てすかとりぽか

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『バトルシップ』 に関するQ&A

バトルシップ

2012年のアメリカ映画。ピーター・バーグ監督。

ひょんなことから太陽系外の地球型惑星との交信を試みたところ、そっからなんか来た。んで、ちょうど日米合同の海戦演習をしてたハワイらへんに落っこちた。とりあえず威嚇射撃してみたら撃ち返して来たんでなんだコンチキショー戦争やんのか上等だコラ!みたいな話。去年あたりからよくある対地球侵略テンプレ映画です。

大事なことですが、“撃ったのは地球側が先”です。

その経緯もあってか、素直に地球の軍隊に感情移入が出来ず、「呼ばれて来てみたらメッチャ攻撃的な星だった…。生き残れるのか俺ら…。」と絶望している宇宙人に肩入れしてしまいがち。それでも不愉快に感じないのは、そんな日和った考えなどお構いなしのマッチョイズム全開で描いてくれてるからだと感じました。

要するに、作ってる連中が計算高い馬鹿ではなく、ホンマモンの馬鹿だと感じられるからですね。

そんなマジキチな人達の手によるものだという点は、ストーリー面の“いい感じの壊れっぷり”を観ていても一目瞭然なので、本作を真面目に読み取ろうとすると大変です。脳みそが疑問符だらけで正直パンクしそうです。そういう映画じゃねーからこれ。酒飲みながら夜中に友達と観る系ですね。

ただ、あえてその疑問符の数々に答えを見出してみたいというのも(ネタとして)アリなんじゃねと。

んでも、できるだけネタバレはシャットアウトしてから観たほうが面白い…っていうより燃える作品なので、ちょっとこっから先は観た人だけ読んでいただきたいなーと。あと、今回は感想というより寝言に近い感じなので、「勝手に物語を読み変えるな!」とかゆー狭量な人もお引き取りくださいな。

        • 以下ネタバレ含みますライン----


バトルシップに関するQ&A(寝言)】

Q. なんで無職クズニートのアレックスが海軍入ってわりとすぐ少尉で艦長だよ!?
A. しらねえよ!

いや、流石に最初っからなげっぱは良くないんだけど、マジでこれいきなり最大の謎なんですよね。入隊からの時間経過もわかりづらいってのもあるんですが、提督が「お前は才能があるのに…」ってのもその説明にはなってないし。途中兄貴と話してた“コネ”の話じゃないかとは思うんですけど。

米海軍で将校になるのは少なくとも士官学校を出るか、ROTC(4年間の大学生の学業と同時に士官候補生としての訓練を受け、卒業単位と規定の訓練過程を修了する)過程が必須。士官学校への入学には米国籍と上院議員又は下院議員の推薦状が必要なので、たぶんこれが“コネ”ってことなんでしょうね。

日本の会社に例えると、“縁故採用でいきなり課長になる”みたいなもんです。殺意が沸いてきますね。

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Q. 宇宙人は何しにきたの!?
A. さぁ…。

いや、ほんと何しに来たんでしょう。地球から送信した交信内容は示されてませんが、まぁ友好を示すような内容だと思うんですよ。で、あの宇宙人の専守防衛的(敵対しないものは攻撃しない)を見る限り、戦争しにきたようには到底みえないんですよね。武器だってテキトーな榴弾と空飛ぶギロチンしかないし。

宇宙人自体の装備もナイフ1本で、近接戦闘(宇宙CQC)挑んでくるぐらいだし。

装備の軽薄さ以上に疑問なのが攻撃性判断システム(攻撃性のありそうなものは赤、なさそうなものは緑で判定)と、それを遵守するコンプライアンスの高さ。これは現実の日本の自衛隊専守防衛の思想を皮肉っているのか?とも思えますが、どう考えても自分らの死に直結する系のモノも緑判定しちゃってるんですよね。

今、お前らが緑判定して見逃した通信機、結果的にお前らの頭上に砲弾の雨を降らすんだが…。

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Q. なんで宇宙人はハワイにきたの!?
A. 他のみんなはニューヨークやロサンゼルスに行くのにね。

信号がハワイから上がってたから?でも、ホノルルなんかに何の用事が。てか、そのせいで途中で人工衛星にぶっかっちゃってその破片が“たまたま香港を襲来して、香港が壊滅”という、“偶発的な大打撃”を与えてしまってはいるのですが。いやでも、確かにハワイ行きたいよね。自分も行きたい。

