てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『ウォーキング・デッド Vol.1』 ゾンビ小噺

ウォーキング・デッド Vol.1

2010年からアメリカでやってるドラマ。発案者はフランク・ダラボン

周囲のゾンビ映画好きの方々も、そもそもゾンビ映画好きでない方々もみんなみんな絶賛してたので観て見ました。とるいあえずまだ1話と2話して観てないんですが、いやぁこれは素晴らしく打ち震えるほど素晴らしい。家で観るドラマでこんなに手汗かいたことないですわ。ちょっと続きが愉しみ過ぎなので早く観たいです。

で、本作は明確に“ジョージ・A・ロメロがいる世界”のお話なんですね。

ロメロといえば、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から始まるオブ・ザ・デッドシリーズの監督様ですが、“ゾンビは生きた人間を襲って食べる”、“ゾンビに噛まれるとゾンビになる”、“ゾンビは頭にダメージを与えると死ぬ”といった、オーソドックスなゾンビのルールを生み出した御方でもあります。

そして、ゾンビ映画は“ロメロがいる世界”と“ロメロがいない世界”に分けることができます。

“ロメロがいる世界”は、一般人でも映画とかゲームを通じてゾンビについての概念、弱点や性質なんかをだいたい知ってる、つまり今我々がいる世界に近い世界のことです。だから、死人が生き返って驚きはするものの、みんなすぐに「これはゾンビだ!」と理解し、冷静に頭にダメージを与えて撃退したりします。

“ロメロがいない世界”は、死人が生き返って襲ってきたとしても、それがゾンビだという理解がされない世界のこと。例えば、明らかに「それゾンビだから気をつけて!」と観客が気づいてるのに、「生き返って良かった!」って近づいてガブリとされたり、ソレを殺すのに四苦八苦してしまう世界のこと。

前者のメリットとしては、兎に角展開を早くできるということ。観客はゾンビのことなんかみんな知ってるわけだから、いちいち「頭を撃てば死ぬんだ!」なんて説明はいらないので、すぐに物語を展開させることができます。逆に、後者は“ゾンビのルール”の描写から始めないといけないので、話がすぐに進みません。

ただ、もしロメロと異なるゾンビルールを適用したいということであれば。例えば頭を壊しても死なないゾンビや、知性の高いゾンビなどを登場させたい場合には、ちゃんと後者の手段で「ルールが違うんですよ!」って観せていかないとなりません。ただ、ロメロ原理主義者の人たちには、ルール改変は兎に角不評なんですよね。

「ゾンビが走るとか認めない!」とかね。

稀に“ロメロがいる世界”で、「このゾンビ、頭撃っても死なねえ!」とか言っちゃう非ロメロルール作品もあったりしますが、そういうメタ的な発言はコメディ作品を除いて好きではないですね。最近だと『フライトナイト』で「ヴァンパイアとか、『トワイライト』の見すぎだ。」って台詞もありましたが。

閑話休題。要は“ロメロがいる世界なのかいない世界なのか?”によって作品の接する態度をやや変えないといけないので、結構重要だと思うんですね。その理解がないと「明らかにゾンビなのに頭撃たないとかおかしい!」とか、「死んだ人が生き返っただけで、ゾンビ扱いして撃つとか酷い!」とか的外れな指摘をしちゃう。

黄泉がえり』を観て「どう考えてもあいつらゾンビだろ!早く撃ち殺せよ!」とか言いかねない。

ちなみに本作2話のアレは、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のオマージュだと思うんですけど。あんな突飛なアイデアは、主人公が『ショーン・オブ・ザ・デッド』を観いた上での発案だとも思うんですね。なので、どうせなら「『ショーン・オブ・ザ・デッド』でやってた。」ってメタ台詞があっても良かったと思うんですね。

嗚呼、ゾンビ語りしたいなあ…。

『アジョシ』 ウォンビン腹割れすぎ

アジョシ

2010年の韓国映画。イ・ジョンボム監督。

ウォンビンって、ウォン・ビンじゃなくて、ウォンビンなのね。

そのウォンビンがひたすら格好いいアクション映画です。最近で主人公がひたすら格好いいアクション映画といえば『イップマン』のドニーさんなんかがおりますが、格好いいのベクトルがまたなんか違うんでよね。なんというか、少年ジャンプ的というか中二病的というか、要するに『BLEACH』的な感じなんですよね。

