てすかとりぽか

最近はポケモンのことを書く場所です。

『おおかみこどもの雨と雪』 俺、子供生んだことないんで…(ネタバレあり追記)

おおかみこどもの雨と雪

2012年の日本のアニメーション映画。細田守監督作品。

女子大生の花は、大学で出会った男と恋に落ち、二人の子供を産婦人科にも通わず“独学で自宅出産”する。しかし、子供が生まれてすぐ男は死んでしまう。彼の残した“わずかな貯金”を元手に二人を育てる決意をするが、都会での生活に限界を感じた花は、山奥の古民家に移住することを決意する。

男が“狼男”で、その子供が“狼子供”である点以外、終始一貫“リアリティ”を重視して描いています。

その“リアリティ”に、揺さぶられるわけです、自分の“負の感情”が。途中「もーむりむり!」って席立とうと何度も本気で思いました。でも、観続けたら続けたで、また別の“リアリティ”に、正の感情が揺すぶられるわけです。「まじでこんな映像観たかったんだよ!」って。

ただ、自分は正より負の感情を強く刻んじゃう性質なんで。結論としては、自分には向いていない作品です。

【何がそんなに厭なの?】

あくまで自分が嫌ってだけで、おそらく大部分の人は平気かと思うんで、書いたことで「つまんない映画なんだ」って思われるのも嫌だから、あまり具体的には書きたくないんですけど。“マイナスのベクトルにリアリティ溢れる苦労っつーか苦痛”が延々描き続けられたところで、HPが0になりました。

ソレを不愉快に感じるかどうかは人それぞれだと思うんで、ソレを“普遍的に痛い描写”とは思いません。

「そんなこと気にする方がおかしい」って声があれば、そっちのが多数派で民主的にも正しいと思います。ただ、マイノリティであれ、その描写から“目を背けたい”または“怒りがこみ上げて来る”人がいないことはないでしょう。変わりに具体例をあげるなら、同監督作品に対する下のような感想とかですね。

“サマーウォーズを田舎の大家族の嫁の視点で観たら”
http://togetter.com/li/342972

「家父長的大家族制度に対する無自覚的な賛美がどうにも肌に合わない。」田舎の元大規模専業農家(衰退しました。)に育った自分も「肌に合わない」程度ではなく、明確なルサンチマンとして感じたことでもあります。たとえ少数派であっても、こうした負の感情を煽ってしまうことに対し、同監督は無自覚だなあと感じます。

「いや、無自覚じゃないよ。意図的だよ。」って話なら、ぶんなぐりますよ。

本作にも「田舎での自給自生活に対する無自覚な賛美」という別の形での無自覚さが見られますが、これまた田舎に生まれ田舎に育ちつつも、そのネガティブな部分を心底嫌っている自分には向いていない描写になります。「農業なめんな!」とか「田舎の人間にしてはみんな協力的すぎる!」とかは言わないですけど。

“リアルに実在する村八分”の話とかすると長いので、ここでは言わないですけど。

「自給自足ったって電気代に光熱費、ガス代、ガソリン代、服飾費は?」、「豪雪の中あのサイズの家を暖めるのにどんだけ熱量いる?」、「その車…軽トラじゃだめなんですか?」、「あのデカイ冷蔵庫の電気代…」、「わずかな貯金て何千万よ?」、「アマゾンくるの?」と描写がリアルなだけに、疑念も多く沸いてしまいます。

「田舎は救急車呼んでも来る前にだいたい死ぬよ?」本当、自分には向いてません。

※※※以下、重要なネタバレは避けつつも、一部あらすじに触れています。※※※

【じゃあ、何が好かったの?】

前述の嫌な部分も「だってSFだし」って割り切ることが出来たらいいんですけどね。というか、そう割り切らせるような創りにすればよかったのに。序盤の生々しいセックス描写なんかいらんかったのに。もっと「これは絵空事なんです」感全開のハートフルファンタジーアニメにしてくれたら好かったのにと。

そう、途中から急にその“ディスカバリーチャンネル アニマルプラネッツ”になるそのカタルシス開放感。

生々しく痛々しい描写の連続から一転、素晴らしい景色の山々を駆け巡る“絵空事感全開”の映像描写。「ああ、これだよ。せっかくお金払って映画館に現実逃避しに来てるんだからさ。現じちゅとうひさせてくだしゃいフヒヒー!」ってなるその放出感たるや。さすが先生。先生大好き。油揚げなんか食うか!!なめてんのか!!

あと、“台風の描写”が本当に素晴らしい。これは素直に現実的って意味で。

台風前に教室のカーテンがなびく感じ、水田をなぜる風、突然の稲光に停電する古民家、海のように波渡る校庭、そうそう全部体感したことあるよこれまじですげー。まるでそこに空気があるかの如き風と雨の描写、CGの物理計算を駆使しつつ、二次元のアニメーションとして作画したこの映像は必見の価値があります!!

