てすかとりぽか

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『ヒア アフター』 イタコLOVE 〜ブルーハート〜

ヒア アフター

2010年のアメリカ映画。クリント・イーストウッド監督。

■あらすじ(Wikipediaからのコピペ)
ジャーナリストのマリーは、津波にのまれた時に臨死体験を経験。その時に見た不思議な光景を忘れることができない。少年マーカスは、愛する双子の兄を亡くしてしまった悲しみから立ち直れずにいる。ジョージは、かつて霊能者として知られた人物だが、次第に自らの才能を嫌悪、その才能を用いずに生きている。

冒頭の津波のシーンばかり話題になってましたけど、むしろその他の部分が素晴らしい作品でした。

ヒア アフター(Hereafter)って“来世”って意味があるらしいですが、英語に疎い自分はそんなん知らずに見ちゃいました。そういう意味では、邦題のつけ方にセンスねーなと思います。日本のオカルト好き層に訴求したいなら『ロンドン大霊界』ぐらいのド直球にベタなタイトルにしたら好かったのにねーと。

内容的には『イタコLOVE』だったら完璧に一致してたと思います。

筋肉少女帯の名曲「イタコLOVE〜ブルーハート〜」の歌詞は、失った恋人の魂をイタコに呼んでもらい、そのままイタコと暮らすという内容なんですけど。本作も元イタコ(チャネリング霊能力者)のマット・デイモンが、その能力故に恋人もできないとか、でも同じイタコ的な女性に惹かれるとかそういう話なので。

個人的に、イタコやコールドリーディングの類には興味があるのでとても愉しめました。

そもそもイタコというのは、日本の東北地方などで口寄せ(死者の霊などを自身に乗り移らせてその言葉を語ること)を行う巫女のことです。イタコには霊的な力があるとする考えもありますが、一般的にはクライアントの心情を読み取る力(一種のコールドリーディング)を利用したカウンセリング術とされています。

本来は死者あるいは祖霊と生きている者の交感の際の仲介者として、氏子の寄り合い、祭りなどに呼ばれて死者や祖霊の言葉を伝える者だったらしいんですけど。そうしたシャーマニズムを“遺族カウンセリング”という実益に生かし、観光利用することで地元の利益に還元するというビジネスは素直に素晴らしいことと考えています。

ただ、霊能力とかスピリチュアルとか本気で信じてる人だと、肩透かしを食らうみたいですけどね。

本作の中でも、マーカスが死んだ兄に会いたいがために何人もの霊能力者の元を渡り歩くけど、どれもニセモノでがっかりするという描写があります。個人的には、そういうニセ霊能力にも価値はあると思っています。その程度のウソっぱちでも、救われる人がいるなら、それは白魔術なわけですから。

脅して呪いをかけたり、騙して壷を売りつけた時点で、それは黒魔術になるので、許せませんけどね。

例え魔法の正体が単なるコールドリーディングだったとしても、“人を救いまた呪うという効果があるのであれば立派な魔法である”というのが自身の“霊能力”に関する認識です。“死んだ人の霊が何かをするのか?”という部分に関しては99%懐疑的ですし、故に特定の宗派に対する信仰心もないですけど。

でも、本作の中にマット・デイモンは、“ホンマモンの霊能力者”として登場いたします。

“ホンマモンの霊脳力者”に関しても、自分は1%未満の割合で「いてもおかしくないじゃん?世の中広いんだし。ていうかその方が面白いし。」って思ってます。実際、“視えちゃう”人が正常な世間一般の生活を営めずに、恐山でイタコの門戸を叩くこともあると聞きます。“視える”のは個人の認識の問題だから否定できません。

その“視えちゃう”能力のことを、マット・デイモンは「能力ではない、呪いだ。」と嘆きます。

そりゃそうでしょうよ。統合失調症扱いです。(実際に劇中でもそういう診断受けてました。)『X-MEN ファーストジェネレーション』も、自身の能力と差別に苦しむお話でしたが、根本的に違う部分があります。現実世界にミュータント能力はないけど、“視えるが故に統合失調症”と診断されてる人は存在するわけですから。

“その人たちが視ているものが死んだ人の霊なのか?”という部分は特に重要じゃありません。

重要なのは、“普通の人が視えないものを視てしまう人がいる。そして社会生活の妨げになっている事実が存在する”ということ。本作を凄いと感じたのは、霊がいるとかいないとか、死後の世界があるとかないとかじゃなく、“視えてしまう人の視点に立って、彼らが何を悩み、考えているのか”を描いた点にあると思います。

閑話休題。個人的な経験に基づく話ですが、コールドリーディングは仕事の中でマジで役に立ちます。

自分も入門書とか興味半分で読んだ程度ですが、チームマネジメントや採用面接なんかをしている中で、相手のホンネを聞き出したり、ウソをついているかどうか見破ったり、さらに相手の譲歩を引き出したりする上で、その論理的手法が信じられないほど役に立ちます。ちょっと霊能者の才能あるわ自分って感じです。

ちなみに読んだ本はこちら↓みたいな感じでステマするのにも役に立ちますよ。