具体的に言うと、例えば主人公が敵のヤクザのところにかちこみに行くシーンなんか。

敵のオニーサン達がいるのって、なんか真っ白な大理石でできた神殿の広場みたいなとこなんすよ。そこで何やってるかって言うと、普通に立ったり座ったりしながら、タバコ吸ったり新聞読んだりしてる。そこに主人公が独りで乗り込んでくる。白い広場と個々のコントラストが絵的には非常に格好よく見えるんですよね。

ただ、普通に考えたらそんな絵おかしいんだよね。なんなんだよこれ。

で、なんなんだろうと思って考えてみると、やっぱりおなじような絵って『BLEACH』とかでたまに観るんです。一見スタイリッシュに観える光景、でも普通に考えたらなんか変だし、よくよく考えたらダサイよね。でも、そのダサいと格好いいの丁度いいラインを突いてはいる。なんかそのへん韓国映画はうまいよねって。

あと、ウォンビン腹割れすぎ。腹だけCGじゃないかと疑います。

インモータルズ』でも、主演女優がいい尻を出したと思ったら、尻だけ違う人の尻だったという詐欺行為があったので。でも、割れてるだけあって、アクションの切れも素晴らしいんですわ。おそらく日本でジャニーズ主演じゃあこういうのは逆立ちしても撮れないんだろうと、素直に韓国映画に嫉妬するところです。

ちょっとオサレ映画臭さが、本来ウケるべき層を遠ざけちゃってる感はありますね。

オンラインゲームの世界だと、日本製のモノは北米や欧州を狙いすぎちゃってて。逆に韓国製の方のベッタベタにエロ&萌え絵な感じが日本にウケちゃってるという変則的な韓流ブームがあったりするんですが、本作もカンフーアクションとしてオタク向けに売った方がウケたような気がするんですよね。

とりあえず、『BLEACH』実写はハリウッドなんかじゃなく、この監督さんに撮って貰いたいです。

『ヒア アフター』 イタコLOVE 〜ブルーハート〜

ヒア アフター

2010年のアメリカ映画。クリント・イーストウッド監督。

■あらすじ(Wikipediaからのコピペ)
ジャーナリストのマリーは、津波にのまれた時に臨死体験を経験。その時に見た不思議な光景を忘れることができない。少年マーカスは、愛する双子の兄を亡くしてしまった悲しみから立ち直れずにいる。ジョージは、かつて霊能者として知られた人物だが、次第に自らの才能を嫌悪、その才能を用いずに生きている。

冒頭の津波のシーンばかり話題になってましたけど、むしろその他の部分が素晴らしい作品でした。

ヒア アフター(Hereafter)って“来世”って意味があるらしいですが、英語に疎い自分はそんなん知らずに見ちゃいました。そういう意味では、邦題のつけ方にセンスねーなと思います。日本のオカルト好き層に訴求したいなら『ロンドン大霊界』ぐらいのド直球にベタなタイトルにしたら好かったのにねーと。

内容的には『イタコLOVE』だったら完璧に一致してたと思います。

筋肉少女帯の名曲「イタコLOVE〜ブルーハート〜」の歌詞は、失った恋人の魂をイタコに呼んでもらい、そのままイタコと暮らすという内容なんですけど。本作も元イタコ(チャネリング霊能力者)のマット・デイモンが、その能力故に恋人もできないとか、でも同じイタコ的な女性に惹かれるとかそういう話なので。

個人的に、イタコやコールドリーディングの類には興味があるのでとても愉しめました。

そもそもイタコというのは、日本の東北地方などで口寄せ(死者の霊などを自身に乗り移らせてその言葉を語ること)を行う巫女のことです。イタコには霊的な力があるとする考えもありますが、一般的にはクライアントの心情を読み取る力(一種のコールドリーディング)を利用したカウンセリング術とされています。

本来は死者あるいは祖霊と生きている者の交感の際の仲介者として、氏子の寄り合い、祭りなどに呼ばれて死者や祖霊の言葉を伝える者だったらしいんですけど。そうしたシャーマニズムを“遺族カウンセリング”という実益に生かし、観光利用することで地元の利益に還元するというビジネスは素直に素晴らしいことと考えています。