一瞬、“用水路の水門”も映ります。台風の時の「用水路みてくる」で見に行くのはあの水門です。

「田んぼとか用水路とか台風の時見にってどうするの?ばかなの?しぬの?」という疑問をよく聴きますが。あの水門を開放しないと、関に溜まっている農業用水が田畑に溢れて稲が駄目になってしまいます。だから、みんな必死で雨と風の中、あの水門の上に登って、バルブを回して関を開け水を下流に流すのです。

脳内でエグザイル流して『海猿』の伊藤英明の気分に浸りながらやるんです。で、だいたい死にます。

閑話休題。自分が前述のような無自覚な描写があってなお『サマーウォーズ』が好きなのは、細田監督の作品が好きなのは、そうした“圧倒的なアニメーションによる映像描写”があるからです。基本馬鹿なんで、脚本や演出の是非どーこーより、「すげー映像さえすごければそれでいいです。」って思ってるからなんです。

とはいえ、それだけ好い映像描写の後ですら、負の感情が消えなかったので。本当向いてない。

【ラスト泣いてましたが?】

はい、不覚にも泣いてました。ただ、それは一寸自分がめちゃくちゃ弱いシチュエーションがあっただけで。具体的には根幹のネタバレになるので書かないですけど、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』が割とえげつない程その泣かせ技を使ってるにも関わらず、ほんとんどの人がスルーしたというね。

子供が秘密を抱えて生きていくことが、どんなに辛いことなのか。

それを“母親ではない他者”と分かち合えることがどんなに嬉しいことなのか。その告白によって、彼らを庇護し、隠遁する“母親の愛”、逆の言い方をすれば“母親の支配”から逃れ自立するというラストシーンが、見事な憑き物落としになっています。

【なんとなくゴニョゴニョ追記】

鑑賞後にいろんな方の感想文みてましたら、結構似たようなとこで引っかかってる方が多かったみたいでした。前述の「何が嫌なのか?」で具体的には書かなかった“苦痛”についてとかね。単純に見せられる映像や話がきついだけじゃないんですよね。

その乗り越え方が、ただ“母親だから”って、あまりに(ゴニョゴニョ…)

言葉を濁さざるを得ないのは、自分は“その点を批評する立場にない”からでもあります。所詮自分は母親ではないし、子供生んだことないし、そもそも男だから生めないし、母親のあり方についてとやかく言える“立場にない”のです。普遍的な一般的な知識教養の持ち主として「なんか引っかかる」と言うのが精一杯。

ちなみに、この作品の脚本家の奥寺佐渡子さんは一児の母なんだそうです。

だから、多くの方が引っかかるという「母親に対する洞察が浅い」という部分について、「母親が書いてるんだからそんなことないでしょ?」という反論もあるかと思われます。実際、別の奥寺脚本映画『八日目の蝉』なんて完全に“母親映画”ですし、本作と話は似てますが視点はガラッと違いますしね。

でも、だとしたら何故、今作の母親はなんで(ゴニョゴニョ…)

ちなみに全く同じモヤモヤ感を自分は漫画『うさぎドロップ』にも感じてまして。どうしてもあの仕事も子育ても一人で両立させる完璧超人サラリーマンの主人公に対していささかも同調できないのです。アレには対しては同じサラリーマン男として言えるんですけどね。「ねーわw」って。

兎角、本作は“出産・子育てをした事がある母親”以外の人が軽々しく語れない気がします。

“母性”や“子育て”をテーマにリアリズムを追求して描いた本作は、そのテーマについてどんなことを語ろうとも、当事者以外は外野です。「自分で子供生んで育てたこともないのに知った風なクチ聞くな!」で終了です。小町に晒されて酷い目に遭います。鬼女の皆さんに住所突き止められてリアルで人生終わります。

『アメイジング・スパイダーマン』 豪鬼出すの失敗した時に出る奴

アメイジング・スパイダーマン

2012年のアメリカ映画。マーク・ウェブ監督作品。

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てゆかほんとマジ公私ともに忙しくておっちぬ。ちぬ。

だもんで、今回の“スパイダーマンおかわり”も忙しいのとTwitter上での評判がイマイチなのも合わせてソフト化されてからでいーやーと思ってたんですが、ひょんなことから時間が出来たので観に行っちゃいました。半そで短パンで、“3Dメガネを入れたスーパーのビニール袋だけ手に持って”といういでたちで。

いやでも、みんな3Dメガネってどやって持ち歩いてますか。マジで。

裸でバックとか入れとくとすぐ埃だらけになるし。ポケットに入れとくとひんまがっちゃうし。専用のメガネケース買うほど高価なものでもないし。でも、毎回新しいものを買うのもエコじゃないし。3Dメガネとか海亀がクラゲと間違えて飲み込んだらかわいそうだし。どうやって持ち歩いたらいいのアレ。

で、なんだっけ。アレだよ。スパイダーマンの話だよ。

そもそも劇場で観る気がなかったっつーか、「スタッフロールで流れる日本版テーマソングがひでえ」ってんでそれだけでも聴いておかなきゃ駄目かなネタ的に。的な期待値で観に行ったのが幸いというか、面白かったですよ。少なくとも、個人的にはサム・ライミ版と比べてどーとかなく楽しめました。

