てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『アメイジング・スパイダーマン2』 MJと8Mileの向こう側

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『アメスパ2』の感想というか、もっと以前からモヤモヤしてたことを書きます。

旧作『スパイダーマン』シリーズのヒロイン、メリー・ジェーン・ワトソン(通称:MJ)を弁護します。

MJの名前でぐぐると“ブス”とか“うざい”という検索候補が出てきますが

もちろん演じるキルスティン・ダンストンがブスなわけはなく、男を転々としたり、金持ちの男になびいたり、ピーターよりも仕事を優先したりという点が、日本人的な感性としては、男女問わず「この性格ブスめ!」と認識されてしまうみたいです。

でも、彼女は親に問題がある貧しい下層の家に生まれながら、ニューヨークで夢を実現しようとする強い女性としても描かれています。その過程で男に頼ったり、男よりも夢を仕事を優先するといった姿勢は、アメリカでは単純に強いヒロイン像なんでしょうね。

と、自分は思ってたのですが、以後もそういう意見ほぼ見かけないので……。

さらに弁護の根拠を示すために『8mile』を持ち出します。劇中エミネム演じるラビットは、実家のある田舎の工場でバイトしながら、ラッパーとして有名なる道、即ち貧困とは関係のない“8マイルの向こう側にいくこと”を夢見ている青年です。

「女優として成功できなければ、ウェイトレスでもやるしかない。」
「8マイルの向こうに行けなければ、工場でバイトするしかない。」

という、貧困層や地方出身者の閉塞感は、自分も茨城のド田舎出身なのでよくわかります。『8mile』も『スパイダーマン』も10年以上前の作品ですが、当時からアメリカにおける格差や貧困問題に関してフィーチャーしていたのですね。

そんな折、日本でも同様に若者の閉塞感を描いた映画『SR サイタマノラッパー』が生まれました。こちらは、レコード屋もライブハウスもないサイタマ県北部のフクヤ市に住むニート青年が、世界的なラッパーになることを夢見る話です。

「ラッパーになれなければ、おっぱいパブでバイトするかブロッコリー作るしかない。」

単純な日常系コメディ映画として認識されてしまいがちだった本作でしたが、地方出身者特有の閉塞感を経験している自分的には、魂にグッと来るものがありました。ほんともう、今の地方経済の逼迫され方はどうしようもなく、ウチの田舎もジャスコがなくなりました。

最近になってようやく“マイルドヤンキー”や“ファスト風土”という形で、一般的にも認識されるようになった地方独特の消費文化圏ですが、それによってようやく“8マイルの向こう側にいくこと”の意味も、一般的に理解されるようになってきていると感じます。

同時にMJのような“貧困や格差をものともせず、社会でのし上がる強い女性”に関しても、この10年間で日本人の理解が進んだのでは?と期待はしているのですが、『アメスパ2』が公開された今年に至ってもMJ再評価の声は起きず……。

「グウェンかわいいよねグウェン!」

の声ばかり聞こえてくるので、本日愚論を展開させていただいたわけでございます。でも、実際エマ・ストーン演じるグウェンがクッソかわいいので、MJのこととか小難しいこと考えずグウェン見にいくためだけにお金払う価値はあると思いますので、おすすめです。

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』シネフィルVS映画クラスタ

シネフィルVS映画クラスタみたいな話を先日みかけまして。

自分の観測範囲では「うん、わかるー。」って声はあまり見られず、「そもそも、シネフィルの定義って何?」「映画クラスタの定義って何?」って意見が多く、自分も概ね後者に同意してました。

そこに先日また排外カウンターVSサブカルクラスタみたいな議論が見られましてですね。

自分のTwitterアカウント内では、政治リストと映画リストが突然論争をはじめたので、興味深くあったのですが、論争の内容には今は触れません。ただ、そこで「サブカルクラスタって何よ?」って声がぽつぽつと上がってきましてですね。

厳密にサブカルの定義をしようと思えばできます。シネフィルだって映画クラスタだって、その傾向とかちゃんと調べて定義しようと思えばできます。ただ、そうした確認なしに「なぜサブカルクラスタとされた人達がいたのか?」は気になるわけです。