ただ、霊能力とかスピリチュアルとか本気で信じてる人だと、肩透かしを食らうみたいですけどね。

本作の中でも、マーカスが死んだ兄に会いたいがために何人もの霊能力者の元を渡り歩くけど、どれもニセモノでがっかりするという描写があります。個人的には、そういうニセ霊能力にも価値はあると思っています。その程度のウソっぱちでも、救われる人がいるなら、それは白魔術なわけですから。

脅して呪いをかけたり、騙して壷を売りつけた時点で、それは黒魔術になるので、許せませんけどね。

例え魔法の正体が単なるコールドリーディングだったとしても、“人を救いまた呪うという効果があるのであれば立派な魔法である”というのが自身の“霊能力”に関する認識です。“死んだ人の霊が何かをするのか?”という部分に関しては99%懐疑的ですし、故に特定の宗派に対する信仰心もないですけど。

でも、本作の中にマット・デイモンは、“ホンマモンの霊能力者”として登場いたします。

“ホンマモンの霊脳力者”に関しても、自分は1%未満の割合で「いてもおかしくないじゃん?世の中広いんだし。ていうかその方が面白いし。」って思ってます。実際、“視えちゃう”人が正常な世間一般の生活を営めずに、恐山でイタコの門戸を叩くこともあると聞きます。“視える”のは個人の認識の問題だから否定できません。

その“視えちゃう”能力のことを、マット・デイモンは「能力ではない、呪いだ。」と嘆きます。

そりゃそうでしょうよ。統合失調症扱いです。(実際に劇中でもそういう診断受けてました。)『X-MEN ファーストジェネレーション』も、自身の能力と差別に苦しむお話でしたが、根本的に違う部分があります。現実世界にミュータント能力はないけど、“視えるが故に統合失調症”と診断されてる人は存在するわけですから。

“その人たちが視ているものが死んだ人の霊なのか?”という部分は特に重要じゃありません。

重要なのは、“普通の人が視えないものを視てしまう人がいる。そして社会生活の妨げになっている事実が存在する”ということ。本作を凄いと感じたのは、霊がいるとかいないとか、死後の世界があるとかないとかじゃなく、“視えてしまう人の視点に立って、彼らが何を悩み、考えているのか”を描いた点にあると思います。

閑話休題。個人的な経験に基づく話ですが、コールドリーディングは仕事の中でマジで役に立ちます。

自分も入門書とか興味半分で読んだ程度ですが、チームマネジメントや採用面接なんかをしている中で、相手のホンネを聞き出したり、ウソをついているかどうか見破ったり、さらに相手の譲歩を引き出したりする上で、その論理的手法が信じられないほど役に立ちます。ちょっと霊能者の才能あるわ自分って感じです。

ちなみに読んだ本はこちら↓みたいな感じでステマするのにも役に立ちますよ。

『127時間』 と最近みた映画たち

『スカイリム』100時間やってるけど全然中毒にならねえ。

でも、映画観たら感想を書くという10年以上続けてきた習慣(Webに載せ始めたのは1999年から、FC2ブログになったのは2005年から)が完全におざなりになったので『スカイリム』すげえ。個人的に今までやったRPGの中で比較的一番面白いと思います。ていうか嘘です。感想がおざなりになってきたのはここ数年のことです。

まぁ、でも映画の感想を日記に遺しておくのは“老後の愉しみ”ぐらいな目的です。

駄文をいくら書いたところで文章の練習にはなりません。書くのは早くなったかもしれないし、ネタに対して何がウケて何がウケないのかっていう釣りスキルは身についたかもしれないけど。映画に限らず一度観たものを再度文章に起こすという作業を通すことでストーリーを正確に把握し、記憶するって役には立ってると思うけどね。

ほいだら、昨年末あたりから観たけど感想書いてなかったヤツらばを色々と。
(リンクはyoutubeの予告編につないでます。)

