てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『セカンドライフの歩き方』

セカンドライフの歩き方 バーチャルワールドガイドブック

デジタルハリウッド大学大学院 三淵啓時著。
発売されたのは知っていたのですが、本屋さんのどのコーナーにあるのかよくわからず、見つけるのに苦労しました。ビジネス本コーナーにもPC関連本コーナーにもなく、結局「ゲーム攻略本」コーナーにありました。
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内容としては、既にプレイしている人への攻略本というものではなく、これからプレイを始める、または始めたい人への入門書と言ったところで、住民登録の仕方からアバターの歩かせ方まで、日本語で(当たり前か)丁寧に記されています。

また、「オリエンテーションに参加しよう」「世界を旅しよう」など、「セカンドライフを体験する」という章を設けて、とりあえず「何をしたらいいのか」を指示してくれているのは、自発的な動きがニガテな日本人向けのガイドとしてとても秀逸だと思います。

ただ、問題は最終章「セカンドライフを理解する」で真っ先に述べている「セカンドライフはゲームではない」という点について。

"セカンドライフはゲームではありません。リンデン・ラボ社はこれをインフラと位置づけて提供しており、利用する目的はユーザーが自分の意志で選びます。"

利用する目的をユーザーの意志で選べる以上、それを第三者が「ゲームではない」と断言するのはとても変な話です。自分的には、他のMMORPGとさして変わるものではないので「ゲーム」としてプレイしていますし。正しくは「ゲームの枠にとらわれない」と記載すべきです。

というのも、変な意味で「セカンドライフはゲームではない」という言葉が流行しているのが厭なんですね。「セカンドライフは他のオンラインゲームなんかとは違う!」「俺たちは遊びじゃない、ビジネスでやってるんだ!」「だから俺たちはすごいんだ!」とかいう優越感を持っている連中が非常にキショイのです。

口先だけでなく、本気でビジネスするつもりなら、それはいいことなのですけど。だったら「ゲームじゃないから」とか言って、この「ゲーム」への間口を狭める行為がどんなに愚かなことかを、他の誰より真剣に考えないといけない筈です。だって、彼らの店で買い物をしてくれるのは、この「ゲーム」を「ゲームとして」遊んでくれる「ゲーマー」なわけですから。

何故「ゲーマー」がお客様なのかって。現状この「ゲーム」をまともに起動できるスペックのPCを持ってるのって、PCゲームを普段プレイしてる「ゲーマー」ぐらいですし。今日はじめてニュースでこれを知った主婦が、一年前に買った「コジマ電機オリジナルPC」でいきなり始められるようなものではありません。

確かに「ゲームではない」と公言することによって、企業家が参入しやすい空気はできました。でも、肝心の客足のほうはどうでしょう。会員数が500万人超えてるのに、日曜日の同時接続者数はたったの3万人です。興味があるけど「環境がないからできない一般の方」や、「ゲームではない」って言うから「環境があってもやらないゲーマー」を筆頭に、そもそもお客様として参入するターゲット層がいないんですね。

逆にインターネット(www)がこんだけ普及したのは、「ゲームができるから」とか「BBSやメールで遊べるから」とかを理由に、まずはヲタやゲーマーがはじめだったわけですから。少なくとも「ゲーム」という間口を閉じるのは愚の骨頂。

個人的に『セカンドライフ』は、他に類を見ないすばらしい「ゲーム」で、今後世界中でどんどんその人気は高まっていくと思います。でもマスコミが問題視しているような"不人気の理由"を全く別にしたとしても、「SLゲームじゃない教」による排他的選民思想に犯された日本人がのさばるようであれば、日本国内におけるシェア拡大は難しいでしょう。

ぶっちゃけた話、テレビのニュースで「よくわからんがなんか新しくてバーチャルなコミュニケーションのクリエイティブがビジネスをメタバーズするそのなんか」とか取り上げられるより、4gamerあたりで「毎日テロが起きるタダゲー」って紹介したほうがはるかに集客性高いのに。

でも人が増えようが増えなかろうが、企業が成功しようがしなかろうが、個人的にはもの作る「ゲーム」として、『RPGツクール』と同じ方向性で楽しめればそれでいいです。