アクションに関してはもう言うことねーっす。最高っす。腹いっぱいです。

ストーリーに関しても、家族愛的な部分を推してきてるので個人的には好みです。ヒロインとの絡みより、ヒロインの親父との絡み。更には叔母さんとの絡みがグッときますね。ヒロインまじ空気ですけどね。名前覚えてないぐらい空気。ヒロインは置いといてMOBのメガネの娘かわいかったなーぐらいのエアヒロイン。

でもそこは“旧作のビッチヒロインことMJとの差別化を図った”という風にポジティブに受け取ってます。
(「MJ スパイダーマン」でググると次に「ブサイク」って出ますからね。)

そーゆーとこ、要するに“サム・ライミ版のファンにも訴求しつつ、違いを見せていこう”という姿勢は確かに賛否両論あるかもしれないです。旧作ファンに訴求しないなら空中機動の見せかたとかもっと完全に変えるべきだと思うし。「溜めに溜めてクライマックスは結局ソレかwww」とは確かに思いましたよ。

ソレはもう単純に、サム・ライミ版が“エンタメとして完成してしまっている。”ってことなんですね。

水戸黄門みたいなもんです。演じる人が変わっても、細かい部分が変わっても、クライマックスの“印籠”のシーンだけは、東野英治郎演じた頃から全く変わらないです。フィルム撮影がビデオ撮影に変わっても、ナショナル劇場パナソニックドラマシアターになっても、そこだけは全く演出が変わりません。

でも、水戸黄門ファンがずっと10年も20年も東野英治郎を観たいかっていうのも違うんですよね。

役者を変え、演出を変え、時代に応じた脚本にリファインしていかなければ、新しい顧客を掴むことはできません。(自分は西村晃から観た世代)新規顧客を掴めなければ、演目としては衰退してしまいます。演目の衰退は作り手側のマネタイズのみならず、演目のファンとしても悲しむべきことですよね。

当然、「それでも里見浩太朗はさすがに無双しすぎ。」と、比較批評はあってしかるべきだと思います。

ただ、批評の結果として「作り直す必要がなかった」とまで言ってしまうのは違うと思うんですよ。理由は前述のとおりですが、スパイダーマンのファンであれば、そのシリーズが途絶えてしまうより、今後も映画館で観られることの方が幸せじゃないすか?って話なんです。いや、俺ライミファンなだけだしって人除いて。

『ハルク』にしたって、蛍光色の方もそうでない方もどっちも好きですよ。ハルキスト的に。

兎に角、2012年はアメコミ映画目白押しで楽しみでちねる。とはいえ、別にアメコミちゃんと読んでるわけでもなく、単に格ゲーの『X−MEN』とか『マーヴルVSカプコン』やって知ってる程度のにわかギーク気取りですが。(『マヴカプ2』の持ちキャラはスパイダーマン・ヴェノム・ハルクですが。)

「シルバーサムライ」って言われても「ああ、豪鬼出すの失敗した時に出る奴ね。」ぐらいですが。

『マイケル・サンデル特別講義 ここから、はじまる。民主主義の逆襲』 目には目を、煽りには煽りを。

マイケル・サンデル特別講義 ここから、はじまる。民主主義の逆襲

史上最大5000人の白熱教室 in 東京国際フォーラム。行ってまいりました。

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マイケル・サンデルの新著『それをお金で買いますか――市場主義の限界』の販促なのか、なんか募集してたんで応募したところ当選してしまったので。とはいえ『ハーバード白熱教室』とか観てて一度はこういうの参加してみたいなーと思ってたんで。そして、できれば議論に参加してサンデルに「君、名前は?」って言われたい。

でも、どうせヤラセなんだろアレ?と正直思ってました。

前もって議論を誘導するためのシナリオがあって、それに沿って手を上げて指名される人もサクラで。でも、全部サクラにしちゃうと怪しまれるから、何人かは普通に手を上げてるひとを指名したりもして。でないと、公共放送で流せるような筋道の通った議論になんかなんねーんじゃーねかな、と正直思ってました。

いやぁ、ガチでした。疑ってすんませんでした。

テレビで放映されてるヤツは当然編集したりカットしたりはされてるんですけど。ちゃんと指名された一人ひとりが言葉を詰まらせつつ、悩みながら言葉を選んで(それも演技だ!と言われればそうかもしれませんが)、予定時間を大幅にオーバーしてまで議論の場を作り上げておりました。

勿論、サンデル側には明らかに誘導したい議論の方向性というものがあり、なかなかその方面に議論がよっていかなくてイライラしてる様子なんかも見て取れて面白かったです。自分、前から2列目に座ってたんで、「生サンデルちっか!」ってそれだけでだいぶ愉しむことができましたですよ。

講義は6月16日(土)と23日(土)にNHKでも放送するそうなので、ネタバレにならないよう伏せておきます。

正直言って、議論としてレベルが高いか?と問われたら、本当まだまだだと思います。放送がニコ動なんかに上がった日にゃあ、自称“識者”や“意識の高い人”がフルボッコにするような内容でしょう。でも、サンデルがやりたいのは“レベルが高い議論”じゃないんですよね。ソレを問うのは講義の趣旨に反します。