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導火線 FLASH POINT

2007年の香港映画。監督はウィルソン・イップ。2011年は個人的にドニー・イェンの年でした。イップ師匠ではクールな優男イメージのドニーさんが本作では本能剥き出しの暴力野郎に。腕ひしぎ逆十字かけながら高所から落ちる技(技か?)とかはもう何かマッスルスパーク的な何か的に燃え。

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宇宙戦艦ヤマト 復活篇

2009年の日本のアニメ映画。西崎義展監督。ストーリー原案が東京都知事なので話が滅茶苦茶なのはみんな言ってたことなんだけど、何より絵がヘン。CGは相当がんばってるほうだと思う。でも絵がヘン。どこの国に外注したんですかコレ。見てて厭な汗が出てくる。実写のキムタク無双より生理的嫌悪感。

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イップ・マン 序章

2008年制作の香港アクション・カンフー映画。ウィルソン・イップ監督。イップシーフー!!いいからとっととテレビ放映せよ早く!反日描写が気になるなら『葉問』のほうでいいから早く!そして木人拳売れ!ジャパネットでもジャンプの一番後ろのページでもいいから売れ!売れるから!買うから!俺が!!

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実録!スティーヴン・セガール警察24時!激闘のカーチェイス編

2009年アメリカのリアリティテレビ番組。スティーヴン・セガール出演。セガールがただのコックの副業として警官をやっているというのはあまりにも有名な話ですが、その警官部分にフォーカスしたドキュメンタリー。しかしあれだ。やってることが普通に警官なので別におもしろくねえ。コックの方が面白いわ。

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ファンボーイズ

2008年製作のアメリカ映画。カイル・ニューマン監督。取引先との飲み会で、自称スターウォーズヲタの新入社員が、スタートレックが好きという上司に対し「スタートレックってスターウォーズのパクりですよね?」って言ってたの思い出して。そういや新入社員の彼はそれ以来見ていないなあ。

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模型戦士 ガンプラビルダーズ ビギニングG

映画じゃなくてOVAなんだけど、レンタル履歴になったので。てっきり子供向けかと思ったらおもいっきりおっさん向けでした。でも、これ見て喜ぶのって完全に『プラモ狂四郎』世代だもんね。難を言えば、ビギニングガンダムってアニメで見ると格好いいのに、キット化するとなんかかっこわるい。

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マイティ・ソー

2011年のアメリカ映画。ケネス・ブラナー監督。なんかハンマーちっさと思うのはモンハンのせい。アメコミ原作の中では、正直言って華がないよなあ。その割には『グリーンランタン』みたいな感じにならなかっただけでも好かったのかも。『アベンジャーズ』期待してます。

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相棒 劇場版II-警視庁占拠!特命係の一番長い夜-

2010年の日本映画。和泉聖治監督。『相棒』はドラマの方は好きです。

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孫文の義士団-ボディガード&アサシンズ-

2010年の中国映画。テディ・チャン監督。こちらもドニーさんの映画。でもアクション中心ではなく歴史モノですね。だからドニーさん無双までが長かったりするんだけど、その分溜まったフラストレーションを全てカタルシスとして解放してくれるドニーさんめさかっこいいです。

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映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ天使たち〜

2011年の日本のアニメ映画。寺本幸代監督。なんだかんだ言われてるけど個人的には新ドラ好きです。ただの焼き直しでなく、ちゃんと今風のロボットアニメとして丁寧に格好良くつくってあります。あと今観ると有名SF映画のオマージュだらけと気づいてなんか脳汁でまくりです。藤子てんてーすげええー!!

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塔の上のラプンツェル

2010年のアメリカのアニメ映画。ネイサン・グレノ、バイロン・ハワード監督。なんだかんだ言ってディズニーアニメ好きです。ていうか、ディズニーの女子主人公モノはほんと女子力高いっす。自分が女子だったら憧れる。女子じゃないんだけど。2011年公開のアニメ映画の中ではこれが文句なしベスト。

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100,000年後の安全

2010年のデンマークのドキュメンタリー映画。フィンランドにある放射性廃棄物処理施設(オンカロ)に関するドキュメンタリー映画。ほんとこの映画が全部嘘っぱちに見えてくるぐらい人間のやってることってうんこだよね。ていうかこれ全部嘘っぱちだと本気で言い張る人たちがこの国にはたくさんいるんだよね。マジキチ。

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トゥルー・グリット

2010年のアメリカ映画。コーエン兄弟監督。台詞回しの軽快さと面白さで言うとコーエン兄弟タランティーノってズバ抜けてますよね。個人的に西部劇って興味ないし知識もないんだけど、そういう前提の教養なしでも楽しめます。ただ、コーエン兄弟にしては、ひねくれてなさすぎで物足りない気はします。

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スーパー!

