『禅 ZEN』 草食系映画
休日もあんまり外出できない身としては、ツタヤの宅配レンタルは便利だにゃあ。
だがしかし、あれっていくつか予約してる中から2本だけランダムでとどくしくみになっているので、自分みたいに少しでも興味のあるやつはぼんぼん予約しちゃってる人間に対しては、何がとどくか全く予想できないのです。今週とどいたのは『ONE PIECE エピソードオブアラバスタ 砂漠の王女と海賊たち』とコレ。
『禅 ZEN』
2008年。高橋伴明監督による日本映画。
ひょんなことから宋に留学し、曹洞禅を日本に伝えた道元禅師の生涯を描いた作品。禅とかこむつかしい話の映画かと思いきや、道元禅師の人生や人となりにふれた心温まるハートフルなお話。とりあえず、禅のことなんか『鉄鼠の檻』読んだ程度の知識しかない自分でも楽しめました。
むしろ、「そもそも禅とは?」とかメタな方向に話をもっていかず、「かっこいい男子×お坊さん=草食系男子萌え」っていう超世俗的な作為がストレートに見えてくるあたりが逆に方便(本意ではないものの、本意を伝える手段となりうるという禅の教え。)と感じることができるのもまた禅なるかな。
↑こちらにも書いてありましたが、今草食系男子人気の延長なのか、「僧職系男子対象の婚活がブーム」なんだそうです。実際は、お寺に嫁ぐことがどんなに大変なことか、割に合わないことなのかって話を↑で本職のお坊さんが書いてくれていてありがたいんですけれどね。
でも、子がそのお寺を継がないのであれば、老後の保障も全くなしにその家族全員が寺を追い出されるって話はすごい。出家・不妻帯が大前提である世界ってことを考えたら当然のことなんだけれど、寺に生まれちゃった子に関してはそんなの関係ないし、とんでもないプレッシャーですよ。
実際、高校時代の同じクラスに、お家が曹洞宗のお寺だという人がいたんですけど。その子は三人兄弟の末っ子で、上二人が東大に行ってるから、自分も東大に入らないと寺を継ぐハメになるってんで死にものぐるいで勉強してたのを思い出しました。結局その子も東大には入れたんですけど。
それでも「坊主丸儲けなんだからいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、35才で手取り20万とかリアルな数字を聞くとさすがに吃驚。自分も坊主になってときどきお経だけ読んでお金もらってずっとネトゲやってたいとか思ってた時期がありましたが、そんな甘い世界じゃなさそうです。
否、それでもネトゲ廃人こそが悟りに至る近づく道なのです。
道元禅師も『正法眼蔵』の中でそうおっしゃられておられますよ。
只管打坐(しかんたざ)、ただ座って。
公案(こうあん)、常識的な思考を捨てて。
内観(ないかん)、世俗の財産や生活を捨てて。