てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『マイケル・サンデル特別講義 ここから、はじまる。民主主義の逆襲』 目には目を、煽りには煽りを。

マイケル・サンデル特別講義 ここから、はじまる。民主主義の逆襲

史上最大5000人の白熱教室 in 東京国際フォーラム。行ってまいりました。

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マイケル・サンデルの新著『それをお金で買いますか――市場主義の限界』の販促なのか、なんか募集してたんで応募したところ当選してしまったので。とはいえ『ハーバード白熱教室』とか観てて一度はこういうの参加してみたいなーと思ってたんで。そして、できれば議論に参加してサンデルに「君、名前は?」って言われたい。

でも、どうせヤラセなんだろアレ?と正直思ってました。

前もって議論を誘導するためのシナリオがあって、それに沿って手を上げて指名される人もサクラで。でも、全部サクラにしちゃうと怪しまれるから、何人かは普通に手を上げてるひとを指名したりもして。でないと、公共放送で流せるような筋道の通った議論になんかなんねーんじゃーねかな、と正直思ってました。

いやぁ、ガチでした。疑ってすんませんでした。

テレビで放映されてるヤツは当然編集したりカットしたりはされてるんですけど。ちゃんと指名された一人ひとりが言葉を詰まらせつつ、悩みながら言葉を選んで(それも演技だ!と言われればそうかもしれませんが)、予定時間を大幅にオーバーしてまで議論の場を作り上げておりました。

勿論、サンデル側には明らかに誘導したい議論の方向性というものがあり、なかなかその方面に議論がよっていかなくてイライラしてる様子なんかも見て取れて面白かったです。自分、前から2列目に座ってたんで、「生サンデルちっか!」ってそれだけでだいぶ愉しむことができましたですよ。

講義は6月16日(土)と23日(土)にNHKでも放送するそうなので、ネタバレにならないよう伏せておきます。

正直言って、議論としてレベルが高いか?と問われたら、本当まだまだだと思います。放送がニコ動なんかに上がった日にゃあ、自称“識者”や“意識の高い人”がフルボッコにするような内容でしょう。でも、サンデルがやりたいのは“レベルが高い議論”じゃないんですよね。ソレを問うのは講義の趣旨に反します。

本講義の意図は、“できるだけ多くの人が議論に参加すること”になります。

だからこそ、失笑を免れないような意見や、論点を大きく外した意見などがあがってこそ、“インテリじゃない人が議論に参加してこそ”この講義は成功とも言えるのですね。「原発再稼動は是か非か?」を決めるのではなく、誰もが声を上げられるような空気を作ることが、日本の民主主義がなすべきことなのですよー!と

そういう意味では大成功だったと思います。自分が当ててもらえなかったのは残念でしたが。

茶化す気満々だったので、当ててくれなくて良かったと後になって思いますが。例えば「どうしたら若者が選挙に行くか?」という問いに対し、新著の内容に準じて「インセンティブを与えたらいい」と茶化したかったです。うちの地元の選挙では老人に対してはバスと菓子パンとジュースが出てるのは事実だし。

サンデルの指示するコミュニタリアリズム「若者はもっと議論すべきだ」には賛成だけど。そも人口の絶対数において年寄りが多い故に「若者は票数的にマイノリティ過ぎて政治参加による見返りを期待できない」という点と「別に年寄りが政治に関心があるから選挙に行くわけじゃない」って部分は刺しておきたかったです。

あとTwitterで議論しないのは、短順にフォロワーのTLを汚したくないからです。

サンデル的には「TLを汚すのを厭わずに、どんどん政治や原発の議論をすべきだ!」って言うでしょうけどね。自分は既にTwitterもブログも言いたいことぶちまけて汚染物質垂れ流してるからブロックもされまくりですけど。あと、ディスりや煽りと議論の区別つかない人が多いこの国では、SNSでの議論が難易度高いのは確かです。

自分は煽りに対しては煽りでしか返しませんけどー。

あと当ててもらえなかった理由を冷静に判断すると、前の方で目を見開きながら満面の笑みで手を上げる、いわゆる“ハーマイオニー型挙手”をしていたからだとも猛省してます。自分手上げてるのに、目の前にいるサンデルが「他に誰かいないかな?」って言ったのはわりとショックでしたよ。