2011年のアメリカ映画。ジェームズ・ガン監督。世間的にはものすごく評判が好かったのですが、個人的には悩んでしまう所。確かに面白いんだけど、なんかそこ面白がっていいものかどうか。ラストは本当に素晴らしいんだけど、それが素晴らしいのなら途中面白がっちゃいけないんじゃないかという。ね。

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127時間

2010年のアメリカ映画。ダニー・ボイル監督。すごい。すごい映画。個人的に「すごい」って形容は「ダメ」の言い換えであることが多いのですが。こんなつまんない脚本をなんかかっこよい映像と音楽だけで脚色して売っちゃうダニー・ボイルすごい。さすがオスカー取ったばかりだと色々すごい。

でも『スラムドッグ$ミリオネア』は好きですよ。

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よし、『スカイリム』やる。

『2011年』 直感的に好きな映画 ベスト10

今年は仕事の方が殺人的に忙しかったのと、普通にゲームの方が当たり年過ぎたので、映画の方はあんま観れんかったような気がします。感想を書いた作品だけでもホント少なくなったけど、そこはTwitterで済ませられるようになった点が大きいかも。でも、こうやってベスト10を出してみると、映画も相当な当たり年だったですね。

そんなわけで、“自分が直感的に好かった映画”のベスト10発表になります。

直感的っていうのは、要するにロジックで考えた面白さではなく、“観た時にどれだけ心が震わされたか”ってことです。ぶっちゃけ頭使うのは仕事とゲームだけでイッパイイッパイなので、映画ぐらいはそういう“映画評論”とは真逆のベクトルで観たいと思うようになりました。映画的な教養(笑)とかいりません。

【2011年 個人的に直感的に好きな映画 ベスト10】

■1位 『インモータルズ -神々の戦い-』 : 作品の感想

すがすがしいほど馬鹿で残虐で馬鹿な“スタイリッシュ切株映画”。世間一般的な評価は極めて賛否が分かれ、どっちかっていうと“ワースト映画”に入れてる人が多かったですが、個人的にガチで好かったです。ゼウスの馬鹿が、馬鹿息子をぶっとばして壁突き破るところが一番好きなシーン。

■2位 『世界侵略: ロサンゼルス決戦』 : 作品の感想

すがすがしいほど馬鹿でまっすぐで馬鹿な“アメリカ海兵隊のプロパガンダ映画”。FPSとか戦争ゲームにはまってるゲーム脳をがすんがすん射抜いてくる演出満載です。主人公がこれまで失った部下の認識番号を全員分暗誦するシーンでガチ泣きしました。ああ、自分こんなんで泣ける程安いハートなんだと再認識。

■3位 『スカイライン -征服-』 : 作品の感想

すがすがしいほど馬鹿で馬鹿で馬鹿な“エイリアン馬鹿映画”。もうなんだこれ正直よくわかりません。よくわかんないけどずっと腹かかえて笑って観れました。とりあえず、円盤から引きずり出した宇宙人を素手で殴った後にさらにブロックで殴るシーンだけは2011年度の個人的ベストシーンに選出させていただきます。

■4位 『ザ・キング・オブ・ファイターズ』 : 作品の感想

人気格闘ゲームの『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズは初代から滅茶苦茶プレイしてて、コミケで薄い本を売ってたぐらい個人的に思い入れがある作品。それが『ストリートファイター』の実写映画も真っ青なレベルで蹂躙された様が逆に。テリー・ボガードがゴミ袋振り回して雑魚敵と闘うシーンで何故か涙が。

■5位 『ブラックスワン』 : 作品の感想

上の4本は変化球と考えて、直球で一番好かったのは本作。映画的に直球とはいえ、ジャンルとしては芸術映画と見せかけてガチホラーなので、十分変化球ですけどね。兎に角お母さん関連のシーンが怖い。「あ?ケーキ食べへんの?食べへんやったら棄てるわ。マジ棄てる。」のシーンが、初撃として強烈でした。