単純に、Twitter上のサブカルまたはそれに類するリストの人達が議論に参加していたからじゃないのかなあと。Twitterの「映画」リストに分類された人達が声を上げていたから「サブカルがー」「映画クラスタがー」と認識したのではないかと。

シネフィルにしても映画クラスタにしても、自称してる人は“あんまり”いません。

自称する人が少数いたとしても、日本シネフィル協会や映画クラスタ連盟やサブカル認定試験があるわけでもないので、明確にカテゴリ別けはできないわけですよね。いや、「実はもうある」とかでしたら無知で申し訳ないですけど。

つまり、こうしたクラスタとは、他律的に規定されるものではなく、個々人が自律的に対象をカテゴリ別けした結果に過ぎないんじゃないかなあと。もしくは、他人がカテゴリ別けした結果を自律的に判断し、信用しているだけなんじゃないかなあとも。

ちなみに今の自分のTwitterアカウントのリストを例示しますと。

  • ニュース
  • 政治
  • ゲーム
  • 映画
  • 友達
  • ウル4

そこで今回、政治リスト内の排外カウンターの人達と、映画リスト内の(言い方に御幣があるかもですが)攻撃性が高くサブカル臭の強い人達の間で論争がはじまったので「排外カウンターとサブカルの論争がはじまった!」と誤認したわけです。

そう、これ誤認なんですね。

そのリスト内の全員がその論争に加わったわけではない、むしろ参加しているのはリスト内でも数人なのに「クラスタ間で論争が起きている!」と誤認してるんです。そもそも、そのリスト自体自分で勝手に個々人をカテゴリ別けしたものですしね。

もう一つ例を出すなら、ウル4リスト(自分が好きな格闘ゲームウルトラストリートファイター4』に関連する人、とりわけプロゲーマーの人達をカテゴリ別けしてる)上で、ものすごい頻度でグラビアアイドルの自撮り写真がRTされくるのですが。

これを見てプロゲーマーの人達はグラビアアイドルが好き。というのも誤認です。

実質RTされているのはその中の3人ぐらいなのですが、そのあまりの頻度の多さに加えて「プロゲーマーのような好戦的な職業の人は、やっぱり肉食系なんだなあ!」という良くわからない根拠も勝手につけ加えて納得していた自分がいたんですよね。

つまり、「シネフィルがー」とか「映画クラスタがー」という話も、そういうことなんじゃないかなあと思ったわけです。あくまで、自分個人の主観に基づく印象論ではありますけど、「クラスタってそもそも何だろう?」という一つの答えとして。

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で、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の話ですけど。

キャプテンアメリカは、戦中プロパガンダヒーローとして枢軸国と戦い、戦後も赤狩りの象徴として共産主義者と戦った、いわば善悪二元論を象徴する様なヒーローで、前作『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』も割とそういうのでしたが。

それ故に、枢軸国サイドであった日本からしてみれば、「7、80年前、君たちのおじいさんやひいおじいさんを無残に殺して勝ち誇ってた野郎だぞ」みたいな批判も出てくるほど、本来はあまり気持ちよく応援できるヒーローではなかったりもします。

映画『アベンジャーズ』の主人公に黒歴史…日本人を次から次へとひねりつぶしていた/少し考えてみる戦争のこと

ただ本作は、もはや善悪二元論で語ることが難しい現代(というかストーリーテリング論として善悪二元論がもはや古臭い)において、キャップ自身が「正義って何?」と思い悩み、味方からも銃を向けられるといった、極めてセンセーションな話なんですね。

その本作の精神は、共同監督のアンソニー・ルッソのインタビューに現れています。

「我々全員は無人機による攻撃、先制攻撃、オバマが誰を殺すかの人権問題といった疑惑に関する記事を読んだ。我々はそれが(キャプテン・アメリカの)グレイテスト・ジェネレーション的な発想とは正反対であったので映画に取り入れたかった。」

先のクラスタ論争にもつながる話ですが、もはや「アメリカ人だから」とか「日本人だから」、「ヒーローだから」とか「ヴィランだから」、「敵だから」とか「味方だから」で簡単に計れる時代じゃないってことを、キャップ自ら全世界に呼びかける映画なんです。

そこまで小難しく考えず、「ウィンターソルジャーかっけー」だけでも十分愉しめる作品ですが、自分がどっちを向いてるのか?誰と何と戦っているのか?を自問して、俯瞰して見つめなおせるようになるという意味でも、おすすめです。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』この泥船を漕いでゆけ

