てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『パシフィック・リム』 ゾンビ映画宣伝に関するデマの話

パシフィック・リム

2013年公開のアメリカ映画。ギレルモ・デル・トロ監督作品。

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ちょっと出遅れましたが観てきました。なので、今更自分からあえて語るようなことはもうないぐらいに(自分の周囲に限っては)大ヒットしてくれてますので感無量です。泣いた。泣きました。巨大ロボットや怪獣、そのファン世代に当たる、しかも海外でこんなに素晴らしい作品が生まれたなんてですね。

映画ファンの方、というよりアニメ・特撮ファンの方は毛嫌いせずに観てほしいですね。

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で、こっからが本題。こちらも今週公開の『ワールド・ウォー・Z』に関して、「宣伝に“ゾンビ”という単語を使わないように」という話が話題になってます。というか、映画の話そっちのけで、Twitterの映画界隈ではその話ばっかです。某映画評論家の方の憤りツィートが発端らしいのですが。

まぁ、過去にもそうやって「本来の内容とかけ離れた」宣伝を打つ手法は、映画に限らずたくさん観てきましたし。正直、見終わった後に「CMとぜんぜんちがうやん!」と怒ったこともあります。逆に「思ってたのと全然違ってて素晴らしい!」という『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みないな例もありましたが。

ただ、問題はそのソンビって言うか言わないかの部分はどうでもよくてですね。

その評論家の方が「ゾンビ映画をファミリー映画として売ろうとするような嘘つき詐欺宣伝野郎広告代理店野郎どもは地球に存在する必要これっぽちもないから、一人残らず死ね(中略)死ねんでしまえ!」とか言い出したんです。途端に映画クラスタ界隈で「そっか、広告代理店が悪いんだな!死ね!」のシュプレヒコール

続いて「日本の映画宣伝は、すべて広告代理店に強制されている!」のような発言も。

それはいくらなんでも妄想が過ぎます。「なんでもかんでも代理店が悪い!」みたいな風潮は2ch嫌儲板あたりを中心にしばしば見かける声ですが。実際に代理店がクライアントに宣伝内容を強要したりすることなんてないです。少なくとも、自分が関わった現場でそんな様子になりかけたことは一度もないです。

別に広告代理店かばってるわけじゃないけど。そこは事実経験に基づく話ですが。

仮に映画業界がそうだとしましょう。(自分も映画の宣伝に関わってるわけじゃないしね。)だとしたら、単純に「代理店の言いなりになるしかない、自分で案を出せず金を出すしかない映画配給会社が無能」ってオチにしかなりません。だって、嫌なりゃ断ればいいし、自分で企画出せばいいだけの話ですよね。

業界側にいる人間がその宣伝に関して苦言を呈し、「代理店が悪い」というのは、みっともないことです。

そりゃ代理店だって良い企画も悪い企画も出して来ます。ただ、それを宣伝担当が「どっすか?」ってそのまま社内に上げたらその担当は無能です。それだけでなく「いやー、代理店がいい企画出してこないんすよー」なんて言われた日にゃ、少なくとも自分は「ハァ?じゃ、お前は何のためにいんの?」って言います。

「キミはもし自炊できないからといって、外食に行くとする。そのご飯がおいしくなかったとして、それを『外食産業が悪い。外食産業に搾取されている!』とか言うワケ?」とまでわかりやすく説明するかもしれません。何より、1ミリも自身を省みることなく、他人に責任をもってくあたりが心底見苦しいですから。

なので、割と一般論として「代理店批判」はみっともないです。

「すみません、せっかく提案いただいたのに申し訳ないですが、自分ところで考えてやります。」みたいに代理店を帰したとして、彼ら快く引きますよ。彼らだってそこまで暇じゃないし、なによりプロなんだから。そこで「二度とお前のとこのテレビCM打たないからな!」みたいなこと言われるわけがない。

いや、本当にそんなこと言われたことがある。って言うのであれば、その実例を示せばいいんです。

「広告代理店が数億もってく」とか主観に基づく嫌儲話をするのではなく、客観的データを元にした定量的な評価を前提にした上での時論展開、論理的な批判を繰り広げればいいだけの話です。でも、その提示を第三者から求められても無視するというのは、単純に評論を仕事とする者としてはあまりにもみっともないです。

ただ、みっともないだけなら言った本人が恥かくだけだからいいんですが。

言った本人がそこそこ名前の売れた映画評論家であるだけに「日本の映画宣伝は、すべて広告代理店に強制されている!」という悪質なデマゴーグが拡がってしまいました。「いや、それは違うよ」と指摘した方さえも、「この人は頭がおかしいから相手にするな」という誹謗中傷を評論家から拡散されるという被害にあいました。

“この評論家のやり口”に関しては前にも書きましたが、ほんといつもこんな感じです。

もうフォローなんかしちゃいませんが、映画関連の方をフォローしてるとことあるごとにこういう発言やらやりとりが流れてくるので。どうでもいい話ならスルーしますが、さすがに今回みたいなデマを流したり、親切心から過ちを指摘した人に刃を向けたりしてるのを見ると、一言言わずにはおれなくなります。

ある意味、映画評論家にとって代理店は業務上競合にあたるでしょうから、気に入らないのはわかりますが。

でも、その仕事の内容にケチつけるぐらいなら、自分で宣伝企画して配給会社に持ち込んで、堂々と代理店と競合して勝ち取ればいいだけの話じゃないですか。こんなデマを流して、配給会社が代理店使いづらくなったとして、その代わりに自分のとこに仕事が増えるとでも思ってるんでしょうか。

これまでもずっと同業者(評論家・字幕翻訳者・ジャーナリスト)批判してますし。ほんとソコ疑います。

最後に、別にゾンビでもゾンビでなくとも、代理店が悪くても悪くなくても、評論家がみっともないデマを流しても流さなくてもどっちでもいいんですが。ほんと映画を気持ちよく観られるならどうでもいいんです。そのへんの共通認識を少しでも持てる映画ファンが少しでも増えればと思い、ここに記しておきます。

誰かの指示で個人攻撃するイナゴになってしまうような映画ファンが少しでも減ることを願って。

ああ、『ワールド・ウォー・Z』観るの楽しみです。