てすかとりぽか

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『ファイナルファンタジーXIV』 中国ヘイトとOBT所感

ファイナルファンタジーXIV

2010年9月22日にスクウェア・エニックスより発売される、多人数同時参加型オンラインゲーム。

この日をどんなに待ち望んだことか。『FF11』も発売日当日からBBユニット購入などといった高いハードルを乗り越えプレイした自分ですが、本作『FF14』はそのハードルの高さが段違い。まともにプレイするためには、15万〜20万はするハイスペックゲーミングPCを用意しないといけないという有様なのです。

ええ。買ったよ。買いましたよ。そのために。パソコンを。

なんとか、必要最低環境だけでも揃えようと、「ドスパラ」のホームページと睨めっこすることはや一ヶ月。なんとか予算15万円以下に抑えつつ、買いましたよ。もーこれで、半年は新作ゲームが出ても買うお金ありません。ごはんも1日3食合せて1,000円以下に切り詰めないと。映画館で観る映画も月2本が限度ですね。

そんな浮かれモードの自分の目に飛び込んできた『FF14』に関する醜文がこちら…。

"スクエニ、『FF14』でチョコボの名称を「馬鳥」にした問題について釈明"

【要約】スクエニ「FF14中国参入決定!」>ユーザー「中国人隔離しろ!」>田中プロデューサー「隔離鯖だしIP制限するよ」>ユーザー「チョコボが“馬鳥”になったのは?中国向け仕様?」>田中P「雰囲気作りです」>ユーザー「やめれw」>田中P「担当者の趣味でした。わかりにくいので修正します。」>担当者「謝罪します。」

うーん。個人的な所感は、スクエニの対応がマズすぎ…。想像力がなさすぎ…。

確かに、中国でのサービス開始発表と、“ゲーム内のテキストが漢字化されていた。”ことの発覚が重なったというのは不運という他ないですけど。でも、それだけの理由でネガキャンしてる人たちも、だいぶ邪推と妄想が過ぎて大人気ないとは思いますし。「実は中国開発なんだろ?」ってのもまだ証拠ないですし。

まぁ、半分はネタで騒いでる好事家だとは思うんですけどね。(自分もお祭は大好きです。)

“『FF14』の中国サービス開始。中国向け仕様疑惑。”に反対しているユーザーの中にも色々いますし。“単に中国人が嫌い”という差別主義者から、“政治的・イデオロギー的に嫌い”というネット右翼まで。ただ、「中国のサービスは完全に別の運営」である以上、そこに反対する論拠を自分は理解しかねます。

ただし、前作にあたる『FF11』のユーザーが反対する理由はものすごく理解できます。

FF11』をある程度やった方ならわかると思いますけど。ヴァナディールにおいて“中国人業者は害悪”というのはユーザーの共通認識です。もちろん、中にはちゃんとまじめにプレイされている中国人の一般プレイヤーの方はいますし、彼らに対する差別意識やイデオロギーに基づくヘイトは多くの人は持ってません。

ただ、中国語を話すRMT業者、ギルファーマーの連中。こいつらがは嫌悪の対象なのは間違いないです。

人海戦術で狩場やモンスターを占有、その拾得物やその売買で得たゲーム内マネーを、現実世界の現金に変えるリアルマネートレードに手を染める彼ら。それは、ゲームをプレイする一般ユーザーの楽しみを奪うという意味でも、またゲーム内の経済を崩壊させるという意味でも、利用規約違反という意味でも明確な“害悪”です。

ゲームの例を出すとわかりにくいので、○ィズニーランドに置き換えて説明しましょう。

○ィズニーランドに遊びにいったら、人気のアトラクションは全て中国人の団体がループしながら並んでいて遊べません。人気のおみやげも全部買い占められています。そして、彼らを牛耳る人間がこう話しかけてきました。「アトラクションに乗りたきゃ、俺に5,000円払いな。おみやげは5倍の値段で売ってやる。」と。

で、断ったら、「cao ni ma!(お前の母親を犯すぞ!)」と言って石を投げつけてくるような有様。

勿論、現実世界でこんなことしたら警察沙汰ですけど、法の力が及ばない仮想世界である『FF11』のヴァナディールにおいては、こういう状態が日常的です。一応、運営チームも取り締まりは行いますが、現実世界で制裁を受けることがない限り、何よりお金が儲かる限り、中国人業者が消えることはありません。

“これが『FF11』をプレイする人、『FF14』をプレイしようとする人の、中国人に対するイメージです。”

自分は中国文学系の学科を出て、中国人の友達もいて、何度か実際に行き、中国という国に対する理解は人一倍あった上で「よく中国の悪口を言ってるけど、言うほど嫌いじゃない」というスタンスを自覚してます。それでも、『FF11』のプレイヤーという立場からは、「中国と関わるのだけは止めてほしい」と思ってます。

