などをされている方にお尋ねした時の回答。

著作権者の許諾を得ずに二次創作物を作成した場合、複製権・翻案権・同一性保持権等の権利侵害となる可能性があります。勿論、これらを販売したりネット上で公開するなど、私的利用の範囲を超えた場合に限られますが。ただ、著作権者の許諾の範囲内で作成する限りにおいて著作権侵害となることはないそうです。

“権利者の許可を得れば問題ない”それだけが、完全に黒とならない理由なんだそうです。

じゃあ、“権利者の許可を得ずに売った場合は?”当たり前の話ですが、黒です。著作権を故意に侵害した者は、刑事罰として10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられます。はっきり言って重いです。傷害罪より重いんじゃないでしょうか。さらに、民事訴訟で損害賠償請求もされます。

ただし、著作権侵害罪は“親告罪”です。

権利者による告訴がなければ、検察官は公訴を提起することができません。つまり、“訴えられさえしなければ問題ない”ということですが、逆に“訴えられたらアウト”ということです。「じゃあ、過去に訴えられた事例があるの?」って点に関しては、ぐぐれば出てくるので気になる方は調べてみてください。

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【3】二次創作のあり方について

前述した自身の認識の【1】の要点は、“権利者と二次創作者の認識の最大のズレは、二次創作が権利者の利益になるかならないか?という点”。【2】は、“著作権侵害罪は親告罪である”という点になります。この2点から、今後の二次創作のあり方について導き出せる結論は1つしかありません。

“権利者に不利益を与えないように二次創作をしよう。”

「いやいや、なんかちがくね?普通は“権利者の利益になるように二次創作する”か、そもそも“権利者の許諾を得て二次創作する”って考えになるんじゃね?」と思うかもしれません。では、まずこれら2案の反証から行っていきたいと思います。まずは、“権利者の利益になるように二次創作する”ということ。

「なるわけねーだろこの盗人ども!!」

ゲームのデザイナーさんとか、本気で同人嫌いなんだと驚きました。中には同人上がりの方でそれらに好意的な方もいるかもしれませんが、芸術家肌のプライド高い人が多かったりします。基本的に自分の関わった作品の二次創作物とか「早く訴えて潰せよ!」って感じです。

そもそも、デザインという最も著作要素の高い部分を担う彼らからして、二次創作を嫌っているのです。

それは、“自分のデザインしたキャラを勝手に描きなおされている”という芸術家としてのプライドを傷つけることは勿論、“勝手に売って金にされている”ならびに“本来自分が受け取るべき報酬を掠め取られている”という、金銭的な問題でもあります。ファンの人が思ってるほど、そういう方々も聖人君子じゃないんですよ。

さらに、この不況下です。リストラや賃下げもあたりまえのように行われている中のことですから。

数年前ならいざ知らず、こんな状況下で“二次創作が権利者の利益になる”なんていうのは盗人猛々しい話です。ジュース万引きした犯人が「俺がみんなの前で飲んで宣伝します!」って言ってるようなもんです。ただ、それでも“権利者を説得できる確かなデータ”を示すことが出来ればどうにかなるかもしれませんけど…。

じゃあ、“権利者の許諾を得て二次創作する”というのはどうなのかといいますと。

これは、実際ガレージキットの展示即売会である『ワンダーフェスティバル』や『ジャパン・ファンタステック・コンベンション』でやられている“当日版権システム”で実現されています。イベント参加者が、事前に二次創作物の販売許諾を権利者各社から受けるというもので、これなら著作権侵害にもあたりません。

「正直めんどい。」

これのチェックだけ昔やったことがあるんですけど。めんどい。そもそも、デザイナーに確認するとほぼほぼNGになります。特に、オリジナル要素を入れられた時点で大抵は「これは元々ウチで出す予定だった奴だ」とか「ウチで出すデザインの可能性が削られる」とか、そういう理由で許諾自体が滅多におりません。