FC2ブログが沈む前に逃げ出して来ました。

いや、いきなりデータ全消しみたいなことはさすがにないとは思うんですが、資金決済法上で規定されている、前払式支払手段に対する消費者保護目的の供託金とかたぶん払ってないんだろうね。とか無料ブログのデータなんていつ無断で飛ばされてもおかしくはないでしょうねとか。

いろいろ心配が重なったので、この機にはてなブログの方に。とはいえ、1年以上更新してなかったりもしたので、別にこれからちゃんと更新したりするかどうかもわかりません。更新してた目的も主に老後の愉しみとして記録しときたいとかそういうレベルですので。

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で、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』観て来ました。

事前に「これは俺ら40代以上の男がターゲットだから、若いやつらや女子供が観てもわかんねーよな。わかんねーよ。」とかサブカル糞団塊ミソジニー選民思想に染まった上から目線の評をツィートで偶々目にしてたので、ぶっちゃけ「嫌な映画だなあ」と思っていました。

「あれ?キミもしかして、最後に出てきたアイツのこと知らない?」
「カーッ!知らなかったかー!知らなくても仕方がなかったかー!カーッ!」

みたいなね。もうね。

実際観てみて、年代的に限定された音楽とか、原作に通じてないとわからない部分とか、英語で聴かないとわからないジョークとか、そういうのに溢れていたのは確かです。後からwikiみて「あー、そういうことなのね。」とわかるレベルのネタも少なくはなく。

「でも、木がカワイイからいいよね。木。」

という総括でした。アライグマは、そんなでもなかったですけどね。

ちなみにテレビアニメ『ディスク・ウォーズ・アベンジャーズ』にも本作の主人公5人が出てきてたんですが、地球に墜落した宇宙船から最初に出てきたグルートに驚いたシールドの一般兵が、ついうっかり火炎放射器をぶっぱしてグルートを焼き尽くしたりしてました。

焼き尽くされて、ただの棒っきれにされてました。

地球が静止する日』でも、宇宙船から出てきた宇宙人についうっかり発砲というおまぬけシチュエーションがありますが、そもそもオマエなんで火炎放射器もってきてんだよ。それでどうなったかを言うと映画の方のネタバレにもなるので言いませんけどね。

とりあえずグルート観るためだけでもお金払う価値あります。おすすめです。

『パシフィック・リム』 ゾンビ映画宣伝に関するデマの話

パシフィック・リム

2013年公開のアメリカ映画。ギレルモ・デル・トロ監督作品。

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ちょっと出遅れましたが観てきました。なので、今更自分からあえて語るようなことはもうないぐらいに(自分の周囲に限っては)大ヒットしてくれてますので感無量です。泣いた。泣きました。巨大ロボットや怪獣、そのファン世代に当たる、しかも海外でこんなに素晴らしい作品が生まれたなんてですね。

映画ファンの方、というよりアニメ・特撮ファンの方は毛嫌いせずに観てほしいですね。

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で、こっからが本題。こちらも今週公開の『ワールド・ウォー・Z』に関して、「宣伝に“ゾンビ”という単語を使わないように」という話が話題になってます。というか、映画の話そっちのけで、Twitterの映画界隈ではその話ばっかです。某映画評論家の方の憤りツィートが発端らしいのですが。

まぁ、過去にもそうやって「本来の内容とかけ離れた」宣伝を打つ手法は、映画に限らずたくさん観てきましたし。正直、見終わった後に「CMとぜんぜんちがうやん!」と怒ったこともあります。逆に「思ってたのと全然違ってて素晴らしい!」という『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みないな例もありましたが。

ただ、問題はそのソンビって言うか言わないかの部分はどうでもよくてですね。

その評論家の方が「ゾンビ映画をファミリー映画として売ろうとするような嘘つき詐欺宣伝野郎広告代理店野郎どもは地球に存在する必要これっぽちもないから、一人残らず死ね(中略)死ねんでしまえ!」とか言い出したんです。途端に映画クラスタ界隈で「そっか、広告代理店が悪いんだな!死ね!」のシュプレヒコール

