てすかとりぽか

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『アリス・イン・ワンダーランド』 観客にモノを投げるな

アリス・イン・ワンダーランド

2010年公開のアメリカ映画。ティム・バートン監督。

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』の実写映画版にして、3D映画としても大ヒットした作品。を家でDVDで観ました。ウチには3Dテレビなんてハイカラなもんはございやしませんし、それ以前にブルーレイ再生機すらありゃあしません。ていうか、3Dテレビなんて買う人いるんですかね。

ていうか、早く終われよ3Dブームとか。

さすがに言い過ぎました。ついついルサンチマンの片鱗を垣間見せてしまってお恥ずかしい。てか、自分のTwitterの方なんて単なる嫉妬と怨念の垂れ流しBOTみたいになってるので、良かったらそちらもご覧くだ…良くないですね。別に3D映画を嫌いとかdisるとかそういうつもりではないんですよ。

なんか最近、3Dにおんぶだっこした映画が増えてきてなんか厭なだけなんですよ。

本作は3D映画でもあるんですけど、当然それだけを目的とした作品ではなく、ティム・バートン監督らしいイカレた幻想世界を存分に楽しめる作品です。別に3D版じゃなくても、映画館出るときに「ジョニデさいこー!!」って言いながら出れるぐらいミーハー…エンタメ性に富んだ作品ですし。

でも、やっぱり“3D映画であること”を意図したカットが散見されているのは確かです。

例えば、“画面の手前から奥、またはその逆にを移動するだけのシーン”が異様に長回しで映されている点。ストーリー的には全く重要でないその単調なシーン(あの世界が広いってのはよくわかったけど。)が、幾度も登場します。これは、明らかに画面に奥行きがあることを効果的に魅せようとした作為の現れです。

あと、みんな無駄にモノを観客に向けて投げつけてくるしね。

カウントしたわけじゃないけど、少なくとも10数回は何かを投げつけられます。「そこで投げる意味あるの!?」って場所でバンバン投げてきます。これも、3Dでモノを投げつけられた観客が吃驚するだろうって作為を感じますが、3Dで観てない人にとってはよくわからないカットになってしまってます。

要するに、3Dで観なかった場合、単純に無駄なシーンが多い映画として見えてしまうんですね。

重ねて言いますが、自分は3D映画自体がキライなわけじゃないです。『アバター』を3Dで観て、正直物凄い時代になったもんだと感銘を受けましたし。特に、奥行きのある画面でミサイルや機銃の射線が奥から手前、手前から奥に流れていくのは、3D映画でしか体験できない戦場の臨場感を感じましたし。

ただ、3Dを映画撮影の“手段”でなく“目的”としている流れが厭なんですよね。

当然、『アバター』も『アリス・イン・ワンダーランド』も、3Dをあくまで“手段”としている映画だってのは理解してます。でも、それら作品の大ヒットを受けてか、どう見ても“流行りの3D映画を撮ることを目的に撮影をした作品”で“安易な内容の作品”が増えてきているように感じてしまうのですね。

例えば下記作品とか、予告編だけで3回もモノを観客に投げつけるシーンがあります。
(他のバージョンの予告編では、さらに別のモノも投げつけてきます。)

"映画 『バイオハザードIV アフターライフ』 予告編II"

個人的に『バイオハザード』はゲームも映画も好きだったのですが、たぶんこの作品は観ません。ゾンビ映画好きとしても、全く興味をそそられません。予告編を観る限り、「ほら!こんなに飛び出すよ!」ってことだけをウリにした、要するに“3Dであることを目的にした作品”の典型的な例に見えてしまうからです。

いや、別に『スパイキッズ』の3D版みたいな、最初から子供向けの3D作品ならいんですけど。

バイオハザード』みたいに、それなりにシリーズを重ねて評価もされてるような作品が、いきなり“子供だましのびっくり映画”になってしまうのは悲しいです。え?元から子供だましのびっくり映画みたいなもんじゃなかったかって?そう言われるとぐぅの音も出ませんが、こういうのって他の作品でも言える話なんで…。

何より、今後家のテレビで観るときに、3D作品を敬遠してしまいがちになりそうです。

だって、3D映画として作られ3D放映された作品であれば、それを非3D環境で観ても100%楽しめるわけじゃないんだって無意識に感じちゃってるから。そこで、3Dじゃなくても十分楽しめる作品があったとしても、3D作品であることを理由にスルーしてしまう可能性があるのは、とても勿体ないことです。

それ以前に、今後出る3D作品がことごとく中身スッカラカンだったら元も子もないですけど。

いずれにしても、今後も3D映画が廃れることは当面ないでしょうし、その流行におんぶ抱っこした“観客にモノ投げつけてくるだけの糞映画”も増えていくことでしょう。ヤクザ映画でも、大理石の灰皿やらマンホールやらがぶんぶん観客に向けて投げつけられることでしょう。詰めた指すら観客に向けて飛んできますよ。

まとめますと、3D映画の古典的な見せ方はほどほどにして欲しいってことです。
特に、観客にモノ投げるのは飽きたからやめてください。