『セカンドライフ』現世利益と来世利益
『セカンドライフ』は、ホームページみたく自由に企業や個人の広告が出せます。
広告の形態としては、オブジェクトにテクスチャ(張り紙)を貼り付けたものであったり、オブジェクトそのものであったり、また建物や島全体が広告であったりと様々です。
ただ、その広告する対象が大きく以下の2種類に分かれるというのが特徴的です。
1)セカンドライフ内利益の追求
あくまでセカンドライフ内の商品を宣伝するもので、
広告をクリックすることでセカンドライフ内の店舗にテレポートするもの。
仮想世界の利益(L$:リンデンダラー)につながるもの。
2)リアルライフ利益の追求
現実世界の商品や企業または個人を宣伝するもので、
広告をクリックすることでWebサイトに直接リンクするもの。
または商品に類似したオブジェクトを展示するもの。
現実世界の利益(ドルや円)に直接つながるもの。
でもL$はいつでもリアル$に還元できるので、最終的には全てリアルライフ利益につながるというのは確かですけれども。
前者の広告に関しては、割といろんなところで見かけます。
広告というよりは「街の紹介」という色合いが強く、こじんまりとしているのが特徴です。要は「店舗へのテレポートとしての手段」になれればいいわけですから。
「広告募集」をするのもアリな手段だと思いました。
そして、やはり大規模なのが後者、リアルライフ利益追求の広告。
「DELL」なんて島1個が広告です。さらに「DELL」では、セカンドライフ内でMMORPGを開発し、運営する予定とか。でもこういう「中で遊ばせる」という企業活動が大事だと思いますよ。
「BMW」など、カーメーカーにとってもこの世界での広告はうってつけ。なんたって「試乗」できるわけですから。
驚いたのが「日産」の試乗車販売機。下の枠から車がゴトンと出てきます。
茨城県つくば市関連の広告も。うちの地元の近くやん。
そして、極めつけは「浄土真宗西本願寺派布教所」!!布教キター!!
でも本当にMMOの世界で今必要とされてるのは、モラルやマナー以上に「信仰心」であると感じてます。それが結局形となったものがモラルやマナーになるわけですからね。
そして、何より「浄土真宗」の教えは、先に述べたセカンドライフにおける利益追求の形とすごく良く似ています。
仏教における宗派は、念仏により往生成仏する「来世利益」を追求するものと、現世での厳しい修行や呪術により即身成仏する「現世利益」を求めるものに大きく分かれます。
しかし、「浄土真宗」の大きなの違いは、僧侶に肉食妻帯が許される、無戒であるという点にあります。そもそもは、一般の僧侶という概念や世間内で生活する仏教徒としての規範からはみ出さざるを得ない人々を救済するのが本願念仏であると、師法然から継承した親鸞が、それを実践し僧として初めて公式に妻帯し子を設けたことに由来します。
また、ただ「南無阿弥陀仏」という阿弥陀如来のはたらきにまかせて、全ての人は往生成仏することが出来るとも教えています。
要するに、肉食妻帯もできる「現世利益」と往生成仏「来世利益」を同時に得られるという合理的な考えかたなわけですね。
つまりは現実世界と仮想世界、双方の利益を同時に追求できる「セカンドライフ」は、とっても「浄土真宗」の教えにマッチした世界なんだなと思います。
でもウチは天台宗なので、改宗はしませんよ。