■6位 『ソーシャル・ネットワーク』 : 作品の感想

マジレスするとよくもまぁあれだけ“金儲け一辺倒”のSNS業界を「金よりもクールさだ!」みたいな全力の嘘で塗り固めたモノを作り、それをヒットさせたという、あくまで“プロモーションの方法論として見習いたい”対象としての評価となります。「広告はクールじゃない!」とか今のFacebook見せてよく言えるよな。すげえ。

■7位 『イップ・マン 葉問』: 作品の感想

映画館で観てたら1位だったかも。『イップ・マン 序章』、『孫文の義士団』、『導火線』も考慮すると2011年は完全にドニーさんの年。2011年ベストバウトだったら“ドニー・イェン VS サモ・ハン・キンポー”。テーブル真っ二つになって二人同時に着地するシーンは個人的カンフー映画ベストシーンに選んでもいいです。

■8位 『リアルスティール』: 作品の感想

今年は“意外性”でランクインした作品が多い中、“意外性まったくなし”“テレビCM見たまんま”の内容の本作がランクイン。単純に家族愛、ロボット愛、スポーツ愛、ハリウッド的“胸アツ要素”の詰め合わせ。だからいいんです。テレビで21:00からやる映画的に長年に渡りいい位置を占めてくれるでしょう。

■9位 『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』: 作品の感想

アメコミ映画化も多い中、一番好かったのは本作。個人的にはシリーズ中ベストかも。正直、直感ではなく小賢しい魅せ方を読み取った上で好きな映画ではあるのですが、単純に超能力バトルの魅せ方も旧作より格段にうまくなってました。安売りしようと思えばいくらでも安売りできる素材なのに志が高いんですね。

■10位 『SUPER8/スーパーエイト』: 作品の感想

未だ本作が本当に面白かったのか、つまらなかったのか、判断に迷う部分はあるんですけど。少なくとも“ジェームズ・キャメロン的なSFアクション”とは全く別ベクトルから描かれた“美しい映画”なんだなという感慨を抱かせたラストシーンは掛け値なしに好き。ただ、ホントこれ子供が観ても面白い映画ではないとは思う。

【総括】

他にも『猿の惑星:創世記』や『マイティ・ソー』とか、普段なら当然ランクインするであろういい作品もいっぱいありました。『アジョシ』や『ミッション8ミニッツ』や『MI:4 ゴーストプロトコル』も観れてたらランクインしてたかもねーと思っています。それぐらい劇場に行ける時間も少なかったなあ。

アニメ映画は今回ランクインしてなかったんですけど、『塔の上のラプンツェル』や『タンタンの冒険』、『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ天使たち〜』も例年だったらベスト10に入ってきたと思います。『コクリコ坂から』も全然好かったと思いますよ。てか『機動戦士ガンダムUC』は映画カウントでいいのかな。

最後に『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』、『エンジェル ウォーズ』、『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』は今年の大本命かと思っていたのに噴飯モノの期待はずれ。特に後ろの2本は“直感的に嫌い”なタイプの作品でした。『トランスフォーマー』は次回また期待しています。

>>『2010年』 好かった映画 ベスト10

ほんと、去年に比べても良作揃いですね。てか去年とか『シロメ』なんかランクインさせてたのか自分。

とりあえず、今年はどうもでした。来年もどうもです。

『リアル・スティール』 ジャパニーズクールへの畏敬

リアル・スティール

2011年のアメリカ映画。ショーン・レヴィ監督作品。

テレビCM見てこんな話だろうなと思ってた内容と1ミリも違わない内容でしたが、ネタバレ注意で話します。

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(C)DreamWorks II Distribution Co. LLC

近未来、ボクシングは人間ではなくロボットが闘う競技になっていた。ロボットの賭け試合で生計を立てていた元ボクサーのチャーリーの元に、母を亡くした息子マックスがやって来る。ゴミ捨て場で、マックスはATOMという旧型ロボットを見つけ持ち帰ってきた。マックスはATOMをチューンナップし、試合に出場する事を決意する。