しかも、まだ点数が少ないガレキでも大変なのに、同人誌とかなったら…。

“権利者側に膨大な工数が発生する”という理由から、“権利者の許諾を得て二次創作する”ということも現実的ではないと考えます。もちろん、工数が増えるのは二次創作をする側も同じですよね。同人誌の印刷スケジュールを現状の2ヶ月ぐらい前倒しする必要が出るんじゃないんでしょうか。

結局残る手段は“権利者に不利益を与えないように二次創作をしよう。”

“不利益にならないように”とは、具体的には“権利者に致命的なダメージを与えないこと”です。権利者側も、訴訟するにはお金も工数もかかるので、余程のことがない限り告訴なんかしないんです。だから、普通の二次創作による権利侵害で掠め取られる利益は、権利者側もリストラや給料下げることで賄う方が楽なんです。

普通の権利侵害により受ける不利益は、権利者側の末端スタッフが血を流すことで賄うからいいんです。

では、権利者にとっての“スタッフの血じゃ賄えないほど、致命的なダメージ”とは何か。具体的には“企業イメージの失墜”や“一般のお客様に迷惑がかかること”です。つまり、具体的にどんな時に告訴されるのかというと、前述の弁護士の方の言を借りるならこうなります。

「とにかくエロいのはだめですね。」

例として『ときめきメモリアル』の二次創作であるエロビデオが、著作物の改変行為として認められた事例を上げていました。アレとかは、要するにゲームのイメージを不当に著しく貶めたことで、“ゲームブランドが致命的なダメージを受けた”と権利者が判断した故に起こされた訴訟であるともいえます。

もう一つ、エロいのがまずい理由。“一般のお客様からのクレーム”につながりやすいこと。

権利者が大きな企業であればあるほど、体裁を重んじます。そんな中、一般のお客様からの「お前のとこの作品がエロ本になってるぞ!」みたいなクレームには異常に弱いんです。とにかく、18禁の二次創作は、権利者に対して与えるダメージがその他二次創作とは段違いなのです。故に訴訟されるリスクも高いのです。

元々は、二次創作も、エロ創作も、アンダーグラウンドであるべきものでした。

それが、いつしかかオタク文化が一般的な文化となるに従って、二次創作もエロ創作も地上に這い出てきてしまった。“市民権を得たもの”として勘違いした人々が、街中でエロマンガを広げ、海外に輸出し、一般人の嫌悪や外圧を煽ってしまった。行政介入や表現規制への足がかりを作ってしまった。

それでもなお、日の下ではしゃぐのを止めないのであれば、二次創作に未来はないでしょう。

権利者からの告訴は勿論、行政や司法の介入が増えるような状況になれば、展示即売会の会場を借りることもできなくなり、二次創作の活動の場は根こそぎ奪われることになるでしょう。自分がそうした状況を望んでいないのは、一番最初に説明したとおりの理由です。二次創作の必要性を感じているからこそです。

だから、ここに警鐘を鳴らしたいのです。もうこれ以上社会を敵に回すなと。

権利者にダメージを与えるなと。訴訟されるような真似はするなと。そうでなくとも、自身の行為の結果が多くの権利者側スタッフが血を流させ、自殺にすら追い込んでいるのだと自覚はしてほしい。その上で、ただひたすら謙虚に、日の当たらない所で、自身を磨く手段として二次創作を愉しんでほしい。そう願います。

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補足。著作権侵害の“非親告罪化”への動きも懸念されています。そうなると、権利者の告訴なしでも“警察側の判断で逮捕・告訴することが可能”になります。そうなると、“通報厨”が生まれてディストピアSFみたいな世界になります。ちなみに、商標権の侵害は現状でも“非親告罪”です。何が言いたいのかというと…。

某アニメキャラの企業ロゴは、描いて売った瞬間に捕まります。
(警察が自発的に捜査はしないでしょうけど、通報されたらせざるを得ません。)