『のび太の恐竜2006』
2006年。声優陣から作画から何から一新された、
『新・ドラえもん』の映画化第一作。
完全リニューアル作品かつリメイクのため、
コアな旧作ファンからは酷評を受けている本作ですが、
少なくとも藤子先生没後の映画なんて見る気もなかった自身としては、
ただ『ドラえもん』の名のつく作品を続けることで緩慢な死を迎えるよりは、
当然誰かが変えてしかるべきものであったと考えます。
「どこでもドアには白亜紀の地図が入ってないので使えない。」
といった新設定などは「ご都合主義的」と批判も受けるところですが、
個人的にはその「SF的ご都合主義」は好ましいところ。
逆に昔の方が、当然「どこでもドア」を使うべき場面でそれを用いず、
「通り抜けフープ」とか汎用性の低い空間移動道具を使ったりと、
より「ネタ的ご都合主義」だった気がします。
今回特に好かった新設定としては、
「空間移動機能が故障したタイムマシンで、時間移動機能だけ使うには、
元の時代と同じ座標、つまり日本ののび太の家の机の引き出しと、
xyz座標軸をきっちり合わせないといけない」というもの。
つまり、未来世界における空間移動のおおまかなしくみは、
xyzの座標軸指定(+タイムマシンの場合は時間軸指定)ということ。
なんか『ウィザードリィ』の「マロール(瞬間移動魔法)」みたい。
失敗すると「いしのなかにいる」になったりするわけです。
あと恐竜ハンターの悪性についてドラえもんが語るシーン。
「航時法っていう未来の法律があって、
過去の世界には干渉しちゃいけないことになってるんだ。
歴史を変えることになるからね。」
お前がいうな!
とりあえず、つっこみどころが多い映画はいい映画。
次回作『のび太の魔界大冒険』のリメイクにも期待。
つっこみどころが多い映画の次回作といえば、
京極堂シリーズ第2作『魍魎の匣』が映画化決定です。
『姑獲鳥の夏』があそこまで糞で大コケしたにも関わらず、
かつ日記上で糞味噌に貶した上でも買い支えた甲斐がありました。
キャストやスタッフ見る限り、
今作もきっと糞映画になるに違いありません。
でもいちファンとしてまた糞味噌に貶しつつ買い支えます。
京極作品映画化の歓喜を無限に味わうために。
次の映画化のために。次の次の映画化のために。