てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『セカンドライフ』 不動産業の変遷

知人のすくーるいずみさんが不動産ビジネスに手を出したので宣伝。一週間たったの100L$で店が借りられるらしいです。あとマネーツリーもあるですよ。

大いずみ学園:
http://schoolizumi.slmame.com/e56288.html

せっかくなので『セカンドライフ』での不動産ビジネスについて考えてみたいと思います。(すくーるさんはビジネスにするつもりはなさそうだけど。)とりあえず、この仮想世界の最初で最後の億万長者とされるアンシェ・チュンさんは、この不動産業で財をなしたらしいです。

彼女は、中国の都市近郊に住む高学歴ながら低所得な若者を使って(RMT業者と人材が同じなんだね笑)『セカンドライフ』内の土地を、とにかく安く、大量に、クリエイターに向けて提供していきました。当時はまだこの世界には何もなくて、いる人はほとんどクリエイターばっかり。だから、何にもない土地でも(むしろクリエイターにとっては何もないほうが好都合)いくらでも売れたんだそうです。

ただ、今年ぐらいからクリエイターではない一般の人々の大量参入がはじまり、状況が変わってきました。彼らの目的は「ものを作る」ことではなく「見る」ことや「住む」ことです。

彼らにとって、何もない土地は魅力的ではありませんでした。そこで生まれたのが、マグスル社のような「造成済みの土地のレンタル」、「土地と景観を売る」という手法です。あらかじめ都市環境をある程度整備した上、「渋谷」や「新宿」といったネームバリューのある名前をつけた土地をレンタルすることで「都会の土地を買った気分」になれるというのも重要です。

当初は何もなかったインターネット(www)も、クリエイターがHTMLやCGIを駆使してホームページを立ち上げていきました。やがて、一般ユーザーの参入に併せて、あらかじめ体裁が整っているレンタルホームページが流行ったのと似ていますね。

でも、単に土地だけ売ればよかった時代に比べて、土地と景観を売る必要がある今は、開発コストがかかる分、だいぶ分の悪いビジネスなんだそうです。マグスル社の場合、SIMのレンタルとして初期費用約200,000円+維持費が月額35,000円+開発費用がコスト。これが完売すると、1SIMにつき月40,000円の利益が出るそうです。マグスル東京の過疎具合を考えると結構ビミョーな商売なんですね。

しかも、最近は土地を無料でレンタルするSIMの運営会社も増えてきました。狙いはそれぞれあるでしょうけど、要はかつての無料レンタルサーバ(「ジオシティーズ」とか)みたいな、広告収入型のビジネスなんでしょうね。

家賃収入型のマグスル社ピンチ!と思いきや、意外とそうでもないんですね。そもそも、現状のあの世界で広告収入型のビジネスが成り立たないわけです。その理由としては、いくつかあります。
1.『セカンドライフ』自体の見た目がしょっぱい。
2.1SIMに100人入ると落ちる。
3.原価が高すぎる。
4.無料ホームページは見た目がしょっぱい。

1.はもう他のオンラインゲームに比べて。でも技術力が解決するかと。2.もサーバ技術と時間が解決すると思います。でも、3.はホームページのレンタルサーバを用意することに対して『セカンドライフ』で土地を用意するのでは、コストが段違いということ。また、4.の理由は「ジオシティーズ」やってた人ならわかると思います。用意された環境の問題ではなく、作り手側のスキルの問題ですね。

セカンドライフ』の土地ビジネスが、インターネット(www)の歴史をまるのまま踏襲してるっていうのは面白いですが、結果的にレンタルホームページというインフラは小ヒットに終わりました。結局インターネットの普及に大きく繋がったのは「2ch」や「mixi」、「Youtube」といったキラーコンテンツになります。

"『セカンドライフ』は「カセットビジョン」"というのは前にも言いましたけど、要はキラーコンテンツがないから売れないんですね。ファミコンが売れたのは「ファミコンが欲しかった」わけではなく、「ファミコンスーパーマリオがやりたかった」からです。

インターネットがここまで普及したのは「インターネットがやりたかった」からではなく、「2chが見たい」「mixiがやりたい」人が多かったからです。だから「『セカンドライフ』の既存ユーザーにものを売る」、「『セカンドドライフ』の既存ユーザーが見る広告を出す」という考え方はベクトルが違ってて、「パソコンを買ってでも『セカンドライフ』をやるような理由を作るぞ」という思想の転換が必要なんだと思います。特にビジネスを考えてる企業さんには。

そうしたことを知ってか知らずか、すくーるさんのプロデュースする「ふぁーが村」や「大いずみ学園」は、"まずコンテンツありき"って考え方になっていて驚きです。

あの電車のアトラクションにしろ、アンリアルアバターを売る「いちごや」さんの誘致にしろ、よくある「現実世界を仮想世界に持ち込んだ」ものではなく、「現実の世界にも仮想世界にもどこにもないもの」です。"『セカンドライフ』の外から客を引っ張る気まんまん"なわけです。

なので、無料で土地を借りてる自分も、客寄せパンダ的なことをして応援しませう。背中にしょって、空を飛ぶとバーニアを吹かす「フチクマぐいぐるみジェット」です。無料ですからどんどんもってってください。
Urimono_kumajet.jpg

メカおにくや:
http://slurl.com/secondlife/Hachimantai/51/179/86/

結局うちの宣伝かよ。