続いて「日本の映画宣伝は、すべて広告代理店に強制されている!」のような発言も。

それはいくらなんでも妄想が過ぎます。「なんでもかんでも代理店が悪い!」みたいな風潮は2ch嫌儲板あたりを中心にしばしば見かける声ですが。実際に代理店がクライアントに宣伝内容を強要したりすることなんてないです。少なくとも、自分が関わった現場でそんな様子になりかけたことは一度もないです。

別に広告代理店かばってるわけじゃないけど。そこは事実経験に基づく話ですが。

仮に映画業界がそうだとしましょう。(自分も映画の宣伝に関わってるわけじゃないしね。)だとしたら、単純に「代理店の言いなりになるしかない、自分で案を出せず金を出すしかない映画配給会社が無能」ってオチにしかなりません。だって、嫌なりゃ断ればいいし、自分で企画出せばいいだけの話ですよね。

業界側にいる人間がその宣伝に関して苦言を呈し、「代理店が悪い」というのは、みっともないことです。

そりゃ代理店だって良い企画も悪い企画も出して来ます。ただ、それを宣伝担当が「どっすか?」ってそのまま社内に上げたらその担当は無能です。それだけでなく「いやー、代理店がいい企画出してこないんすよー」なんて言われた日にゃ、少なくとも自分は「ハァ?じゃ、お前は何のためにいんの?」って言います。

「キミはもし自炊できないからといって、外食に行くとする。そのご飯がおいしくなかったとして、それを『外食産業が悪い。外食産業に搾取されている!』とか言うワケ?」とまでわかりやすく説明するかもしれません。何より、1ミリも自身を省みることなく、他人に責任をもってくあたりが心底見苦しいですから。

なので、割と一般論として「代理店批判」はみっともないです。

「すみません、せっかく提案いただいたのに申し訳ないですが、自分ところで考えてやります。」みたいに代理店を帰したとして、彼ら快く引きますよ。彼らだってそこまで暇じゃないし、なによりプロなんだから。そこで「二度とお前のとこのテレビCM打たないからな!」みたいなこと言われるわけがない。

いや、本当にそんなこと言われたことがある。って言うのであれば、その実例を示せばいいんです。

「広告代理店が数億もってく」とか主観に基づく嫌儲話をするのではなく、客観的データを元にした定量的な評価を前提にした上での時論展開、論理的な批判を繰り広げればいいだけの話です。でも、その提示を第三者から求められても無視するというのは、単純に評論を仕事とする者としてはあまりにもみっともないです。

ただ、みっともないだけなら言った本人が恥かくだけだからいいんですが。

言った本人がそこそこ名前の売れた映画評論家であるだけに「日本の映画宣伝は、すべて広告代理店に強制されている!」という悪質なデマゴーグが拡がってしまいました。「いや、それは違うよ」と指摘した方さえも、「この人は頭がおかしいから相手にするな」という誹謗中傷を評論家から拡散されるという被害にあいました。

“この評論家のやり口”に関しては前にも書きましたが、ほんといつもこんな感じです。

もうフォローなんかしちゃいませんが、映画関連の方をフォローしてるとことあるごとにこういう発言やらやりとりが流れてくるので。どうでもいい話ならスルーしますが、さすがに今回みたいなデマを流したり、親切心から過ちを指摘した人に刃を向けたりしてるのを見ると、一言言わずにはおれなくなります。

ある意味、映画評論家にとって代理店は業務上競合にあたるでしょうから、気に入らないのはわかりますが。

でも、その仕事の内容にケチつけるぐらいなら、自分で宣伝企画して配給会社に持ち込んで、堂々と代理店と競合して勝ち取ればいいだけの話じゃないですか。こんなデマを流して、配給会社が代理店使いづらくなったとして、その代わりに自分のとこに仕事が増えるとでも思ってるんでしょうか。

これまでもずっと同業者(評論家・字幕翻訳者・ジャーナリスト)批判してますし。ほんとソコ疑います。

最後に、別にゾンビでもゾンビでなくとも、代理店が悪くても悪くなくても、評論家がみっともないデマを流しても流さなくてもどっちでもいいんですが。ほんと映画を気持ちよく観られるならどうでもいいんです。そのへんの共通認識を少しでも持てる映画ファンが少しでも増えればと思い、ここに記しておきます。

誰かの指示で個人攻撃するイナゴになってしまうような映画ファンが少しでも減ることを願って。

ああ、『ワールド・ウォー・Z』観るの楽しみです。

『ファイナルファンタジー14 新生エオルゼア』 β3の感想?

