てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」』

ウェブ仮想社会「セカンドライフ」ネットビジネスの新大陸

アスキー新書刊。浅枝大志著。
株式会社メルティングドッツの社長で、
Meltingdots ISLANDのオーナーの方の書かれた本。
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よく新書をジャケ買いする人間ですが、大抵はすごいあたりまえのことしか書いてなくて面白くない。たぶん、新書って映画のジャンルに置き換えると「B級ホラー」なんですよね。面白くないのはわかっていても、ついついタイトルに釣られて観てしまう感じが。

この本も、どうせよくある『セカンドライフ』の紹介テンプレの一つなんだろーなーと思いつつ、全然期待しないで読んだわけです。

いやいや。すげー面白い。
ちゃんとしてるとかとは逆の意味で。
セカンドライフ』抜きにして世の中を見る角度が面白い。

その理由の一つとして、この著者が自分より若いってのがあります。自分より下の世代が見聞きした世界を描いた文章を読む機会なんてそうなかったですし、何より着眼点が違います。

例えばこんな話。この著者ら1980年代生まれは「卒業名簿をもらえない」世代といわれ、個人情報保護の観点から学校のクラスの級友の住所も電話番号も共有させてもらえなかったそうな。仕方なく、携帯電話のメールのみを連絡手段としていた彼らは、必然的に「現実の人間関係を再構築するために」SNSへ参加していったということです。

へぇ。そうだったんだ。でも、その「名簿がない」ってことを「SNS人気の理由」として繋げる発想はないよな普通。そして、さらに考え方が突飛なだけでもなく、ちゃんと冷静かつ論理的な切り口も垣間見せているのにも感心。

例えば「リアルマネートレードは悪か?」という項目において、「ゲーム会社は自身のビジネス構造を守るためにRMTを禁じている」と述べています。全くそのとおりであたり前のことなですが、滅多にこのあたり前のことをちゃんと理解してる大人っていないんです。

大抵「RMTはモラル上よくないから禁止している」とか「RMTを許可しないと経済活動に悪影響だ」とか、NHKに出てくるガチホモっぽい自称MMO研究の第一人者の教授とかが妄言ってしまうのです。

まとめますと、この著者は、とってもちゃんとした文章を書ける今時珍しいナイスな若社長なんだと思います。是非今後も応援していきたい。

そして、早速ですが、
Meltingdots ISLANDにお邪魔してきた。
この距離感のなさも『セカンドライフ』の特徴ですね。07042502.jpg

しゃちょーさーん!どこー!本みたよー!
顔(アバター↓)割れてますんで、絶対に見つけますよ!!
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ああ、そういえばここって、前に自分がうっかり「フィッシング詐欺」呼ばわりしそうになった「日本語登録サイト」の島だったんですね。一応、日本語で登録ができて、この島で日本語のチュートリアルを受けることができるようになるそうです。
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チュートリアルは日本語なのでわかりやすかったです。

ただ、公式サイト以外の場所でアカウントのIDとパスワードを入力するという行為は、「いつアカウントの不正利用を受けても文句が言えない」行為であるということは、常々そうした被害をよく見ている者としてはあえて口を酸っぱくして言います。

特に『セカンドライフ』は、ログインさえできればクレジットカード限度額いっぱいまで仮想通貨を購入し、それを他者に移動することも簡単です。このため、今後アカウント盗用や不正アクセス事件が頻発していくのは間違いありません。

そして、被害者が責任を追及するのは、パスワードを入力させた「公式以外のウェブサイト」です。本来不正アクセスなんて受けた人の自己責任ですし、そもそもの原因がPCに元から入っていたスパイウェアだったとしても、被害者が疑うのはパスワードを入力させたサイト。不正アクセスの届出を受けた警察が真っ先に疑うのもやはりそのサイト。

(ちなみに商売の邪魔するために言ってるんじゃないですよ。むしろ利用する側に、その「覚悟」のことを言いたいだけです。そういう意味では「SLexchage」をはじめとした「IDとパスワード入力を求める公式以外のサイト」の利用は全部一緒。使う場合には自己責任で。万一不正アクセスで全財産とカード限度額一杯盗まれても、悪いのは自分ていうこと。サイトに責任追及するのはよしましょう。)

そんな状況で、いかにユーザーの信頼を勝ち取り、「日本語登録サイト」に安心してパスワードを入力してもらえるか。また、実際にこのサイトを利用した方の中から不正アクセス被害者が出た場合、どのように対応を行っていくかという点が、メルティングドッツ社さんの成功の鍵であり、若社長の頑張りどころだと思います。