本講義の意図は、“できるだけ多くの人が議論に参加すること”になります。

だからこそ、失笑を免れないような意見や、論点を大きく外した意見などがあがってこそ、“インテリじゃない人が議論に参加してこそ”この講義は成功とも言えるのですね。「原発再稼動は是か非か?」を決めるのではなく、誰もが声を上げられるような空気を作ることが、日本の民主主義がなすべきことなのですよー!と

そういう意味では大成功だったと思います。自分が当ててもらえなかったのは残念でしたが。

茶化す気満々だったので、当ててくれなくて良かったと後になって思いますが。例えば「どうしたら若者が選挙に行くか?」という問いに対し、新著の内容に準じて「インセンティブを与えたらいい」と茶化したかったです。うちの地元の選挙では老人に対してはバスと菓子パンとジュースが出てるのは事実だし。

サンデルの指示するコミュニタリアリズム「若者はもっと議論すべきだ」には賛成だけど。そも人口の絶対数において年寄りが多い故に「若者は票数的にマイノリティ過ぎて政治参加による見返りを期待できない」という点と「別に年寄りが政治に関心があるから選挙に行くわけじゃない」って部分は刺しておきたかったです。

あとTwitterで議論しないのは、短順にフォロワーのTLを汚したくないからです。

サンデル的には「TLを汚すのを厭わずに、どんどん政治や原発の議論をすべきだ!」って言うでしょうけどね。自分は既にTwitterもブログも言いたいことぶちまけて汚染物質垂れ流してるからブロックもされまくりですけど。あと、ディスりや煽りと議論の区別つかない人が多いこの国では、SNSでの議論が難易度高いのは確かです。

自分は煽りに対しては煽りでしか返しませんけどー。

あと当ててもらえなかった理由を冷静に判断すると、前の方で目を見開きながら満面の笑みで手を上げる、いわゆる“ハーマイオニー型挙手”をしていたからだとも猛省してます。自分手上げてるのに、目の前にいるサンデルが「他に誰かいないかな?」って言ったのはわりとショックでしたよ。

『貞子3D』 ネタバレあり

ストーリー部分のネタバレが含まれております。

『貞子3D』 ネタバレなし”を未読の方はこちらをお先にどうぞ。

貞子3D

2012年の日本映画。英勉監督作品。

インターネットの『ニコニコ生放送』で生放送された自殺動画。その動画を見た人は死んでしまう。そんな“呪いの動画”噂が流れていた矢先、女子高の教師である茜の教え子の一人が不可解な死を遂げる。彼女は死ぬ前日に「呪いの動画を探している」と話しており、また死の直前には何らかの動画を見ていたという…。

そんなニコ動、ドワンゴ前面バックアップでお送りする、Jホラー最新作なのです。

劇中いきなり「ニコ動」って略し出すニコ厨の刑事とか出てくるしね。かつて、VHS・テレビから出てきた貞子も時代とともにその世相にあった媒体、PC・ネット・ディスプレイはてはクラウドといったものまで利用するようになったというのが本作最大のテーマでもあり、笑…怖がりどころと言えるのではないでしょうか。

でも、それならいっそ開き直って、もっとネット住人向けの作りにしちゃっても良かったと思います。もっとネットスラングや定番ネタを取り入れたりね。例えば、序盤の教室で“呪いの釣り動画”を再生してしまうシーン。あんな糞動画で釣っても全く笑えないし、釣られた側も口惜しくないですよね。

あの場は釣り動画の定番である“藤崎瑞希氏(※1)”にご登場いただくべきだったかと。

むしろ、タイミング的にここで本物の“呪いの動画”が来るわけないと思ってたので、当然藤崎が来ると思ってたのでガッカリしました。(※1 ニコニコ動画で「藤崎 釣り」あたりで検索して出てくる系の動画を再生してみるとなんとなく「ああ、こいつのことか」とわかります。)

もしくは、“ガチムチパンツレスリング”の方ね。女子高生の反応が見たかったなぁ。

で、その後主人公の教え子の一人が『2ちゃんねる掲示板』のオカルト板でもって、誰かがうpした“呪いの動画”へのリンクを見つけるのですが、“404 File Not Found”つまりサーバーから動画は削除されていました。この“404 File Not Found”がフラグとなり、後ほど“呪いの動画”からの逆アクセスを受けるわけですが。

Sleipnir使って“Internet Archiveで検索”すれば、削除ファイルぐらい探せると思うんだけどね。

閑話休題。今回の貞子は邪眼的な呪い殺しはしてこないんです。ディスプレイから“手をガッ”って出して首を絞めてきたり、窓の外に突き飛ばしたり、『イーアルカンフー』とか『魁!男塾』の敵(※2)みたいに辮髪を投げて絡めとってきたりと、なんか基本的に“物理で殴る”攻撃ばっかりなんですよね。