家族愛、ロボット愛、スポーツ愛、ハリウッド的“胸アツ要素”の詰め合わせのような映画です。

ここまでどストレートな“胸アツ”映画はほんと久々ですね。どストレートなだけあって意外性はゼロ!なし!皆無!なのですが。別にATOM黒歴史の遺産的な設定でもなければ、ナノマシンばら撒いて文明ごと破壊するようなロボットでもなかったですし。それでも、この怒涛の“胸アツ”は劇場で体験できて好かった。

でも、個人的にそんな“胸アツ”さだけならこんなに本作を推さないですよ。

なんていうか、本作の根底から滲み出ている製作者らの“日本への畏敬の念”というか“「ジャパニーズクール」的なモノへのコンプレックス”みたいなものに鳥肌が立ったんですね。そのことが端的に読み取れる場面について、いくつか例に出してみたいと思います。まず、マックスが日本語を話せる理由を問われた時の台詞。

「テレビゲームで覚えた。」「日本製は最高にクールなんだぜ!」

ちょっとうる覚えなんだけどそんなこと言ってました。ここ「日本製はクールなんだ。」って台詞は別にいらないですよね。てか、日本産のゲームの市場規模が世界の2割以下に落ち込む中、“日本のゲームはクール”って認識は相当マイノリティです。そこを殊更強調したこの台詞に、製作者の想いのようなものを感じたのです。

「『フォールアウト』よりも、『ファイナルファナタジー』の方がクールなんだぜ!?」という想いを。

さらに、最強ロボットである“ゼウス”のクリエイターことタク・マシドさん。冷静・無口・技術・カネ・日本訛りの英語(『サウスパーク』のチンポースシのご主人みたいな)と、ロボットモノのラスボスに相応しいほどのジャパニーズクールキャラです。キレると正拳でディスプレイを叩き割るというアツい面もお持ちです。

そんな“いけすかない”敵をアメリカ的な“暑苦しさ”を持って倒す、そこにカタルシスがあるんですね。

でも、そうした設定の根底から滲み出てるのは、やっぱり“日本に対する畏敬の念”なんですよね。『宇宙戦争』で「日本人が最初にトライポッドを倒した」みたいな、何か「ロボットに関しては日本が最先端を行っている」みたいな意識、それこそ極めてマイノリティな意識を持った人が作ってるんだなと感じるのです。

「だって、日本にはマクロスガンダムがあるだろ?」ってマジで言ってくるようなノリで。

オンラインゲームで海外の人と遊んでると、自分が日本人ってわかると「どんなアニメが好きだ?」とか「今度日本の秋葉原に行くんだがアーケードゲームの基盤売ってるとこ教えてくれ」とか、妙に興味を持たれることがあるんですけど、その時の気恥ずかしい嬉しさとなんか似てるんですよね。本作の感じって。

昔あっちにホームステイしてた時も、剣道やってるってだけで畏敬のまなざしを向けられたって時とも同じで。

ただ、後でそのうちの子から『KENPO』っていうカンフー映画を観せられた挙句、「キミはどんなケンポーの使い手なんだ?」って聞かれたので、完全に勘違いされていると気づきましたが。「ノ…ノー、ケンドーイズサムライスピリッツ、オーケー?」とか適当な返しをしましたが。なんかそんな感じなんですよこの映画。

いやしかし、ATOMのチート性能に関しては突っ込むのは野暮なんですかね。

真面目に“資本力と技術力で勝負”してる方が馬鹿らしくなってくるじゃないっすか。ロボット同士の闘いなんだからカネと技術の勝負になるのは間違いじゃないよね。でも、ATOMのアレはどう見てもチートでしょう。どうしろっていうのよアレ。中にセガールドニー・イェン入ってるでしょアレ。かわいそうだよ敵が。

てか、一番おかしいのは硬さだよ硬さ。何でできてんだよ。ガンダリウム合金かよ。

そのへんの掘り下げは一切なく、単に人間の動きをトレースする機能がついた“そしてひたすら硬い”旧型ロボットが、少年の愛とその親父のボクシングセンスだけでてっぺんを取っちゃうって話なので、その物凄いご都合主義だけ気にならないのであれば、近年まれに見る“胸アツ”な作品です。個人的には大好きです。