ファイナルファンタジー14 新生エオルゼア

ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)は、スクウェア・エニックスが開発したファイナルファンタジーシリーズのナンバリングタイトル第14作目にあたる、オンラインゲーム・MMORPGです。一度は不評によりサービス終了しながらも、スタッフを一新して2013年8月27日に再度サービス開始する予定です。

そのβ3テスト(クローズベータテスト)に引き続き参加しているわけですが。先週はPS3版で参加してそUI周りのユーザビリティの高さに十分満足したので、今週はPC版の方で参加してみました。

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↑概ねこんな感じでとても綺麗でした。

うそつけ!証拠にスクリーンショット見せろ!と言われるかもしれませんが、SSの撮り方がよくわかんない(どっかに保存されてるらしいのはわかる)ので、調べるのがめんどくさいからのっけないだけですが、それほどスペック高くないPCで標準品質でプレイしても、普通に綺麗でプレイに支障はありませんでした。

マウス操作とパッド操作はどっちが楽か?という点につきましては。

一応、格闘士と幻術士と呪術士をやってみた感として、個人的にはパッド操作のがはるかに楽でした。これがもっと後半になって、スキルが増えて操作が煩雑になったらどうかわかりませんが、PCメインのオンラインゲームにしてはびっくりするほどUI周りがよく出来ているので、パッドで十分操作できます。

そんな感じで、β3は検証メインでレベル上げとかはあんましてません。データ消えるしね。

そんな中、飛び込んできたニュースが“PC版「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」が9月26日に3990円で発売決定。βテストが本日よりスタート/4Gamer”なわけですが。『FF14』新生の開始後ちょうど1か月後(課金の切れる初回タイミング)に発売という点は、色々邪推せざるをえない展開ですね。

「なんで今PCよ?」と疑問の声も多く目につきますが、理由はおそらくいくつかあります。

?送客し合いつつ顧客を囲い込みたい

ドラクエ10』と『FF14』という2大タイトル間で送客しあう狙いですよね。自社コンテンツ同士(場合によっては他社同士でも)でお客様を循環させる流れを作ることによって、顧客を囲い込み、競合コンテンツに流れないようにする施策は、ソーシャルゲームでは割とめずらしくない話です。

そのために、スクエニメンバーズというポータルの同一IDを持たせて管理もしているわけですね。

?“ゲームボリューム問題”対策

先週書いた“ゲームボリューム問題”もその理由です。『ドラクエ10』も『FF14』も、追加開発でもってボリュームを生むタイプのゲームである以上、“やることがなくなるのが早い”という弱点部分も同じです。なら、「『FF14』に飽きたら『ドラクエ10』をやってね!」という流れを作っておきたいんでしょう。

そして、『ドラクエ10』にも飽きた頃に『FF14』のアップデートが来たり、その逆もあるわけです。

なら、『ドラクエ10』をPS3やPS4で出さない理由は?という点は任〇堂様が許さないでしょうね。任〇堂様としては、ドラクエの名前でハードが売れればそれでいいし、そのタイミングも過ぎたことなので、もうPCで出されようがハードの売上には関わらないから知ったこっちゃないということなんだと思います。

ただ、PS3やPS4で出されるとなると、ハードの売上に影響が出ちゃうのでね。言わずもがな。

?自社開発タイトル同士のため送客に伴うリスクがない

ドラクエ10』も『FF14』も自社開発というのも大きな理由です。仮に片方が『拡散性ミリオンアーサー』(『ドラクエ10』と『ミリアサ』は、コラボキャンペーンという形の送客施策を過去やりました。)のような外注開発である場合、送客するメリットは激減します。だって、売上のうち数割は外注会社に渡るわけですから。

顧客の財布の中身が一定である以上、そのリソースの奪い合いは協力会社とてライバルになるわけです。

?ハイスペックPC買っちゃいなよ

『FF14』だけのためにハイスペックPCを買うか買うまいかは悩ましいところ。でも、「『ドラクエ10』を出るんやで!」とこのタイミングで背中を押されるのは大きいです。自分のように『ドラクエ10』もやってて『FF14』もやろうとしてるユーザーにとっては、後がなくなります。汚い、スクエニ汚い。