(※2 中国清代初期、辮髪の習慣を活用した幻の拳法があった。修行には重さ100貫20寸角のダ鋼鉄を吊るし頭髪と首を鍛えたという。この拳法を会得するためには最低3個のダ鋼鉄を持ちあげ 自在にふりまわすだけの技量が要求された。:民明書房刊「中国拳法大武鑑」より)

でも、実は主人公の女教師こそ“念力で周囲を吹っ飛ばす”ことが出来る放出系の念能力者でしたー!というチート設定だったので、出てきた貞子もあっさり粉々に粉砕されます。(この飛び出す粉々ガラスカットも天丼で何回か見せられます。)最終的に超能力合戦になってしまうのは元からなんで深くつっこみませんけど。

実は“居合い斬りの達人”でもありましたー!ってシーンが何の説明もなく入ってるのはちょっと…。

主人公の女教師は“実は自ら吸血鬼ながらもその血の定めに抗うヴァンパイアハンターで”ぐらいの説明書きがないと納得できないような特撮アクションが、急に終盤に描かれ始めるのですが、もはや脚本面は無視して観ている分には最高にクールでスタイリッシュアクションだと思いました(棒)。

そんな女ブレイドと、量産型貞子の死闘を描く後半の特撮シーンはマジで見所満載です。

量産型貞子(逆M字開脚貞子)なんてCGかと思いきや“着ぐるみ”ですぜ。今時は仮面ライダーの敵ですらCG使うのに。おかげで、昭和の特撮ホラー全盛期特有のおどろおどろしさが全開です。モチーフはカマドウマ(※3)なんでしょうか。井戸の中にびっしりいる虫といえばカマドウマですよね。キュア・カマドウマでしょうか。

(※3 都会育ちの人は知らないかも。「カマドウマ」でぐぐってみてください。【閲覧注意】)

いや、マジで友達の家の井戸を開けたら中に隙間無くカマドウマ(通称:便所コオロギ)がびーっしりいたの見て未だにトラウマなんですよ。『借り暮らしのアリエッティ』にも出てきましたけど、かわいいアニメ絵でさえ小人の身の丈よりデカいあいつらがビョンコビョンコはねてるの見ただけでマジ卒倒すっわ。

自身のトラウマに支えられてなんとか自分でも“怖い映画”としての認識を保てた本作ではありますが。

正直後半の“昭和特撮ノリ”を楽しめない方や、“あえて変化のない天丼で笑いをとろうとする”3D要素を面白さと認識できない方にとっては、3Dメガネ叩き割りたいくらいの糞映画って思われても仕方がないんじゃないんかと思いますよ。特に、エンドクレジットの後の駄目押しのアレなんかね。

エンドクレジットを待たずして席を立たれた方も、アレを予想した上で席を立たれたんだと思います。

さすがに、これソフト化はされないんじゃないかな…。3Dで観なかったら意味ないにも程がありますし…。前作まであったクトゥルー要素もないし…。でも個人的には大好きな『リング』で、しかも特撮ホラーの3D映画だなんて、ほんっっっとに劇場で観ておいて良かったと思っていますよ。

あと、呪いの動画でぐぐったらこんなの出てきた。自己責任で。
http://www.youtube.com/watch?v=_F5BaBI_WrM

『貞子3D』 ネタバレなし

ストーリー部分のネタバレは回避しております。

貞子3D

2012年の日本映画。英勉監督作品。

人気ホラー作品『リング』シリーズの最新作。呪いのビデオから呪いの動画に移り変わり、クラウド内を自由に動く貞子と、 その周りで関係していく人達。3Dとなり恐怖感もさらにパワーアップ!!(公式宣伝文より)

クラウドですよ!クラウド!!

映画『リング』は自身が最も回数多く(昨日もまたナウシカ観たけどそれより多く)観てる作品なので、ぶっちゃけ滅茶苦茶好きです。(『リング』感想)でも、本作を「原作レイプだ!」と罵る声にはこう反論したい。「最初の映画時点で既に小説版の原作レイプじゃねーか!!」と。そういう意味で本作もそのへんは気になりませんでした。

確かに映画のデキとしては酷いと思いますよ。脚本の整合性なんてもう…。

でもね。別に映画館に脚本読みに来てるわけじゃないんで。そもそも3D映画で、ホラー映画なわけですよ。「貞子が飛び出してくるだけの映画なんだろうな!」なんてのは誰でも予想できるわけです。でも、『リング』シリーズ特有の薄気味悪さとか、水や海をモチーフにしたラヴクラフト的世界観が繰り広げられるわけで…。

1ミリも繰り広げられなかった。ただ、“貞子が飛び出してくるだけの映画”でした。

で、でもね。貞子が飛び出してるだけでも凄いことだと思うんです。世界を席捲したあの“貞子”は一体どのように飛び出してくるのか…。まずは井戸が映るのだろうか、這い寄って出てくるんでしょうか、あの生理的嫌悪感著しい呪いの映像はどうなるのか…。ブラクラみたいにただギャー!って出てくるだけじゃないだろうし…。