『タンタンの冒険』 大人気ない(いい意味で)

ネタバレなしです。

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密

2011年のアメリカ映画。スティーブン・スピルバーグ監督作品。

ベルギーの漫画家・エルジェによって描かれた漫画(バンド・デシネ)。主人公の少年記者タンタン(TINTIN)と相棒の白い犬スノーウィ[1]が世界中を旅行し、事件に巻き込まれるお話。(Wikipediaまんまコピペ)

タンタンじゃなくてティンティンじゃないのか?って話は誰しもみんなが通る道なので割愛。

子供向け映画なのでほんの家族サービスのつもりで気軽に観に行ったんですけど、なんていうか全力投球のスピルバーグ映画で吃驚しました。スピルバーグだってこないだまで『スーパー8』撮ってたし、CGアニメの本作の方なんてどうせ片手間でやってたんデショって想ってたのが大間違い。本当に大人気ない作品でした。

何が凄いかってCGが凄い。CGが凄いって時点でそれを文章で説明すんの難しいんですけど兎に角凄い。

最近は「CGが凄い」=「馬鹿映画」「低予算映画」っていうレッテルが先行しがちだからCGCG言いたくはないんですけど、実際ここ数年で「CGが凄い」って思った映像作品って確かになかったんですよね。10年前は自分でもCGを創ってたぐらいCGが持て囃されてたてたので、新しいCG映像表現が生まれるたびに驚いてたもんです。

ここ数年はそれが、だんだんどれも似たりよったりなり、逆に露骨なヤツは嫌悪の対象にすらなりました。

ガンダムの富野監督がそういったCG映像による創作性を卑下して曰く「みんな同じツール使って同じことやってるんだから新しい絵なんか出来っこない」ってことなんですけど、実際そのとおりとしか言えないんですよね。CGはアニメや漫画と違い、その技術単体持ってても食べていけないという実情もその理由なんだと思います。

事実、CG製作の現場では、CGはデザイナーが創るものではなく、オペレーターが作るものですし。

そのCGオペレーターになる人も、10年前と違って激減しちゃってますからね。だって、食えないんだもん。どうしてもCGで食っていきたいなら、脚本も音楽も全部自分で創れる映像作家になるしかない。そうなって更に食べていけるようになれる人はほんの一握りっていう、そんなのがCGに関する国内の現実だったりします。

新海誠監督みたいな方が、その草分けであり希少な例だったりするわけですけど。

ハリウッドの方の就業事情は正直よく知らないんですけど、CGアニメ全盛のピクサーとかの作品を観るにしても、アレは“CGを売りにしている”わけではなく、“CGを低コストでの映像作成手段”として割り切って使っているのがわかります。だから『トイストーリー』見て「CGすげえ!」とは言わないわけですけど。

そんな中、本作のCGによる映像表現は、本当に凄いと思ったわけなのです。

途中、物凄い長い回しのワンカットのシーンがあるんですけど、もう本当「うおおおおおおお!!」って感じでしか表現しようのない凄い凄さなのです。ああいうのは確かに“CG使わないとできない表現”かつ“クリエィティビティに溢れた絵”として、素直に“映像表現の革新”とぐらい言ってもいいのではないかと思いました。

ただ、それをやったのが“子供向け映画”だったから、そこはどうしても“大人気ない”と感じました。

もちろん、いい意味でですけどね。ただ、何故ここまで気合入れてやったの?って。“子供向け映画”な自体で、そのへんを期待して見に来る人はいないわけだし、そのへんを期待してる人はほとんど観にはこないと思うのですよ。少なくとも、本作の国内プロモーションはCG推しなんかではないようですし。

あとは、やっぱり一部原作ファンの方々には、その“リアルなCG描写”が勘に触られているようですしね。

ツイッター上での映画クラスタの皆さんの本作の評価見てても、見事に真っ二つで面白いです。みんな子供向け映画に向かって全力でマジレスしてて大人気ないです。自分もその中に加わるために長文ツィートしたりしてますが、大人気なさという意味ではまだまだです。「ティンティンの冒険」とか言ってる中学生レベルです。

でも、そういうこと言わないのが大人になるってことなら、大人になんかなれなくていいってばよ。