そういうユーザー心理を、全くもって理解してなかった『FF14』運営には怒りというか無能さしか感じません。

“中国サービス開始!”の件は仕方ないです。中国のオンラインゲーム人口が日本の数百倍の規模となれば、そこで商売することを考えなかったら馬鹿です。ただ、そういう後ろめたい事情があった上で、先のユーザー心理を理解していたのであれば、尚更「担当者の趣味です。」みたいな回答は絶対に出てこない筈です。

なにより、最終的に“担当者に謝罪をさせた”という部分が、一番自分の勘に触りました。

謝罪をするのはプロデューサーの役目であって、担当者の役目ではありません。「何かあったら俺が責任とるから、お前らはゲームが面白くなることだけを考えろ。」というのがプロデューサーの役割です。「何かあったらお前が責任とれよ?」って言われたら、現場としては何もチャレンジできず、無難な物しか作れませんよ。

FF11』の「プロマシアの呪縛」の時も、高難度について何故かミッション担当者が謝罪しましたしね。

「こういう発表をしたら、ユーザーはどう感じるか。」とか、「こう返答したら、ユーザーコミュニティはどう反応するか?」って部分は、コミュニティサービスを行なう者だったら当然綿密に考えた上で、計画的に動くべき所です。その点が、今回の騒動を見てる限り『FF14』の運営者たちはものすごく下手糞です。

回答にTwitterという安易な手法を用いたのも問題です。最初から公式サイトで回答すべきだと思いました。

そもそも、発表当時から、会社サイドと開発サイド、さらに運営サイドとが全く足並みが揃わない発言をしていたようにも感じます。これは、Twitterの功罪ともいえますが、全サイドが足並みを揃えて計画的に動けないんだったら、社員が個々にTwitterで自由に喋らせるのなんて止めたほうがいいと思いますよ。これはマジで。

と、個人的にユーザーとして言いたいことは言ったので、あとは普通に中国でのサービスには興味があります。

運営と販売の権利を委任する「盛大網絡(SHANDA)」という会社は、中国でも2番目に大きなゲーム会社で、既に『アイオン』や『ドラゴンネスト』というゲームの運営を軌道に載せています。どちらも日本では微妙なタイトルという意味では、運営スキル面ではまず問題ないと言えますね。たぶん、スクエニ運営よりマシかと。

ただ、運営会社が良くても、『FF14』のゲーム内容的に売れるかどうかは本当に微妙だと思います。

去年、上海のゲームイベントを見に行って感じましたが、あっちで今流行ってるゲームのグラフィックなんて10年前のレベルです。それでいて格闘ゲームはただのハメゲーだわ、FPSだって当たり判定アバウトすぎるわで。でも、そんなゲームが“会員数1,000万人”とか“同時接続者数百万人”とか超ヒットしてます。

まず、一つ確実に言えることは、“中国人は対戦(PvP)ゲームが大好き”ということ。

中国でもヒットしている『World of Warcraft』や『アイオン』は、いずれもPvPが可能なMMORPGです。でも、同じMMORPGで勝負をかける『FF14』にはその要素はありません。その理由は「『FF』はそういう野蛮なゲームじゃない。」というポリシーがあったからですけど。あくまで、協力プレイや絆がメインであるということですけど。

中国の人的に見たら「対戦しないなら、何のためにキャラ育てるんですか?」って感じなんですよね。

もう一つ、先にあげた低スペックでも遊べる対戦ゲームが流行っている理由。それは単純に“誰でもできるから”です。コマンドが難しかったり、当たり判定がシビアなゲームは、所謂“ゲーマー”しかプレイしません。でも、ただボタン押すだけ、ただ撃つだけのゲームだったら、女性でも子供でも誰でもプレイできます。

そうしたライト層向けのゲームと、eスポーツを組み合わせた運営展開が非常に巧いんですね、中国は。

で、『FF14』はといえば、超激烈高ハードル仕様。いくら中国の富裕層でも、みんな一つのゲームのためにハイスペックPCを買うのかと言ったら、そんなことはないと思いますよ。少なくとも、『World of Warcfraft』に太刀打ちできるような足場も土台もない上で勝負を挑むということになります。これは見物ですね。

…えーと。前置きが非常に長くなりましたが、オープンβテストのお話でしたよね。

PCが届いてから間に1日しかなかったのと、色々忙しかったのもあって、最終日にちょっとだけ遠出するだけで終わってしまいました。でも、ただただだだっ広いフィールを歩いてるだけで楽しいですよこのゲーム。『FF11』の初日にレベル1で各国を渡り歩いた時のことを思い出しました。『指輪物語』の序盤みたいで楽しかったなー。

うん、そういう楽しかった頃を思い出しちゃうと、素直に22日が待ち遠しいですね。
セルビナ鯖で、Budou Kyukin という名前のタルタルでやる予定。