ただ、ブラクラみたいに「手がギャーッ」って出てくるだけでした。

しかもね、それが初回だけならまだいい。2回目、3回目、4回目、なんども全く同じ構図から「手がギャーッ」ってするだけ。いや、一応吃驚はするんだけどね。怖い…っていうのとは違うんですよね。まぁ、もはや貞子に怖さは求めてないから怖くなくてもいいっちゃいいんですけどね…。

むしろ、なんか回数を重ねるごとに…じわじわと笑いがこみ上げてくるんですよ。

お笑いの技法で言うところの“天丼(かぶせ)”ですよね。芸人がボケた場合、その内容は客の記憶の中に一定時間残る。その記憶を呼び起こすことで、共感と意外性を同時に生み出すという技。本人の意識では全く面白いと思って無い筈なのに笑ってしまう。一種の“呪い”とも言えるこの技法を貞子が使うようになるとは…。

クラウド言ってる自体で気づくべきでした。この映画はそういう映画だったんですよね。

でも、開き直って観るようにしてからは面白いわ面白いわ。ていうか、既に“テレビから霊が出てくる”っていう元の設定時点で、そういう映像化の方向性しかなかったのに、あれだけ名状しがたいモノを生み出した『リング』の方が凄すぎたんだわ。そして、本作は本作でやっぱり凄い。怖くは無いけど、凄くなくは全くないです。

特に後半、“昭和の特撮ホラー・SF全盛時代”を彷彿とさせる無理…じゃなくて超展開が待ち受けています。

そう、本作は“特撮映画”なのです。しかも“3Dで観られる特撮ホラー映画”なのです。「特撮映画は映画じゃない」とか思っているシャレオツスィーツどもは回れ右して帰るといいです。但し、特撮好きを自称するなら、本作が劇場公開されているうちに絶対に観ておくべき。3Dで観られるうちに観ておくべきです。

下手すると(下手しなくても)ソフト化されないですよ。完全に3D前提の作りしてますから。

「非3DやDVDやブルーレイでも売ろう」とか生半可な考えではなく、ド直球で「3D映画として売ってやる!」という覚悟がビシビシ伝わってきます。そんな“3D特撮ホラー邦画”なんて、おそらくもう2度と作られることはないでしょう。この機会を逃すのは、人生にとって大きな損失と言えるのではないでしょうか。

勿論、観た人はスタッフロールが終わるまで席を立ってはいけません。理由は…わかるよね?

あと、“『貞子3D』 ネタバレあり”も書きました。

『タイタンの逆襲』 性欲をもてあます神々

タイタンの逆襲

2012年のアメリカ映画。ジョナサン・リーベスマン監督。『タイタンの戦い』の続編。

前作『タイタンの戦い』がちょうど先週テレビでやってまして。映画館で字幕で観た時は微妙だった気がするんですが、テレビで吹替えでツイッターで実況みながら観たらなんか普通に面白いという。要するにパーティ向けのボンクラ映画だったわけですが、要約すると“だいたいゼウスが悪い”というお話。

で、本作も“だいたいゼウス(とその家族)のせい”で人間が酷い目に遭うお話。

ちなみに映画観て家帰ってきたら、ちょうどテレビで『ビッグダディ』がやっておりまして。こちらも“だいたい親父が悪い”って意味と、“ハック&スラッシュ系の映画”という2つの意味で本作と共通していますね。ていうかなんだ今日の茶番は。もうヤラセってわかってんだから、微妙に人死にぐらい出さないと観ないぞ。

“ヒグマと素手で死闘を繰り広げるビッグダディの運命やいかに!?”ぐらいの引きがないと無理。

閑話休題。本作も“ハクスラ映画”としては珠玉の出来だと思います。というか、こういう『ゴッド・オブ・ウォー』的な世界感の映画は“ハクスラ映画”と呼んで生きたい。雑魚蹴散らして、小ボスが出て、また雑魚蹴散らして、中ボスが出て、武器集めて、最後に超巨大ボスな流れとか。もういいかげんに(自主規制)

ていうか、よもやのゼウス(リーアム・ニーソン)萌え映画。

クロノスが攻めくるってんで追放した兄ハデスに共闘を求めるも、逆に囚われの身(お姫様繋ぎ)にされてしまうゼウス可愛い。で、息子のアレスにも裏切られハンマーでボッコボコにされると「ちょ!おま!アレスやりすぎちゃうん!?」って制しちゃうハデスにぃにぃも可愛い。

お前ら、ほんとは仲良しちゃうんか!?と。まぁ、結果的に仲良しなんですけど。

そんなうっかりパパと仲良し家族がたまに洒落にならないレベルの喧嘩をして、困るのは周囲の人間っていうのはギリシャ神話的で笑うところなんですけど。まぁ、巻き込まれる人間にとっちゃたまったもんじゃないです。小豆島に済んでる人達にとってもたまったもんじゃないです。それは何の話ですだよ。

