てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『ドラゴンボール エボリューション』

近所のサティまで豚の角煮の材料を買いに行くついで、併設されてる映画館に寄りました。

嗚呼、『ドラゴンボール』の映画なんかがやつてゐる。
なんか変な表紙のコミツクスとか売つてゐる。
一体誰がこう云ふものを買ふのだろうか。

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買いました。そして、観てきました。

おそらく国内では今年一番の「話題作」であると同時に、封切り二日目の土曜日ということでたいへん混んでいるのかと思いきや。午後イチの上映回で客は自分を含めて数えるほど。実際、簡単に数えられたところで8人しかいない。しかも、休日だというのにカップルも親子づれも皆無。

オラ、ワクワクしてきたぞ。

ドラゴンボール エボリューション

2009年のアメリカ映画。ジェームズ・ウォン監督。
普通のアメリカの高校生である主人公の悟空が、突如2000年の眠りから目覚めたピッコロによる世界征服の野望を阻止するため、ブルマや亀仙人といった仲間たちとともに、7つ集めるとどんな願いでも適う不思議な石「ドラゴンボール」を集める旅にでる話。

ちょっと自分が知ってるのとは違いますが、明らかに『ドラゴンボール』ですね。
ちょいとネタバレにもなりますが、序盤の物語を追いつつ各キャラの人物像に迫っていきましょう。

祖父から日々拳法を学ぶ悟空。拳法なんかより「女にモテる方法」を学びたいと祖父に対して愚痴をこぼし、授業中も女のことで頭が一杯。同じクラスのチチのことを眺めては終始淫猥な妄想を繰り広げて、その視姦行為を見かねた教師から注意されたりもします。

こんな悟空は確実にランファンさんに負けます。

その後も、学校の廊下を気の力で滅茶苦茶に破壊したり、不良どもを挑発しては自ら手を下さずに同士打ちを狙ったり、女がたくさん集まるパーティに行くために、せっかく祖父が用意した誕生日のご馳走やケーキを台無しにしたり。悪人街道まっしぐらの悟空。

こんな悟空はきっと筋斗雲を素通りします。
ていうかアックマンのアクマイト光線で即死します。

しかし、そんな悟空が無断外泊して不純異性交遊三昧を繰り返している間に、祖父はピッコロに殺害されてしまいます。悲観にくれる悟空の前に現れた謎の少女ブルマは、いきなり悟空の頭に拳銃をつきつけてその中に鉛弾をぶっ放ち殺そうとしてきました。

こんな暴力的なヒロイン登場シーンはいまだかつて観たことないです。
でも、たしか原作でもブルマはいきなり悟空を撃ち殺そうとしてた気がします。

で、「さっきは撃ち殺そうとしてゴメンね!」の一言で和解した二人は、祖父の遺言どおり亀仙人こと無天老子を探すことに。そんな伝説の人物を探すのは大変なんだろうなと思いきや、名前のつづりをぐぐったらすぐ見つかりました。で、彼の家(カメハウス)はちゃんと原作どおり水の上にありました。

街の中を流れてる川の上に。びんぼっちゃまの家みたいに。

こうして、悟空は亀仙人に修行してもらいつつ、ブルマともドラゴンボールを探す旅に出かけることになりました。果たしてドラゴンボールを集めることはできるのか?そして、ピッコロの野望を阻止することができるのか?ヤムチャはでてるのか?

ヤムチャでてきますよ。『どチンピ…じゃなくて『クローズZERO』みたいなのが。
ウチの地元の方にいけば、たぶんまだ「格好いい」とか言われる感じのが。

あとは、やはり真ヒロインであるチチさんの活躍が見逃せません。亀仙人から「かめはめ波」の修行のため、5つの灯篭に気で火を灯すように言われた悟空。うまくいかない悟空を見かねたチチさんは、「灯篭を一つ灯すごとに私に一歩だけ近づける」、「全て火が灯せたらいいことをしてあげる」的な提案をする。

なんか、『いけない!ルナ先生』で見たことある修行方法ですね。

というような感じで、思ったよりは原作から乖離しない物語で、かつ全く新しいキャラクター像を提供してくれたという意味では、非常に楽しめる作品だと素直に思いました。言われているほどCGやVFXが酷いということもないし、アクションに関してはふつうにそれだけで楽しめる仕上がりだと思いますよ。

それでも、「完全に原作どおりじゃないのは許せない!」と思う人や、他人の意見を踏襲することでしか自分の意見を言えないような人が見れば、単純に「酷い映画」や「原作レイプ」として見えてしまうのも確かだと思います。自分も過去に漫画やアニメの実写化作品を観てそう感じたことは少なくありませんし。

でも、この作品に限ってだけは、むしろ原作どおりでなんかあって欲しくないと思っています。
その理由に関しては、本作の冒頭にある一文にもちゃんと表れていました。

「第一のルールは、ルールがないこと。」

この言葉自体がこの作品および『ドラゴンボール』の根底にあるテーマだとも思っています。

そもそも漫画の原作がヒットしたのだって、鳥山明先生が新しい表現を試み、既存のアクション漫画の常識を覆してきたからですよね。もし、最近のジャンプにおけるアレとかソレとかのように、過去のヒット作の要素をコピーしただけの漫画だったとしたら、こんな世界的人気漫画には到底なり得なかった筈です。

だからこそ、その『ドラゴンボール』という名前を使う以上は、原作をただ踏襲するような作品になることは一番厭だったわけです。原作のルールをぶち壊して、新しいルールを作るぐらいの創造性を求めていたわけです。ほら、あゆだって全世界共通テーマソング(笑)の中でそう歌っているじゃない。

"誰かに決められたルール
そんなもん必要ない
だってこの僕らがルール
そこんとこ譲れない

お決まりのつまんないルール
押しつけられたくない
まずは君と僕とでルール
ぶっ壊して始めよう"

実際、そこんとこ譲らなかった結果、原作ファンがブチ切れて酷いことになってますけど。
ファンがブチ切れどころか、興行成績もとんでもないことになりそうですけど。

放映後に館内が明るくなった時、4人しか残ってなかったし…。