てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『世界侵略: ロサンゼルス決戦』 ファミコン世代直撃

個人的にぶっちぎりで2011年の最高傑作です。ネタバレはしない。
っていうかネタバレっていうほどストーリーはないです。

世界侵略: ロサンゼルス決戦

2011年のアメリカ映画。ジョナサン・リーベスマン監督作品。

“なんか宇宙人が攻めてきたので、アメリカ軍がソレと戦う映画。”

もう今年何本目だよッ!何番煎じだよッ!と怒る前にまぁ、本作は3月公開予定だったのに地震で延びちゃったんですよね。そういう意味では、本来後発だった『スカイライン』にいいとこ持ってかれて、さらに『トランスフォーマー3』とも内容モロ被っちゃったって意味で非常に可哀想な状況だったんですけど。

観てみたら全く宇宙人侵略映画じゃなく、“海兵隊プロパガンダ映画”でしたーッ!!

スカイライン』が“異星人の侵略を高層マンションに住むリア充の俯瞰視点から観たモノ”であり、『トランスフォーマー3』が“宇宙人同士のいざこざを煽り視点で見上げたモノ”であるのに対して、本作はあくまでも“海兵隊視点で自分たちの戦場を平行視点で見た戦争映画”でした。

フォーカスされているのは、宇宙人の方ではなく、海兵隊員一人ひとりの顔であり、戦う姿なのです。

この点が“宇宙人による侵略モノ”を期待して観に行った人たちには不評なみたいで。「宇宙人の描き方がなってない」とか、「狭い戦場ばっかりで全体象が見えてこない」とか。確かにそう。んでも、おそらく本作におけるエイリアンなんて、“海兵隊の活躍の場を作るためだけのデコイ”ですよ。

そもそも、本作のエイリアンがどうして“あれぐらいの戦力なのか?”って気になりますよね。

恒星間航行して軍隊を送って来るような超高度な文明を持ってるくせに(この話『スカイライン』の時もしたな…)、なんか攻撃力も防御力もイマイチ。車に轢かれて「ボウリングみたいだぜヒャッハーッ!」って言われるレベル。最低限個々にプレデターさんクラスの戦闘能力は欲しいところだと思うんですよ。

おそらくそれは、“米軍とりわけ海兵隊の戦力のチョイ上”を基準に設定されているからだと思います。

海兵隊を中心にした近代戦術を“遠慮なく発揮できる設定”は、そんな仮想敵はもう現実世界の中には残されてないんですね。いたとしても、人道的に許されなかったりしますし。だったら、虚構の仮想敵で、かつ「“米軍よりもチョイ強いぐらい”のモノが攻めてきた!」って設定ならバッチリなわけですよ。

“レーザー照準して空爆要請しても、チェーンガンでバラバラにしてもいい奴ら”になるわけですよ。

これは極めて“テレビゲーム的な”設定方法です。まさに『ギアーズ・オブ・ウォー』と一緒。敵が人間じゃないから。しかもこっちよりチョイ上の戦力を持っていて、悪逆非道。そんな奴らだからこそ、衛星兵器とかトンデモな武器を駆使してブチ殺してもいいわけですね。単純に殺し合いを愉しむことが出来るわけです。

それでいて本作では、『コール・オブ・デューティ モダンウォーフェア』シリーズと同様に、“実在の近代兵器と近代歩兵戦術の魅力”をとことん実運用を通して見せてくれています。その運用のキモとなる“通信”こそが、本作におけるドラマを盛り上げてくれていたりもしますしね。

本作は、そんな2大ヒットゲームのいいとこどりをした、ファミコン世代直撃のゲーム脳な作品です。

ボンクラ映画です。ボンクラいう意味では『スカイライン』の方がはるかにボンクラなのですが、完全にベクトルが違うボンクラですね。いつ何時バーホーベーン的な「キミも海兵隊に志願しないか!」ってプロパガンダCMが入ってもおかしくないって方向性のボンクラです。あっちの学生とかはこれ見てマジで志願するんだろうな。

素敵なボンクラ台詞もたくさん聞くことができましたね。一番個人的にツボに入ったボンクラ台詞がありました。「銃は使えるか?」って問われた女性通信士。「私はこの美貌だけを武器にしてきたわけじゃないわ」って。何いってんだお前この状況で。てか、なんか突っ込めよ周りのやつらも。流すなよ頼むから。

てか、公式サイトにあるミニゲームミニゲームと呼べないほどに作りこんでてスゲー!

ほんと、何から何までゲーム世代狙った映画ですね。個人的にはド直球です。ありがとうございました。