「ゆくぞ兄者!一緒にせーのっ! かー めー はー めー …」ってやるところは一番ツボりました。

ちなみに神々たちがピンチになると、「こんなこともあろうかと、地上に子種をバラ撒いておいて良かった。」って言う設定もギリシャ神話的、『聖闘士聖矢』的で素敵ですね。主人公のペルさんも、紅一点のアンドロメダ王女にいきなりぶちゅーって。血は争えないですね。息子が見てる前でほんとお前…。

ていうか、ゼウスを筆頭に、ギリシャ神話の神々はほんとゲスいんですよね。

ただ、キリスト教でいう神と違って、ギリシャ神話の神様が人間以上に人間らしく描かれているのは意図的なものだそうです。だからこそ、こんなに後世に至るまで長く語り継がれ、エンタメの題材としても利用されやすいという所以でもあるんですよね。そういう意味では日本神話ももっとリスペクトされて然るべきとは思います。

ラノベの主人公みたいに性欲全くがないとかより、性欲のある人間を見ている方が面白いのです。

先日終わった『バクマン!』なんかも、要するに“処女厨が処女とセックスしたいという目的”を適えるための“手段として漫画を選んだ”という話であって、決して“漫画が目的ではない”という点の圧倒的気持ち悪さが、裏返すと“人間賛歌の物語”という意味では逆に素晴らしいという評論を見て、目から鱗でした。

ちなみに3Dで観たけど、3Dメガネ外し忘れて劇場出たぐらいの必要性でした。

『バトルシップ』 に関するQ&A

バトルシップ

2012年のアメリカ映画。ピーター・バーグ監督。

ひょんなことから太陽系外の地球型惑星との交信を試みたところ、そっからなんか来た。んで、ちょうど日米合同の海戦演習をしてたハワイらへんに落っこちた。とりあえず威嚇射撃してみたら撃ち返して来たんでなんだコンチキショー戦争やんのか上等だコラ!みたいな話。去年あたりからよくある対地球侵略テンプレ映画です。

大事なことですが、“撃ったのは地球側が先”です。

その経緯もあってか、素直に地球の軍隊に感情移入が出来ず、「呼ばれて来てみたらメッチャ攻撃的な星だった…。生き残れるのか俺ら…。」と絶望している宇宙人に肩入れしてしまいがち。それでも不愉快に感じないのは、そんな日和った考えなどお構いなしのマッチョイズム全開で描いてくれてるからだと感じました。

要するに、作ってる連中が計算高い馬鹿ではなく、ホンマモンの馬鹿だと感じられるからですね。

そんなマジキチな人達の手によるものだという点は、ストーリー面の“いい感じの壊れっぷり”を観ていても一目瞭然なので、本作を真面目に読み取ろうとすると大変です。脳みそが疑問符だらけで正直パンクしそうです。そういう映画じゃねーからこれ。酒飲みながら夜中に友達と観る系ですね。

ただ、あえてその疑問符の数々に答えを見出してみたいというのも(ネタとして)アリなんじゃねと。

んでも、できるだけネタバレはシャットアウトしてから観たほうが面白い…っていうより燃える作品なので、ちょっとこっから先は観た人だけ読んでいただきたいなーと。あと、今回は感想というより寝言に近い感じなので、「勝手に物語を読み変えるな!」とかゆー狭量な人もお引き取りくださいな。

        • 以下ネタバレ含みますライン----


バトルシップに関するQ&A(寝言)】

Q. なんで無職クズニートのアレックスが海軍入ってわりとすぐ少尉で艦長だよ!?
A. しらねえよ!

いや、流石に最初っからなげっぱは良くないんだけど、マジでこれいきなり最大の謎なんですよね。入隊からの時間経過もわかりづらいってのもあるんですが、提督が「お前は才能があるのに…」ってのもその説明にはなってないし。途中兄貴と話してた“コネ”の話じゃないかとは思うんですけど。

米海軍で将校になるのは少なくとも士官学校を出るか、ROTC(4年間の大学生の学業と同時に士官候補生としての訓練を受け、卒業単位と規定の訓練過程を修了する)過程が必須。士官学校への入学には米国籍と上院議員又は下院議員の推薦状が必要なので、たぶんこれが“コネ”ってことなんでしょうね。

日本の会社に例えると、“縁故採用でいきなり課長になる”みたいなもんです。殺意が沸いてきますね。

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Q. 宇宙人は何しにきたの!?
A. さぁ…。

いや、ほんと何しに来たんでしょう。地球から送信した交信内容は示されてませんが、まぁ友好を示すような内容だと思うんですよ。で、あの宇宙人の専守防衛的(敵対しないものは攻撃しない)を見る限り、戦争しにきたようには到底みえないんですよね。武器だってテキトーな榴弾と空飛ぶギロチンしかないし。

宇宙人自体の装備もナイフ1本で、近接戦闘(宇宙CQC)挑んでくるぐらいだし。

装備の軽薄さ以上に疑問なのが攻撃性判断システム(攻撃性のありそうなものは赤、なさそうなものは緑で判定)と、それを遵守するコンプライアンスの高さ。これは現実の日本の自衛隊専守防衛の思想を皮肉っているのか?とも思えますが、どう考えても自分らの死に直結する系のモノも緑判定しちゃってるんですよね。

