てすかとりぽか

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『アバター』 痩せる映画

アバター

2009年のアメリカ映画。ジェームズ・キャメロン監督作品。

とりあえず、近年稀に見るオタク映画の大傑作。アニメとかゲーム好きな人なら迷わず劇場へ。

午後イチで新宿バルト9にて、3Dバージョンを鑑賞。まだまだ鑑賞後の興奮が冷め遣らず、ありのままに見てきたことをそのまま書きなぐりそうなので、章立てて頭の整理をしながら、何がそんなに面白かったのかを書くことにします。ネタバレはなるべくしない方向で、というかバレて困るようなネタの映画でもないんですけど。

■3D映画で描く圧倒的暴力

3D映画というものについて、完全に侮ってました。3D映画といえば、子供の頃に『パーマン』のやつを見た程度で、どうせアレだろ?映像の一部が飛び出して見える子供騙しのギミックだろ?って感じに思ってました。最近でも、3D映画といえば『センター・オブ・ジ・アース』みたいな子供向けファンタジーばっかりだし。

ところが本作は、3D映画なのにぜんぜん子供向けじゃないんです。

3D映画の歴史は以外と古く、赤青メガネを使うアナグリフ方式は1950年代から用いられ、次いで偏光メガネを利用した方式に変わり、近年ようやく3D映画用の技術であるREAL-D方式やドルビー3Dが主流になってきたわけですけれども、それでも所詮は遊園地のアトラクション的感覚でしか使われていなかったのですが。

本作は全年齢向けファンタジーSF映画の皮を被った、オタク向けバイオレンス映画だったのです。

美しい惑星パンドラの自然を描いている物語前半に対し、後半では人間と先住民族との激戦が繰り広げられます。その中では、機銃の射線やらミサイルの弾道、火炎放射器の炎や爆発までもがすべて3Dの奥行きある映像として描かれます。レイヤーではなく、シームレスにz軸の奥から手前へ抜けていく射線描写は鳥肌モノ。

咄嗟に「『プライベートライアン』を3D映画にしてほしい!!」と思いましたもの。

本作は使われている撮影技術やCGも超一級品だし、またそれを3D映画用に加工した技術も素晴らしい。でもね、何よりその「最先端の3D映画技術をバイオレンス映画に使った。」という点が、ひとつの発明だと思うのです。これは、今後作られる映画やゲームに関しても、大きな影響を与えることになりそうです。

■次世代の規範となる映像表現

マトリックス』や『ロード・オブ・ザ・リング』など、映像表現において一つのパラダイムを築いた作品であると認識しています。その作品の公開後、似たような映像作品が雨後の筍のようにたくさん生まれたことでも明白です。本作もまた、そんな次世代の映像表現の範例となる作品だなーと感じています。

とりあえず、空中戦におけるカメラワークが、3D映画として魅せる絵柄として本当に素晴らしい。

よくよく思い出すと、既にナウシカラピュタ宮崎駿がやってる構図だったりするんですけど、それが奥行きのある映像で観るとなると、臨場感とスピード感があいまってとんでもない絵になるんです。コレもまたひとつの発明っていうか、これと似たような空戦モノの3D映画がどんどこ出てくるんじゃないかなー。

あと、何気にメカものとしてもとても好いです。特にパワードスーツが大活躍。

ジェームズ・キャメロン監督は、絶対パワード・スーツ大大大好きだと思います。『エイリアン2』にしろこれにしろ、愛情の注ぎ方がハンパねーのが解かります。『宇宙の戦士(スターシップ・トゥルーパーズ)』撮ってくれんかな本当に。(ポール・バーホーベン監督の機動歩兵は。アレはアレで好きなんですけど。)

パワード・スーツが、近接格闘用ナイフ抜刀するシーンとか本当に泣きそうになりました。

常識で考えて、あそこでナイフはないでしょ笑。巨大ロボットに近接格闘武器が必要なのは日本アニメの世界だけでしょう。ていうか、そもそもあんな局地戦で地上部隊なんか出した時点で負けフラグ確定でしょう(機動歩兵的な意味でも)。でも、そういう常識に縛られない事を平然とやってのけるキャメロン監督最高ですッ!!