自分はできればノートPCで物色中ですが、その話はまた別の機会にでも。

?『ドラクエ10』はそんなにやんなくて良い

ドラクエ10』は“酒場にキャラ預けるシステム”があるので、他ゲーをプレイしながらもレベル上げが出来ます。「ゲームをプレイしなくていい!」利便性を追求したオンラインゲームとしては、非常に画期的かつうまいやり方をしてるので、後は本当コンテンツボリュームさえ伴えば今後神MMORPGになると思ってました。

『FF14』をがっつりやりつつ、『ドラクエ10』は酒場への預け入れと時々装備とか買い替えるだけでも、十分MMORPGの両立が出来るんですね。(『ドラクエ10』がっつりやられてる方が聞いたら怒られそうですが。)なんなら別に『FF14』の方にも酒場システム入れてもらえれば尚素晴らしいと思うところです。

個人的はこれで両タイトルとも潤って、追加開発でゲームを面白くしてくれるならなんでも良いです。

余談ですが、これが韓国のオンラインゲーム運営会社となると、自社タイトル同士で協力するどころか、激しい“潰しあい”をさせて、勝った方を残すという極めてマッチョな施策をとるのだそうです。それはそれで、勝った方は非常に強力なタイトルに育つのでしょうけど。文化の違いとして興味深いですね。

『ファイナルファンタジー14 新生エオルゼア』 β3の感想

ファイナルファンタジー14 新生エオルゼア

ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)は、スクウェア・エニックスが開発したファイナルファンタジーシリーズのナンバリングタイトル第14作目にあたる、オンラインゲーム・MMORPGです。一度は不評によりサービス終了しながらも、スタッフを一新して2013年8月27日に再度サービス開始する予定です。

そのβ3テスト(クローズベータテスト)に参加してきました。

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正直、β3の規約をちゃんと読んでないので、ゲームのプレイ画像とか内容にはあんまり触れられません。(要するに正式サービスを楽しみにしている方へのネタバレになるのと、あと情報公開には一部制限がかかっている旨が規約文にも明記されてるものなんですね。)読めよ!って話ですけど。

で、要するに滅茶苦茶面白かったわけです。

オンラインゲームやMMORPGは(前作FF11や旧FF14も含め)数十本はプレイしてきている自分ではありますが、βテスト段階でここまで出来がいいものは初めてです。出来が良すぎて困るレベル。間違いなく、自分と(FF11廃人だった)うちの兄は、リアル生活をないがしろにしてプレイするレベルです。

さすがに、もうちょっと具体的にゲームの良さを語ってみましょうか。

まず、クエストの豊富さとテンポの良さ。オンラインゲームではないけど『スカイリム』なんかやったことがある人は、あんな感じのクエストを“更にテンポをよくした”とイメージしてください。何より、自分でクエストを探さすとも、すぐに近くのクエストが見つかるしくみが本当に計算されて作られています。

クエストの案内機能は、既に他のMMORPGでは導入されていますが、それらに比べても非常にわかりやすいUI(ユーザーインターフェイス)で。PS3ゲームパッドでプレイしていても、PCのマウス操作に匹敵する(またはそれ以上かも)操作性とわかりやすさを体現しております。

不安なのは、ホントにこのペースでプレイさせて、開発はついていけるの?という点ぐらいです。

MMORPG開発で一番ネックになるのはゲームのボリュームです。プレイヤーが30分でプレイするクエストは、開発者が30分で開発できるわけないですからね。当然、プレイヤーが開発に求めるゲームボリュームを実現する開発速度がともなわなければ、「やることねーよ」って言われてプレイヤーは去ってしまうわけですから。

“ともなわなければ”って、そもそも絶対にともなうわけがないんですけどね。

なので、通常MMORPGはボリュームを少しでも水増しするため、素材やクエストを使いまわしたり、レベルアップをマゾくしたり、対人対戦を利用してプレイヤーのリソースを消耗し合わせたり、循環要素のある大型コンテンツを作ったりして、少しでもプレイヤーがリソースを消費する速度を遅らせようとするわけです。

