てすかとりぽか

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『貞子3D』 ネタバレあり

ストーリー部分のネタバレが含まれております。

『貞子3D』 ネタバレなし”を未読の方はこちらをお先にどうぞ。

貞子3D

2012年の日本映画。英勉監督作品。

インターネットの『ニコニコ生放送』で生放送された自殺動画。その動画を見た人は死んでしまう。そんな“呪いの動画”噂が流れていた矢先、女子高の教師である茜の教え子の一人が不可解な死を遂げる。彼女は死ぬ前日に「呪いの動画を探している」と話しており、また死の直前には何らかの動画を見ていたという…。

そんなニコ動、ドワンゴ前面バックアップでお送りする、Jホラー最新作なのです。

劇中いきなり「ニコ動」って略し出すニコ厨の刑事とか出てくるしね。かつて、VHS・テレビから出てきた貞子も時代とともにその世相にあった媒体、PC・ネット・ディスプレイはてはクラウドといったものまで利用するようになったというのが本作最大のテーマでもあり、笑…怖がりどころと言えるのではないでしょうか。

でも、それならいっそ開き直って、もっとネット住人向けの作りにしちゃっても良かったと思います。もっとネットスラングや定番ネタを取り入れたりね。例えば、序盤の教室で“呪いの釣り動画”を再生してしまうシーン。あんな糞動画で釣っても全く笑えないし、釣られた側も口惜しくないですよね。

あの場は釣り動画の定番である“藤崎瑞希氏(※1)”にご登場いただくべきだったかと。

むしろ、タイミング的にここで本物の“呪いの動画”が来るわけないと思ってたので、当然藤崎が来ると思ってたのでガッカリしました。(※1 ニコニコ動画で「藤崎 釣り」あたりで検索して出てくる系の動画を再生してみるとなんとなく「ああ、こいつのことか」とわかります。)

もしくは、“ガチムチパンツレスリング”の方ね。女子高生の反応が見たかったなぁ。

で、その後主人公の教え子の一人が『2ちゃんねる掲示板』のオカルト板でもって、誰かがうpした“呪いの動画”へのリンクを見つけるのですが、“404 File Not Found”つまりサーバーから動画は削除されていました。この“404 File Not Found”がフラグとなり、後ほど“呪いの動画”からの逆アクセスを受けるわけですが。

Sleipnir使って“Internet Archiveで検索”すれば、削除ファイルぐらい探せると思うんだけどね。

閑話休題。今回の貞子は邪眼的な呪い殺しはしてこないんです。ディスプレイから“手をガッ”って出して首を絞めてきたり、窓の外に突き飛ばしたり、『イーアルカンフー』とか『魁!男塾』の敵(※2)みたいに辮髪を投げて絡めとってきたりと、なんか基本的に“物理で殴る”攻撃ばっかりなんですよね。

(※2 中国清代初期、辮髪の習慣を活用した幻の拳法があった。修行には重さ100貫20寸角のダ鋼鉄を吊るし頭髪と首を鍛えたという。この拳法を会得するためには最低3個のダ鋼鉄を持ちあげ 自在にふりまわすだけの技量が要求された。:民明書房刊「中国拳法大武鑑」より)

でも、実は主人公の女教師こそ“念力で周囲を吹っ飛ばす”ことが出来る放出系の念能力者でしたー!というチート設定だったので、出てきた貞子もあっさり粉々に粉砕されます。(この飛び出す粉々ガラスカットも天丼で何回か見せられます。)最終的に超能力合戦になってしまうのは元からなんで深くつっこみませんけど。

実は“居合い斬りの達人”でもありましたー!ってシーンが何の説明もなく入ってるのはちょっと…。

主人公の女教師は“実は自ら吸血鬼ながらもその血の定めに抗うヴァンパイアハンターで”ぐらいの説明書きがないと納得できないような特撮アクションが、急に終盤に描かれ始めるのですが、もはや脚本面は無視して観ている分には最高にクールでスタイリッシュアクションだと思いました(棒)。

そんな女ブレイドと、量産型貞子の死闘を描く後半の特撮シーンはマジで見所満載です。

量産型貞子(逆M字開脚貞子)なんてCGかと思いきや“着ぐるみ”ですぜ。今時は仮面ライダーの敵ですらCG使うのに。おかげで、昭和の特撮ホラー全盛期特有のおどろおどろしさが全開です。モチーフはカマドウマ(※3)なんでしょうか。井戸の中にびっしりいる虫といえばカマドウマですよね。キュア・カマドウマでしょうか。

(※3 都会育ちの人は知らないかも。「カマドウマ」でぐぐってみてください。【閲覧注意】)

いや、マジで友達の家の井戸を開けたら中に隙間無くカマドウマ(通称:便所コオロギ)がびーっしりいたの見て未だにトラウマなんですよ。『借り暮らしのアリエッティ』にも出てきましたけど、かわいいアニメ絵でさえ小人の身の丈よりデカいあいつらがビョンコビョンコはねてるの見ただけでマジ卒倒すっわ。

自身のトラウマに支えられてなんとか自分でも“怖い映画”としての認識を保てた本作ではありますが。

正直後半の“昭和特撮ノリ”を楽しめない方や、“あえて変化のない天丼で笑いをとろうとする”3D要素を面白さと認識できない方にとっては、3Dメガネ叩き割りたいくらいの糞映画って思われても仕方がないんじゃないんかと思いますよ。特に、エンドクレジットの後の駄目押しのアレなんかね。

エンドクレジットを待たずして席を立たれた方も、アレを予想した上で席を立たれたんだと思います。

さすがに、これソフト化はされないんじゃないかな…。3Dで観なかったら意味ないにも程がありますし…。前作まであったクトゥルー要素もないし…。でも個人的には大好きな『リング』で、しかも特撮ホラーの3D映画だなんて、ほんっっっとに劇場で観ておいて良かったと思っていますよ。

あと、呪いの動画でぐぐったらこんなの出てきた。自己責任で。
http://www.youtube.com/watch?v=_F5BaBI_WrM