今、お前らが緑判定して見逃した通信機、結果的にお前らの頭上に砲弾の雨を降らすんだが…。

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Q. なんで宇宙人はハワイにきたの!?
A. 他のみんなはニューヨークやロサンゼルスに行くのにね。

信号がハワイから上がってたから?でも、ホノルルなんかに何の用事が。てか、そのせいで途中で人工衛星にぶっかっちゃってその破片が“たまたま香港を襲来して、香港が壊滅”という、“偶発的な大打撃”を与えてしまってはいるのですが。いやでも、確かにハワイ行きたいよね。自分も行きたい。

真面目な話、米海軍の艦隊の中で最大の規模と戦力を誇る第7艦隊の司令部があるからでしょうか。

宇宙人の目的が“なんか攻撃性のあるものをぶっ壊したい”というか“宇宙の紛争根絶を目的とした武力介入”とか何スタルビーイングだよお前みたいなものだとしたら、真っ直ぐにここを目指したという理解もできます。しかも、ちょうど大規模な軍事演習中とか言ったら、そら黙っちゃおれませんですよね。

でも、通信機途中で落としちゃった時点で正直詰んじゃったよ…。お馬鹿…。

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Q. なんで“戦艦ミズーリ”は沈まないの!?
A. 最新鋭艦がバカスカ爆散させられた敵の攻撃を、旧型艦であるミズーリが耐えた理由ですよね。

バトルシップ』ってタイトルから、アレックスたちが乗る“JPJ”は“最新鋭戦艦”と勘違いする人も多いでしょうけど、あれは戦艦ではなく“駆逐艦”です。なので、実は本作のタイトルどおりの戦艦はあくまで“ミズーリ”なんですね。そも、太平洋戦争期の戦艦と現在の駆逐艦で耐久性には大きな違いがあります。

戦艦は強大な艦砲射撃の火力と、敵艦からの艦砲射撃に耐えうる堅牢な防御力を兼ね備えていることが特徴の軍艦です。また、ミズーリが沈めた“戦艦大和”が“不沈戦艦”と呼ばれたことからも解るように、当時の戦艦は速度や足回りよりも“堅牢でどんな攻撃にも耐えうること”が重視されていました。

対して現在の駆逐艦はといえば、大口径の艦砲や重装甲といったかつての大型戦闘艦艇に求められた条件が陳腐化し、また兵器の軽量化や電子化に伴い、艦体も小型化・軽装甲化していたったため、あんなカンヅメ型榴弾ごときでいとも易々と爆散してしまうようになってしまいました。

「この戦艦は沈まんよ(うるおぼえ)」という老人の言葉は精神論ではなく、相応の含蓄があるわけですね。

いや、でもさあ。そんな装甲の厚い薄いで戦況を左右されちゃうほどの宇宙人の科学力ってどうなのさとは思うけどね。広範囲のバリアは張れても、母船の防御はからっきしとかさあ。対物狙撃ライフルで窓ガラス割られて「うおっまぶしっ!」とかさあ。そもそも、有視界戦闘なのお前ら…。

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Q. なんでアメリカ映画の対物狙撃ライフルは無敵なの!?
A. 新しいオモチャか、遊ばせてくれよ。クラレンス。

ロボコップ』を筆頭に、『第9地区』や『ハートロッカー』など、アメリカ映画で対物狙撃銃が出てくると、間違いなく対象に対して絶大なダメージを発揮しています。宇宙人だろうかロボットだろうがお構いなしですね。本作では、宇宙人の母艦のブリッジの窓ガラス?を貫通する大戦果をあげています。

対物狙撃銃(アンチ・マテリアル・ライフル)は、かつての対戦車ライフルに相当する大型の銃で、主に狙撃に使われています。大口径弾の貫通力を生かして車両への攻撃にも使われ、土嚢や壁などの障害物に隠れる敵を殺傷することも。2km先の人を撃って、上半身と下半身とが両断して吹き飛ぶ程の威力があります。

割とゲームなんかでは対人にも用いられますが、非人道的な意味でハーグ条約違反だそうですよ。

それにしたって、映画での対物ライフルの活躍が目覚し過ぎるとは思うんですけど、こうした銃器の開発メーカーは、その宣伝目的としてゲームや映画にもよく出資するみたいです。バレットファイアアームズ社のボルトアクションの50口径ライフルとか、かなりの頻度で活躍してますからね。

『ハートロッカー』だと「俺がバレットを撃つ(うるおぼえ)」って固有名詞出してくるぐらい。

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Q. ジミーに開けないものはないの!?
A. ないよ。だからエンドロールが終わるまで席は立たないようにね。

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正直、上記であげた以外にも疑問符は沢山あったと思うんですが、まぁなんていうか考えようによってはいくらでも想像が広がるって意味で素晴らしく愉快な作品だと思うんですよね。是非、寛大かつ生暖かい目で見守って生きたい、そんな馬鹿映画だと思います。今年もたくさんの馬鹿映画にまだまだ出会えますよーに。