『ファイナルファンタジーXIV』 廃人録
『ファイナルファンタジーXIX』発売決定の余波を受けて、その終焉が厳かに囁かれ始めた『ファイナルファンタジーXI』の世界、ヴァナディールにはどのような変化が起きているのか。実際にログインして確かめてきた。フィールドワークは民俗学の基本だと柳田翁も言っているし。
だいぶ長く課金してなかったので、キャラが消えてるかな?と思ったら全然平気。てゆか、いつのまにか課金しなくてもキャラ消えない仕様になってたみたい。でも、ログインした途端にビシージ(街中に雪崩込んでくるモンスター群を撃退する集団戦闘コンテンツ)の真っ最中。
いきなり巨大なキマイラ的な何かにからまれアリエナイ値のダメージをくらい即死。こういう巨大モンスターなんて、昔はHNMLS(超レアモンスターを狙う団体様)にでも入ってないとなかなかお目にかかれなかったのに、こんな街のど真ん中に現れてくれるとは。嬉しいやら悲しいやら、いや嬉しい。
てゆか、誰か倒してー!このままじゃ生き返ってもまた即死しちゃう!廃人さまー!!
そーです。今日の目的は『FFXI』の廃人様たちを「m9(^Д^)プギャー」することが目的。というのは嘘で、世界の変革を目にすることが目的。とりあえず、このワールドの人口は土曜日の22:00段階で約3,000人。少なくとも『FFXIV』の発売決定を受けて人口が減ってるようなことはないみたい。
とりあえず、このワールドで生活しているリアル兄と合流。
「もう終わりだ…。この世界も、データも、なにもかも…。」
話振る前から期待通りのリアクション。流石我が兄は格が違った。その後、別に頼んでもないのに「一級廃人見学ツアー」に誘われ…。確かにそういう目的もあるにはあるけど。いくら名前でその人がいるエリアがサーチできるからといって、その人が広いエリアのどこにいるのかまではさすがにわかんないだろーにと。
「廃人はいつも定位置を持つ。」
そう答えた兄は、街中の一角を静かに指差した。
そこには、美しい白銀の長剣と黄金に輝く盾をもつモノが立っていた。
「この世界最強のHNMLS"ダイダロス(仮名)"のNo.2。
そして世界No1.のナイトでもある、通称"石油王"のKameloon(仮名)さんだ。」
『FFXI』をそこそこやりこんできた自分にも、その"石油王"の意味は全くわからなかったが、彼が持つ「エクスカリバー」と「イージスの盾」。レリック装備と呼ばれるその超レア装備を2つも所持しているという到底ありえない現実が、何より彼が尋常でない廃人であるということを示していた。
レリック装備は、俗に「裏世界」と呼ばれる集団戦闘コンテンツでごく稀に入手できるアイテムを数万個消費することで生産できる。このコンテンツの攻略のために40〜50人のメンバーを統率し、かつ入手したアイテムを全てリーダー収集とし、それを数ヶ月〜数年に渡って継続するという、真のリーダーシップが必要とされる。
この生産に必要なアイテムをリアルマネーで買い集める人もいないではないが、単純計算で数百万円は必要。何より単にゲームプレイ時間が長いだけでは到底入手し得ないという意味で究極の廃人装備といえるのである。そんなものを2つも所持しているなんて…。
とか思いながら、となりに並んで写真をとる。
「おいィ!やめろ馬鹿!本人特定されてヴァナにいられなくなるぞ!」
と言ってる兄は右の方にちっさく映ってるタルタル。大丈夫、ワールド名もださないし、キャラ名もLS名も仮名にして掲載するから大丈夫。こんな辺境のブログなんか見に来るFFユーザーなんかいないから大丈夫。そもそも、自分はヴァナディールにいられなくなっても別に何の問題もないから大丈夫。
そして、もう写真は撮らないことを約束させられて、次に紹介されたのは…。
「HNMLS"ダイダロス(仮名)"のリーダー。
"頂点は常に一人"と自ら書いたキャラコメはもはや伝説。
あれが通称"界王"のSeisyonagon(仮名)さんだ!!」
もはやさっぱり意味がわからないけど、この方も「エクスカリバー」持ちの一級廃人様。なんでも、サービス開始当初からずっとこの世界のトップを独走している方なので"界王"の称号は伊達じゃないんだとか。「m9(^Д^)プギャー」ってtellしていい?と兄に聞いたら本気で怒られたのでやめた。
この他にも、9アカウント×14キャラクター同時栽培で所持金をカンストした"栽培神"や、100人の取り巻きをもつ"自称素人AV女優(顔出し)"、台湾人コミュニティの頂点に君臨する"龍爪"とその直属のアライアンス部隊"十八爪"などなど、想像の遥か斜め上を行く愉快な廃人様たちが存在するんだそうな。
可能であれば、そんな彼らに『FFXIV』の発売に関してどう考えているのか聞いてみたかったのだけれど、既に兄の所属している準廃人LSの中でさえ「14の話題は禁止」ということになっているのだそうで、とても無理。でも、まだまだ『FFXI』の世界が活気に満ち溢れていることを知って逆に安心した。
自分もせっかく再課金したので、またこの美しくも醜いでも愛すべきこの世界を楽しんでみようと思う。