真面目な話、米海軍の艦隊の中で最大の規模と戦力を誇る第7艦隊の司令部があるからでしょうか。

宇宙人の目的が“なんか攻撃性のあるものをぶっ壊したい”というか“宇宙の紛争根絶を目的とした武力介入”とか何スタルビーイングだよお前みたいなものだとしたら、真っ直ぐにここを目指したという理解もできます。しかも、ちょうど大規模な軍事演習中とか言ったら、そら黙っちゃおれませんですよね。

でも、通信機途中で落としちゃった時点で正直詰んじゃったよ…。お馬鹿…。

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Q. なんで“戦艦ミズーリ”は沈まないの!?
A. 最新鋭艦がバカスカ爆散させられた敵の攻撃を、旧型艦であるミズーリが耐えた理由ですよね。

バトルシップ』ってタイトルから、アレックスたちが乗る“JPJ”は“最新鋭戦艦”と勘違いする人も多いでしょうけど、あれは戦艦ではなく“駆逐艦”です。なので、実は本作のタイトルどおりの戦艦はあくまで“ミズーリ”なんですね。そも、太平洋戦争期の戦艦と現在の駆逐艦で耐久性には大きな違いがあります。

戦艦は強大な艦砲射撃の火力と、敵艦からの艦砲射撃に耐えうる堅牢な防御力を兼ね備えていることが特徴の軍艦です。また、ミズーリが沈めた“戦艦大和”が“不沈戦艦”と呼ばれたことからも解るように、当時の戦艦は速度や足回りよりも“堅牢でどんな攻撃にも耐えうること”が重視されていました。

対して現在の駆逐艦はといえば、大口径の艦砲や重装甲といったかつての大型戦闘艦艇に求められた条件が陳腐化し、また兵器の軽量化や電子化に伴い、艦体も小型化・軽装甲化していたったため、あんなカンヅメ型榴弾ごときでいとも易々と爆散してしまうようになってしまいました。

「この戦艦は沈まんよ(うるおぼえ)」という老人の言葉は精神論ではなく、相応の含蓄があるわけですね。

いや、でもさあ。そんな装甲の厚い薄いで戦況を左右されちゃうほどの宇宙人の科学力ってどうなのさとは思うけどね。広範囲のバリアは張れても、母船の防御はからっきしとかさあ。対物狙撃ライフルで窓ガラス割られて「うおっまぶしっ!」とかさあ。そもそも、有視界戦闘なのお前ら…。

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Q. なんでアメリカ映画の対物狙撃ライフルは無敵なの!?
A. 新しいオモチャか、遊ばせてくれよ。クラレンス。

ロボコップ』を筆頭に、『第9地区』や『ハートロッカー』など、アメリカ映画で対物狙撃銃が出てくると、間違いなく対象に対して絶大なダメージを発揮しています。宇宙人だろうかロボットだろうがお構いなしですね。本作では、宇宙人の母艦のブリッジの窓ガラス?を貫通する大戦果をあげています。

対物狙撃銃(アンチ・マテリアル・ライフル)は、かつての対戦車ライフルに相当する大型の銃で、主に狙撃に使われています。大口径弾の貫通力を生かして車両への攻撃にも使われ、土嚢や壁などの障害物に隠れる敵を殺傷することも。2km先の人を撃って、上半身と下半身とが両断して吹き飛ぶ程の威力があります。

割とゲームなんかでは対人にも用いられますが、非人道的な意味でハーグ条約違反だそうですよ。

それにしたって、映画での対物ライフルの活躍が目覚し過ぎるとは思うんですけど、こうした銃器の開発メーカーは、その宣伝目的としてゲームや映画にもよく出資するみたいです。バレットファイアアームズ社のボルトアクションの50口径ライフルとか、かなりの頻度で活躍してますからね。

『ハートロッカー』だと「俺がバレットを撃つ(うるおぼえ)」って固有名詞出してくるぐらい。

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Q. ジミーに開けないものはないの!?
A. ないよ。だからエンドロールが終わるまで席は立たないようにね。

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正直、上記であげた以外にも疑問符は沢山あったと思うんですが、まぁなんていうか考えようによってはいくらでも想像が広がるって意味で素晴らしく愉快な作品だと思うんですよね。是非、寛大かつ生暖かい目で見守って生きたい、そんな馬鹿映画だと思います。今年もたくさんの馬鹿映画にまだまだ出会えますよーに。