■敵役がかっこよくて強くてかっこよすぎ

大佐!!大佐かっこいい!!強い!!

ハリウッド映画の敵役って、大抵ステレオタイプの悪者でダサくてかっこ悪いカマ野郎が多いんですけど。キャメロン監督の作品を思い出しても、敵役って必ずかっこよくて強いんですよね。『エイリアン2』にしろ『ターミネーター』にしろ。ついでに、ものすごくしつこい。終わったと思ったらまだ終わってないみたいな。

そういえば、『タイタニック』の金持ちのボンボンも何気にしつこかった。

本作では、海兵隊の大佐がその敵役にあたるわけなんですが、これまた描かれ方がかっこいいのなんのって。金のためでもない、ましてや名誉のためでもない、そんな彼をあそこまで闘いに駆り立てるものは一体何!?って感じで、結局その部分は描かれずに終わるミステリアスさ。そして、単純に凄まじい戦闘力の高さ。

彼の過去をテーマに映画あと3本くらい作れそうな感じです。

そんな大佐が一番カッコイイシーン。惑星パンドラの大気(酸素マスクがないと死ねる)の中に酸素マスクなしで飛び出し、逃亡するヘリに向かってアサルトライフル全射。その後ハンドガンまで取り出して全射。しかも100mぐらいの距離を全弾命中。しかし、逃げられてしまい、そこでようやく酸素マスクをかぶる大佐。

この間ずっと無呼吸だったのかよ!!てか、ハンドガン射撃うめーーー!!

こういう、何気なく敵の強さをアッピルするような描写を挟むことによって、後の闘いがよりスリリングなものに見えてくるんようになるんですね。『グラップラー刃牙』で「範馬勇次郎がちょっとでも走ると監視衛星に負荷がかかってカーナビの現在座標位置が狂う」みたいな描写が大事なのと同じですね。

■痩せる映画

家帰って体重はかったら1キロ痩せてた。

ていうか、ものすごく疲れました。さすがに、3時間近い上映時間をずっと3D映像を見続けるというのは、体力の消耗が激しいです。手汗もかきっぱなしだったし、これは事前に十分な栄養と水分を補充してから鑑賞に臨むのが正解だと思います。可能であれば、鑑賞中もポップコーンなどでエネルギー補充を行なうことが望ましい。

でも、3Dメガネが邪魔でポップコーンが喰いづれーのなんのって。

まず、メガネの視野が狭くて手元が見えないってのもあるんですが。3Dメガネって左右両眼の視差を利用してるわけだから、ポップコーンを食べようとすると、ポップコーンが2つに見えます。当然、ジュースのストローも2本。その真ん中あたりを狙って食べればいい(ロッキー理論)んですけど。これは改善の必要性アリです。

そもそも、デフォでメガネの人は、メガネ・オン・ザ・メガネになってしまいます。

自分はコンタクトだったので平気でしたが、一緒に行った友達がメガネで難儀してました。一応、それでも観れないことはないんですけど、あらかじめコンタクトレンズ着用がオススメです。コンタクトがどうしても厭な人は、レーシックなんかもいいと思います。自分も、変なサイトが勧めてさえいなけりゃ手術してもいいと思います。

■総括

とりあえず、今年観た映画ではダントツで一番好きな映画です。こういうハリウッド超大作を手放しで好きっていうのは「映画通の風上にもおけない」みたいな風潮がありますが、自分は映画通じゃないので全然問題ないし。まぁ、実際ストーリーがよくある異文化婚テンプレのまんまとか、突っ込みどころはありますけど。

『ポカホン○ス』とか『もの○け姫』のアレやん!とか言われるとぐぅの音もでませんけど。

でも、3D映画がお子様のためのものだけじゃなく、ここまで凶悪なものができるっていうのがわかったら、家で観るんじゃなくって映画館に足を運ぼうって気にもなります。「この映画にいくらなら払える?」って質問はナンセンスでキライなんですけど。映画の料金は内容の面白さへの対価にはなりえないし。

それでも、あえて言うなら「5,000円は出せる!」と答えます。それは多分、自分の中での最高額。