プレイヤーとしては、そういう遅延行為を“儲け主義”と受け取りますが、それはそのとおりです。

まずは儲けないことには、サーバーやネットワーク機器などにかかる莫大な設備費用も賄えなければ、開発者の雇用もままならないわけですからね。だから、MMORPGの開発は“儲け”の考えなしになりたちません。ただ、それが過ぎるとプレイヤー離れを起こした結果“儲けが減る”ので、その調整に最も手腕がいります。

“プレイヤー維持には、リソース消費速度とボリュームという反比例する要素の調整がカギ”という話です。

スクウェア・エニックス社はポリシーとして「対人対戦は入れない」としていますので、海外産のMMORPGでよくある“対人型コンテンツ”でリソース消費を遅らせることができません。ただ、『FF11』はデュナミスなどの“長期型リソース消費コンテンツ”でそのボリュームを維持していたと言えます。

ドラクエ10』には未だにそうしたコンテンツがなく、ボリューム維持に苦戦している。と見えます。

じゃ、かつてないほどリソース消費が早い『FF14』は、一体どんな手段でそのボリュームを維持してくるんでしょうか。プレイヤーのクエスト消費に負けない速度でクエストを開発していくのでしょうか。それとも、リソース消費がゆっくりなコンテンツを入れてくるのでしょうか。いずれにしても、楽しみです。

余談ですが、今流行りのリソース消費遅延、ボリューム水増し手段は『パズドラ』のアレです。

育成に必要な要素として、「経験値素材」・「進化素材」・「お金」を用意し、通常のダンジョンではどれも少量しか出さず、常にゲーム進行に必要な素材を不足状態におきます。でも、時間帯や曜日によって、上記いずれかが多めに排出される日を作ってもおくわけです。結果的に、毎日かつ長期的にプレイ継続を促すわけです。

今流行ってるアプリ型ソーシャルゲームのほとんどがこの“ボリューム水増し”を使っています。

その他にもソーシャルゲーム発のボリューム水増し術はたくさんありますが、最近それらを導入している家庭用ゲームなんかも増えてます。それがダメとは思いません。プレイヤーの楽しみが阻害されないレベルであれば、誤魔化す部分は誤魔化して、ボリューム維持に努めるのは開発者として使うべき脳味噌です。

話が猛烈に逸れましたが、とにかく『FF14』が楽しみです。

PS3版でやりましたが、余程のグラフィックを期待しないのであれば、PS3版で十分だと思います。滅茶苦茶わかりやすいUIのおかげで、全くプレイに関して問題は感じませんでした。おそらく、自分がMMORPGをここまで絶賛するのは初めてなんじゃないんでしょうか。そのぐらい、これは一人でも多くの人に触ってほしいです。

てすかとりぽか/『FF14』 課金停止しました

↑ちなみに旧『FF14』の時に書いた記事を観てみたら…。うっわー、ひでえこと書いてるな自分…。

『ジャッジ・ドレッド』 実在する非実在私刑執行人

ジャッジ・ドレッド

2012年のイギリス映画。1995年同名作品のリメイク。ピート・トラヴィス監督作品。

大事なことなので最初に言っておきます。ジャッジ・ドレッドは実在しません。

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国土の大半が荒廃した近未来。巨大都市メガシティー・ワンは、日の犯罪件数が1万を超えるほどの犯罪多発都市でもある。この都市の治安を維持しているのは、警察と司法の機能を併せ持つ裁判所であり、そこに所属する通称"ジャッジ"と呼ばれる裁判官達である。彼らは法を犯した者には決して容赦をしない。

SFです。フィクションなんです。もう一度言います。ジャッジ・ドレッドは実在の話ではありません。

何の話かわからないかもしれませんが、本作に登場するタワー型マンション。こういうタワマンの吹き抜けとか見ると、人を投げ落としたくなるのが人の本能です(「タワマン 投げ落とす」での検索結果:約 183,000 件)。勿論、本作でも投げ落としてますし、『ザ・レイド』でも投げ落としてました。

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でも、現実に投げ落としたら、それは犯罪です。殺人罪か未遂罪に問われます。

故にどんなにムラムラッと来てもやっちゃいけません。「映画の真似をした」なんで口が裂けても言っちゃだめです。それこそ青少年なんとか育成条例に準じ、「非実在私刑執行人描写を理由にした犯罪がうんたら」とか言われ、映画作品が表現規制の対象として上映禁止などの措置を受けかねない事態に陥ります。

“非実在私刑執行人”とは。

創作された文字・視覚・音声情報で“私刑執行人”と認識される創作上の架空のキャラクターを意味する法制上の専門用語です。さらに、以下のように青少年保護ホニャララ条例にて定義され、一般流通される商品に下記のような描写が見られる場合は、不健全指定図書類として指定できるそうな。

“服装、所持品、背景その他の人物像を想起させる事項の表示又は音声による描写から私刑の執行人として表現されていると認識されるもの(以下、非実在私刑執行人)が登場する又は非実在私刑執行人による刑罰執行類似行為に係る非実在私刑執行人の姿態を視覚により認識することができる方法を肯定的に描写することにより、青少年の暴力に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。”

なんでも、『水戸黄門』や『必殺仕事人』なんかも、この対象にあてはめ規制しようとしてるとか。

という冗談はさておき、性的描写のある漫画やアニメと性犯罪との間に因果関係が証明できないのと同時に、私刑やリンチという暴力的描写のある映画と暴力犯罪の間もしかりというのは揺るぎないとは思っていたのですが、近日そうでもない事態を目にしてしまっているため、一応ご紹介しておきたいなと。

特定個人・某社によるtogetter改編と-お詫び-に対する抗議” こちらは2chTwitterでは有名な匿名の方が主導されている、change.orgというSNSを利用した署名活動です。表向きは署名活動に見せつつ、実質気に入らない個人に対してスパムメールを送りつけられるという、“私刑システム”として極めて洗練されたものであります。

もちろん、本来のchange.orgというサービスは、“私刑利用”を目的としたものではありません。

「社会を変えるためのキャンペーンに参加しやり遂げるためにすべての人に権利を与え、どこからでも始められるようにする。」ことや、「月1000件もの各問題において100万もの人々がchange.orgで署名することで地域的に世界的に変えるために毎日キャンペーンをやり遂げる。」ことを目的としている、健全なSNSです。

要は使う者次第というものではありますが、実質特定個人宛てに大量のスパムメールが送ることができる“私刑システム”としても有効であることが今回証明されました。また、「そんなの送られるようなことやる奴が悪いんだろう!」という声が大きいという事実も、このサービスをとりまく環境として興味深いところです。

自分も今回のケースに関して、送られる方にも問題はあると感じています。

では、“送る側に問題はあるのか?”その点を問いただされた方がTwitterで極めて面白い答えをされていたので、それが今日の本題でもあります。気に入らない相手にスパムメールを送りつける行為、Twiiter上から集団で特定個人を攻撃する行為、いわゆる“私刑”を指摘された方の弁解がこちらになります。

「じゃあ、水戸黄門や必殺仕事人にも文句つけるのかよ?」

彼は“非実在私刑執行人”を現実問題に引っ張り出してしまいました。現実そこで起きている“私刑”に関して指摘された際に、「非実在私刑執行人描写を理由に」自己弁護を計ってしまったわけです。現実世界の性犯罪者が「じゃあ、エロマンガにも文句つけるのかよ?」と言うようなロジックを用いたわけです。

これは危険です。“非実在私刑執行人描写と並べて、現実でも私刑を行う人”がいることは、極めて危険です。

個人的にはフィクション世界の暴力描写は大好きですが、どんな理由があれ現実の暴力は許せません。同様に現実世界の私刑も許せません。どんなにやられる側が悪人であれ。でも、「悪い奴はリンチするしかねーだろ?」って人たちは、フィクションも現実も同様に考え、軽々しく一線を越えていきます。

大事なことなので3回目言います。ジャッジ・ドレッドは実在しません。

フィクションと現実の区別がつかなくなった人たちに理解を求めようとして、それは適わないと知ったのはここ最近のことではないので、別にもう彼らに理解は求めません。ただ、今彼らのような人の足元をすくって、それを根拠に表現規制やらを押し進めようとしている人達がいることはみんな知っておいた方がいいです。

ぼくらが夢中になっている、フィクションの世界を守りたいのであれば。

フィクションの非実在を、現実として受け入れましょう。